第249話 ナニモン

「で、あれはいったいなんだったんだ?俺たちにもわかるように説明してくれるんだろうな。」


話していいか?とか言っておきながらスルトはいっこうに口を開かない。

難しい顔をしたまま腕を組んでいるだけだ。

話す気がないのか?

焦らしているにしてもこれ以上はナンセンスだ。


「ああ、説明はしてやる。だが説明をするだけだ。話を聞いてどうするかはてめえらで決めろ。」


いや、何をかっこつけてるんだこいつ?

どうするか自分たちで決めろって元からそのつもりだし。

そんなんは良いからさっさと話を進めてくれ。


「もとよりそのつもりだしお前が気にすることじゃない。俺は俺の使命を果たすだけだ。俺と俺の大切な人たちの為にな。」


俺は俺の平穏の為に戦うだけだからな。

使命云々はあるがそれも建前でしかない。

結局はゆっくりのんびり楽したいだけなんだよね、まぁそれは言わないけどさ。


「聞くまでもねぇってか。いいぜ、話してやる。」



「まずはあれは何かって話しだったな。あれはあんときも言ったが俺であり俺じゃないものだ。」


「だからそれじゃ意味がわかんないって言ってんの。俺たちにもわかるように説明してくれって言ったよな?」


さっきも言ったけど禅問答はする気ない。


「ふん、少しは頭つこうたらええやん。なんでもかんでも答え聞いたらあかんやろ。これだから甘ちゃんはいかんで。」


さっきまで黙って座ってたのになんなんだよ、野次入れやがって。

喧嘩売ってんのか?

まぁ、俺は大人だからそんなん買わないけどさ。

カルシウム不足、栄養不足は異世界人も変わんないみたいだな。

新たな発見、後で煮干しでもやるか。


「一応俺なりの考えってか予測はしてあるよ。けど本人から真実を聞いた方が早いだろ。答え合わせなら頭の中で一人でできるし。」


「考えとるやて?おもろいやんけ、聞かせてみぃ。」


おいおい、お前がこの話の主導権握ってどうすんだよ。

スルトはいいのか?

というか俺的にはさっさと話を進めてほしいんだけど。

いつアルたちが結界を超えるかわかんないし。


ちら。


勝手に盛り上がってるユキトは置いておいて、スルトを盗み見る。

さすがにこうまで話の腰を折られちゃ怒ってるかな?


うわっ、目があった。

目が合った?

目があったらわざわざ盗み見た意味ないじゃん、、、。


っておい。

なにこっちに向かって笑顔で親指立てちゃってくれてんの⁉

お前も話聞きたい口よかよ、、、。

ユキトといいスルトといいずいぶんと余裕だな、、、、。

もう少しは攻められてるって緊張感もてよ。

まぁそれは俺の泥酔している連れどもにも声を大にして叫びたいが。


「まあ簡単に俺の考えを言うなら今目の前にいるスルトは棺の中にいる本体から漏れ出した魔力で構成されている思念体ってとこか?魔力の質が違うのそのせいだろ。本体から漏れ出した力と性格の一部が現れてるだけだから目の前のスルトには記憶の欠落があったり性格の違和感があったりする。とまぁ俺が考えたところではこんな感じだな。な?時間の無駄だろ?早く正解ってか真実を教えてくれよ。」


とりあえず俺の予測を完結にまとめてみた。

さっきの部屋の中とスルトの言葉、その他の人々の言動をつなぎ合わせた結果だ。

間違っていても別に構わない。

だからさっさと話を続けてくれ。


「あんた、ナニモンや、、、、。」



へっ?








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