第236話 巨人の村
*
「リュースティア、聞こえるか?」
眠ったままのスピネルを膝の上に乗せたまましばらく走行しているとルイセントからの念話が入った。
念話が使えるなら先に言えよ、、、、。
「聞こえてるけどなんかあったのか?つか、念話使えたんだな。」
昨夜俺が渡した通信用の魔道具いらないじゃん。
自信満々に便利さを説いてたのがはずかしい。
だが俺とて心の広い大人である。
もちろん内心の怒りは見せない。
えっ?
いつもよりも声が固いって?
そう聞こえたのはきっと気のせい、寝不足のせいだ。
「いや、用というほどのものではないのだが、昨日貴様が配っていた通信用の魔道具の使い方がいまいちわからなくてな。」
「それ、ほんとにいらねぇじゃん!」
*
「リュースティア。」
それからまた走ること数時間、再びルイセントから念話が入る。
さっき使い方を説明したのだが魔道具は使う気がないらしい。
別にいいんだ。
みんながみんな念話使えるわけじゃないし?
俺の魔道具だって陽を見る機会あるもん。
「、、、、、、何?」
「なんだ、拗ねてるのか?そんなに自分の創った道具を使ってほしかったのか。すまない、次からは使わせてもらおう。」
謝らないでくれ、なんかますます悲しくなる。
というか気を使って使ってくるのだけはやめてくて。
その道具で通信が入るたびに心がかなりのダメージを負う。
ほんとうに俺のことを考えるならなかったことにしてほしい。
「で、なんだよ。暇つぶしに俺のことからかいに来たのか?」
なにせかれこれ村を出てから6時間くらいなにもない道をただ走っているだけだ。
景色は変わらないし魔物はおろか動物すら現れない。
暇だ、気持ちはわかる。
俺だって手綱を握っている以上作業や鍛錬をするわけにもいかずただぼーっとしながら馬を走らせている。
御者を代わってもらおうと思ったらいつの間にかルノティーナとエルランドはいなかったしスピネルは御者ができない。
しぶしぶながら俺が手綱を取るしかない。
そこに暇だからって絡みに来たんだったらさすがの広い心の持ち主である俺も怒るよ?
「それもありだがそうではない。前方南西に300くらいの位置に明らかに人為的に手を入れられたであろう木々が密集している。」
若干ルイセントの言葉に引っ掛かりを覚えるがそれよりも人為的な森の方が木になる。
もしかしてあたりか?
そう思ってルイセントに言われた位置を確認する。
するとそこには彼女が言ったようにきれいに切りそろえられた木が密集していた。
それもリュースティアの知識に間違いがなければあれは食用の果実がなるはずだ。
だがどことなく違和感を感じる。
「結界、か?少しだけあそこら辺の魔力の流れがおかしい気がする。うまく口では言えないけどあそこだけ気持が悪い。」
「おそらくそうだろう。結界自体を隠すためのカモフラージュも同時にされているな。そのせいで結界がうまくつかめないんっだろう。リュースティアの違和感はそのせいだ。存在を把握しているのに五感ではそれを認識できないのだから気持ち悪いsはずだ。」
なるほど、こういう説明がスラスラできるあたりはさすが賢者。
だが俺でもよくわからなかったことがルイセントにわかるもんなのか?
これはうぬぼれているわけではなく単に索敵能力的問題だ。
「不思議そうな顔をしているな。なに、ただあのタイプの結界を知っていただけだ。それよりもここに結界があるということはおそらくここがそうなのだろう。 」
さぁ、いよいよ目的地。
巨人たちの住む集落。
幸いアルフリックたちはまだ近くにはいない。
「果たしいて鬼が出るか蛇が出るか。」
そう呟くとリュースティアは結界が張り巡らされているであろう木々に向かって馬の歩を進めた。
「
「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます