第275話 第二の転生者

「ほら、このご飯使ってさチャーハン作ってよ。冷や飯だからチャーハンにはもってこいだろ?」


コウガ達が警戒を解かずにイエヤスを見つめていると自称イエヤスは困ったような表情を見せたかと思うとその場に腰を下ろした。

そしてどこからともなく取り出したのは彼の言うように冷や飯だった。

みたところ武器らしきものはなく、魔力の気配も感じない。

とりあえず最大限に警戒は続けるとして、こいつの話を聞いてみよう。

相手がどんな奴かは知らないがこちらから喧嘩を売るのは得策ではないだろう。


「変なもの入ってないだろうな?ミーシャ、ご飯はもう少し待ってくれ。こいつとの話が先だ。」


自称イエヤスから冷や飯を受けとる。

匂いも見た目も普通だ。

味は、、、、、問題なさそうだ。


「あははー、用心深いなぁ。心配しなくても何もしないって。殺るつもりならもうとっくに殺してるから警戒しなくてもいいよ。」


自称イエヤスがそう言った瞬間、ものすごい殺気がコウガを襲う。

全身が固まり眼球一つですら動かせない。

少しでも体を動かせばその瞬間に狩られる、そんな恐怖がコウガを支配する。

恐い、逃げたい。

初めて死というものを目の前に突き付けられた気がした。

確かにこいつの言う通り戦いになればすぐに殺されるだろう。

だが今の俺には自分の命を賭してでも守らなければいけない存在がいる。

ミーシャだ。


彼女は大丈夫だろうか?

コウガは固まった体を無理やり首だけ後ろに回しミーシャの様子を見る。

よかった、なんともないみたいだ。

だとすればあの殺気は俺にピンポイントで向けられたという事か。

やっぱりこの濃密な殺気といいこの自称イエヤスとかいうやつ、只者じゃない。


「はぁはぁ。くそ、お前の要件はなんだ?またミーシャを狙いに来たのか?」


自称イエヤスが殺気を緩めコウガはようやく口を聞くことができた。

息をすることさえ躊躇われていたので久しぶりの酸素だ。

大きく呼吸をする。


「違うよ。君たちに危害を加える気はない。とりあえずご飯にしようよ、僕も君のチャーハン食べてみたいな。」


そう言って料理を促してきた。

どのみちこちらに選択権はない。

コウガは黙って昼食作りに取りかかった。


「ほら、できたぞ。口に合わなくてもしらないからな。」


作ったチャーハンを自称イエヤスに渡す。

それからミーシャにも。

昼食はミーシャのリクエスト通りなのだがミーシャの表情は硬い。

やはりあの時の恐怖はそう簡単に忘れられるものではないらしい。

なんの力もない少女ならあたり前だろう。


「大丈夫、僕そういうのあんまわからないから。それにチャーハンだろ?下手に作る方が難しいじゃないか。」


そんなことを言いながらコウガからチャーハンを受け取る。

それからミーシャにも渡し、自分の分をよそうとコウガもミーシャの隣に腰を下ろした。

そしてそこで初めて違和感に気が付いた。

どうしてチャーハンの


「そんなの簡単さ。僕も君と同じ世界からきたからね。」


コウガの心を読んだのか自称イエヤスが先走ってその答えを教えてくれた。

そしてそんな自称イエヤスの言葉を瞬時には飲み込めずフリーズするコウガ。


「これでようやく話ができる。僕の名前はハリストス。君と同じ転生者だ。」







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