第227話 犬猿の仲

「うーん、やっぱり外はいいわね。」


ルイセントがブチ切れてまた周囲を凍らせても困る。

ウカじいが居ればすぐに解凍できるんだけど時間の無駄だ。

という事で影に避難していた者を召喚して場をうやむやにする作戦に出た。


ウカじい、貸し1だからな?


「わるいわるい。シズは影の中が嫌いなんだっけか?」


シズが若干顔を青ざめさせながら真っ先に出てた。

太陽の光を浴び、体を伸ばしている。

リズとスピネルは、のんびり出てきた。

二人とも急に開けた視界に眩しそうにしている。

スピネルはもともと夜目が聞くので余計に眩しそうだ。


「嫌いってわけじゃないんんだけどなんかね。外の方が好きよ。」


「ああそういえばシズって怖いもの苦手だったっけか。次からは灯りも一緒に入れてやるよ。」


忘れてたけどシズってお化けとか暗いのって苦手なんだよな。

最初にスピネルを見つけた時を思い出す。


「べ、別に恐くなんかないわよ!子供扱いしないで!」



怒られた、、、、、。

なぜだ。

純粋な善意で言っただけなのに。


リズの呆れたような視線が刺さるが気が付かなかったことにしよう。



「じゃあそろそろ本題に入らせてもらうな。この南の大陸に厄災の巨人スルトがいるって聞いたんだけどどこにいるか知らないか?」


ようやく本題。

というかようやく村に入れた。

今はどうやらこの村の村長だったらしいウカじいの家で囲炉裏のようなものを囲んでいる。

囲炉裏のようなものと言っても火を焚いているのではなく、大きな氷が置かれている。

そしてその氷から解け出た水を受ける皿のようなものが氷の下にある。

見た目がまんま囲炉裏なだけに違和感しかない。

だがこれのおかげで家の中は冷房でも効いているかと思うくらいに涼しい。

こっそり鑑定してみたら魔法の道具っぽかったのでウカじいに許可を取ってからパクらせてもらおう。


「ほっほっほ。奴らは巨人族の集落を作って暮らしておる。スルトはそこの王、とでもいう存在じゃな。この大陸のかなり奥地にあると聞いたことがあるがわしも行ったことはないのぅ。」


「巨人の集落だと?初めて聞く話だ。」


あれ、ルイセントも知らなかったのか?

賢者が知らない情報、、、。

それだけ秘匿にされていたのかこの賢者が駄賢者なのか。

判断が難しいところだ。


「ほっほっほ。相変わらず頭が固いようじゃのぅ。今はルイセントと言ったか?もっと気楽にせい。」


「貴様が自由すぎるだけだ。どうせその情報とやらも酔っぱら同士の戯言だろう。信用に値しないな。」


「ほっほっほ。酒場の情報を侮ってはいかん。そういうところでこそ思いもよらない情報が聞けるもんじゃよ。」


「ふん、どうせ貴様の事だ。思いもよらない情報と言うのはどうせ女性のことだろう。情報と言うのは信頼できる筋から入手して初めて情報としての価値を持つ。」


「つまらんのぅ。お主は。」


「貴様が腑抜けなだけだ。」


「はいストップ!あんたらが仲悪い事は分かったからさちょっと黙っててくんない?話が進まないんだわ。俺たちはまだウカじいに聞くことがある。その情報がどんなんであれ俺たちには必要だろ。」


まったく、すぐに喧嘩すんだから。

こんなんエルのこと言えないじゃんかよ。

数千年らいの知り合いだからって言うよりは根本的に性格が合わないんだろうな。


こういうときに仲裁してくれそうなリズは完全に委縮しちゃってるし。

いくら神の眷属って言ったってこんな爺さんに委縮しなくてもいいのに。

いつものあのモードはどうした。


はぁ、なんかここに来てから俺だけ苦労してないか?








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