第225話  信じるという希望

「は?」


ごめん、何言ってるのかわかんない。

話がぶっ飛びすぎてる。

いきなり神の眷属とかシルフの姉弟とか。

嘘くさすぎて信じろという方に無理がある。


「ほっほっほ。信じられないのも無理はない。じゃから無理に信じなくてもよい。お主が信じようと信じまいとわしの存在はかわらんしの。」


無理に信じさせようとしないところがほんとっぽいじゃんかよ。

いや、それも作戦だったり、、、。

あっ、無理だこれ。

考えてもわからん。

ってことで保留!


「まぁウカじいが何者かはとりあえず置いとくとして、さっきは何したんだ?」


ウカじいの正体も気になるがそれよりもルイセントの魔法がきかなかったことの方が気になる。

もし魔法を無効化できる方法があるなら是が非でも教えてもらわなければ。

アルとの闘いで役に立ちそうだしね。

前回みたいに呪いで死にかけるとかもう勘弁だ。

いくら今回はルナがいてある程度対策はできているとは言え、痛いことは少ないに越したことはない。



「ほっほっほ。魔法の式を書き換えただけじゃよ。」




マホウノシキヲカキカエタ???


だめだ、やっぱりこのじいさんは人間じゃない。

けど実例があるってことは俺にもできたり、、、、?


「貴様には無理だ。というよりウカじい以外にはできない芸当だ、諦めろ。それよりもあいつらはどうした?」


ウカじいの話が衝撃的過ぎてルイセントたちの存在を忘れていたがここにルイセントが来たという事は一応の決着はついたという事か。

えーっと、ルイセントの勝ち、ってことでいいのかな?

だいぶ機嫌がよくなったみたいだし。

何より勝ったらうるさいくらいに自慢するであろうエルの声がしない。


南無三、、、、、。

本日二度目の死亡。(一回も死んではないけど。)


「ああ、忘れてた。そういえばリズたちはまだ影に避難させたままだった。すぐに扉開けるよ。そっちは?エルはもういいのか?」


「あんな馬鹿など放っておけ。いくらあいつでもしばらくは立てないだろう。まったく、力をろくに使えない状態で勝負を仕掛けるなど馬鹿の考えていることは理解できなくて困る。」


盛大にため息を吐きつつ振り返った先に屍と化したエルランドがいた。

哀れ。

まぁあいつらしいと言えばらしいんだけどさ。

それよりも力を使えないってどういう事だ?

使うもなにも持て余しているように見えたけど?


「忘れたのか?ヴィルムの呪いがあいつを蝕んでいることを。次本気で戦えばあいつはもうあいつではいられないかもしれない。だからあいつは自らの戦場死に場を探してるんだ。生きることを諦めた者になど私が負けるはずない。」


ああ、そうか。

その言葉で気が付いた。

いや、気づかされてしまった。

ルイセントはエルを諦められないのだ。

本人が生きることを諦めても。

戦い抜くことを諦めても。

きれいに死ぬことを望んでも。


この人は。

この賢者だけは。

エルランドの持つ希望を信じずにはいられない。


その感情が何からくるものなのかまではわからないがそれでも俺が入れる隙間などないような感情であるという事だけは確かだ。


だったら俺もエルランドの希望を信じる。

信じる。

それだけで未来が変わるわけなどないがそれでも信じよう。


エルランドの希望を。

竜にまだ子を愛する気持ちがあることを。


世界の声を。


俺は、俺たちは信じる。








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