第260話 奇抜老人の鋭
*
「お主がシュビッツ村から来たという者かぇ?」
コウガの進退はこの老人にかかっている
それをコウガ自身が一番よくわかっているからかかつてないほどの緊張が走る。
これに失敗したら今度こそ殺されるかもしれない。
下手をすれば魔王ルート一直線。
そんなことを考えていた。
コウガにしてはいつになく真面目な表情、だったのだが、、、。
門番が連れてきた老人が口を開く。
その瞬間に、真面目?何それおいしいの?バリに空気が一転。
「えーっと、ごめん。どっから突っ込めばいい?」
現れた老人?
そいつはなんともふざけた格好をしていた。
基本的な恰好はシュビッツ村の奴らと変わらない。
動物の皮のようなものを巻き付けているだけの簡易的というか前の世界の縄文時代風の服装をしている。
そこまではいい、門番の彼もその上に動物の骨と木で作った鎧を着ていた。
その老人のなにが問題かというとその着崩し方というかアレンジの仕方だ。
まずなぜか服に色が付いている。
それも極彩色でドット柄。
かと思えば下は虎模様。
この世界のどこにそんな色があったんだってくらいにミスマッチな見た目をしている。
正直見ているだけで目がチカチカする。
そして極めつけは頭の上に乗せたお面。
服と同じ極彩色で作られたひょっとらしきお面。
こっちの世界にもひょっとこがあるのは置いといてその面の問題はその画力。
幼稚園児が描いたような絵にコメントに困る。
「なんじゃぇ?なにか言いたいことがあるのかぇ?」
「いえ別に。それよりもこの村にしばらく置いてくれないか?そいつにも聞いただろけど村が襲撃にあって帰る場所がないんだよ。」
突っ込まない。
絶対に突っ込まない。
穏便に物事を進めるためにも突っ込まないぞ。
耐えろ、耐えるんだ俺。
収まれ、俺の関西の血!
とはいっても純粋な関西人じゃなくてじいちゃんが関西人なだけなんだけどね。
「嘘はいかんぞぇ。お主、シュビッツ村の者ではないのぉ。違うかぇ?」
バレた。
くそ、この老人こんな格好してるくせに抜け目ないな。
「ああ、そうだよ。俺はシュビッツ村の奴じゃない。けどほんとに怪しいもんじゃないしあんたらに危害を加えるつもりもない。ただ居場所が欲しい、それだけなんだ。」
シュビッツ村の者じゃない、そう言った時村の者達がざわめいたのを肌で感じた。
しかし今はそのことを気にしているほど余裕はない。
だが、嫌な空気だ。
「それを信じると思うかぇ?あいにくよそ者は受け入れられない時分じゃぇ。」
ここもか。
「それは分かってる。けど迷惑はかけない、むしろ俺はあんたらの力になれる。害意も悪意もない、信じてくれ、、、。」
「何を信じろと言うのかぇ?あんたに悪意がなくても厄災を運ばないとは限らないかぇ。」
「それは、、、、。じゃあなにかあっても俺がここを守るから、なっ?」
「お主が居なければ何も起こらないのであれば守る必要もないと思うがぇ?」
くそ。
こいつもか。
どいつもこいつも人を疫病神みたいに言いやがって。
何もしてねぇのに。
なにもする気ねぇのに。
くそ、ふざけんな。
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