第243話 イケメンはイケメン

「安心しろよ、俺たちはお前の敵じゃない。」


どこからともなく聞こえてきた声。

そしてその声に遅れること数秒、背後に気配を感じ後ろを振り返る。

そこには酒の入ったコップを片手にスルトがなぜか真面目くさった顔で立っていた。


こいつ、いつの間に、、、、。


「ユキト、アオイお前らだけで盛り上がってんじゃねーよ。それにお前らもわかってんだろ?こいつは俺たちを助けに来た、その言葉に嘘はない。」


リュースティアがスルトを訝しんでいるとその矛先はユキトたちへと向かった。

スルトは初対面、それもまだ二言、三言しか言葉を交わしていないにも関わらずリュースティアの事を信用しているらしい。

理由はわからないが、、、。


「いや、ちゃうねん。わしらとてこいつの言葉が嘘だと思うとるわけやないで。けど割り切れん部分があんねん。しゃーないやろ。」


「拙者は信用できんでござる。確かにこやつの言葉に偽りはないのであろう、だが真であるからと言って信じるというものでもないはずでござるよ。」


あっ、これはもう秘密を隠す気はないのね。

それにさ、そういう話するなら内輪だけでやっといてよ。

なんなら俺たちが来る前までにさ。

俺たちが来てから、しかも俺の目の前でやんなよ。

聞こえないフリすればいいわけ?




『ルイセント、聞こえるか?』


『ふぁーーーい。わっらしはルイちゃん~。なにふぁよ~う?』


『こっの、駄賢者が!』


あのあと横で棒立ちしているリュースティアに気を使ったのかスルトが場所を移動しようと提案してきた。


今更かよ⁉


とは思ったがここは素直にスルトの提案に乗った。

どうやら彼は自宅に向かっているらしく、後ろからユキトとアオイも付いてくる。

二人の中ではまだ結論は出ていないらしくずっと後ろでひそひそと何事かを話している。

まぁ聞き耳スキルを持ってる俺には全部聞こえてんだけど。

もちろんわざわざ注意する気などない。

ありがたい情報が聞こえるかもしれないしね。


「友はいいのか?」


スルトの家に入る前に確認をされた。

これはここに来る前に他に人を呼んでもかまわないと言っていたからそのことに対する確認だろう。

友を呼ぶことを許可するという事はスルトなりに敵対する意思のない証拠らしい。

まぁ俺としてはスルトに敵対の意思がないであろうことは分かってる。

後ろの二人は微妙なところだが。


とまあこんな感じで最初に戻るわけだ。

連れていくならいろいろと情報をもっているルイセントだと思っていた。

なんだかんだ言って賢者である。

聡明なはずだ。


はい、そう思っていたときもありました。

ですがやはり駄賢者はどこまでいっても駄賢者なようで。

念話を入れた時には村の人々に振舞われたお酒ですでに出来上がっておりましたとさ。


使えねー。



「リュースティア様、話は影の中から聞かせてもらった。私でよければ共をしよう。」


そしてピンチに颯爽と現れるイケメン。

まるで何事でもないように、そして気取るでもなく、自然体に言って現れた。

その姿は言いようがないほどにかっこいい。


「あー、もう俺レヴァンさんのそういうとこ大好きだわ。」



黒き闇の眷属はそうして主であるリュースティアの横に現れた。









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