第279話 幸せな悩み?

ハリストスがコウガ達の前から去ってから数日が過ぎた。

隣でぐっすりと眠るミーシャの顔を眺めながらコウガは満ち足りた気持ちになる。

この数日間は特に何もなく、順調に旅路は進んだ。

途中に立ち寄った町で米やその他の物資も調達できたのでこれでいつチャーハンをねだられても問題はない。

だが、そろそろレパートリーを増やしたいと思うコウガであった。


なぜかって?


そりゃ、飽きたからに決まっている。


3日に1度はチャーハン。

それ以外は黒パンに肉や野菜をぶち込んだスープ。

そして肉野菜炒め。

ほぼ同じ料理に、同じような味付け。

何より高いチャーハン率。


コウガは普通のご飯に飢えていた。



そしてコウガには食事とは別にもう1つの大きな問題を抱えていた。

それは食事問題などとは比べることもおこがましいほどの大問題。

どうすればいいのか、皆目見当もつかずに途方に暮れる毎日。

今日こそは何とかしなければ。


コウガが直面している大問題。

それは、なのである!


ミーシャを引き取ることになってからも一緒に旅に出てからも一緒にお風呂に入っていた。

元日本人のコウガとしてはお風呂だけは譲れない。

旅先だろうと持っているチート能力で野営地ごとに簡易風呂を作っていた。

そして当然のごとくミーシャと一緒にお風呂に入っていたわけなのだが。

旅にも慣れ、いろいろと余裕が出てきたコウガは我に返った。


ん?

ちょっと待てよ。

他人の子、それも小さな女の子。

そんなこと一緒にお風呂に入っている俺ってもしや変態⁉


気が付いてしまった。。。

今まで俺がしてきた行為がどういう事なのか。

もしここが日本であれば完全なる犯罪。

そして幼女趣味ろりこんの烙印を押さる大罪だという事に!


いや、まて。

確かに俺とミーシャは他人だ。

だけど家族も同然、俺にとっては娘みたいなもんだ。

それにやましい気持ちなんて一切ない。

ならセーフか?


いやいやいや。

ダメだろ。


いくら家族同然だとしても女の子といい歳をしたおっさんが一緒にお風呂なんて。

こんなんだけどすでに200年近く生きてるわけだし。

200歳近くも年下の女の子と一緒にお風呂って想像したらヤバイ絵面だって!


だけどどうやってミーシャに説明すればいい?

下手に言ったら嫌われないか?

というよりミーシャはどう思っているんだ?

仮にも他人、それも男に体を見られてはずかしいとか思ったりしてたのか?

いや、さすがにあの年でそんなことは考えないだろ。

でもミーシャってどっか大人びているところもあるしなぁ。


うーん。


うーん。



こうしてコウガにとっては重大な問題。

他人にとってはすごくどうでもいい問題。

そんなことにひたすら頭を抱え、悶々としているうちに空が白んできた。


ミーシャがもぞもぞと動いた。

そんな様子を見て、コウガは考えることをやめ、眠ることにした。

空が白んできてはいるが数時間は眠れるだろう。


何よりも大切にし、絶対に守り抜くと決めた大切な娘の横でコウガは浅い眠りについた。


そしてコウガは気が付いていなかった。


このぴったりとくっついて眠っている状態の異常さに。

お風呂もそうだが、それ以外に問題がある。


そのことにコウガが気づき、自身の行為に悶絶するのはいつのことやら、、、、。



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