第216話 残念な兄妹
※
リュースティアたちが屋敷で作戦会議とは名ばかりな状況を楽しんでいる頃、、、、、。
町のとある一角で男が女を待っていた。
「おせぇ。あのバカ何してやがる。」
すでに約束の時間からは2時間が経過している。
遅いと文句を垂れてはいるが男は実際に2時間も待っていない。
この場所についたのは30分前。
彼女が時間通りに来ないことなど承知のうえだ。
「俺もあいつん家に行った方がよかったな。めんどくせぇ。。。。」
つい愚痴が多くなる。
待つのは苦手だ。
と言うよりじっとしているのが。
「はぁはぁはぁ。ごっめーーーーん!」
一風の風が吹き抜けた。
「おせぇ。って言いたいところだがまず自分が来た道を振りかえれ。」
「へ?後ろって、、、、、、、やばっ。」
彼女が駆け抜ける疾風のごとき速さに巻き上げられた物がそれはもう悲惨な感じで。
台風が通りすぎたかのような有り様になっていました。
もちろん被害を受けた店の店主からは罵詈が飛ぶわけで。。。
「てめぇ、ティナ!またお前か。」
「うちの商品どうしてくれんだ!」
「ティナちゃん?ちょーっといいかしら?」
「あぁぁ!俺の俺の大事な野菜が、、。」
「ほっほっほ。若いのぉ。」
若干一名、暖かいおじいちゃんが混ざっていたが。
「あはははー。逃げよう。」
苦笑い。
そして踵を返し脱兎のごとく逃げ出そうとし。
「おい逃げんなバカ。」
捕まりました。。。
※
「もう、お兄ちゃんの意地悪!あそこは完全に逃げるとこだったじゃない。」
街で一悶着あり、それをなんとか穏便に解決し今にいたる。
場所は東の森。
さすがに気まずすぎて街にはいられなかった。
危険区域に指定されている森だがこの二人であれば街中と大差ない。
現に二人の通った後には魔獣の死体がちらほら。
以前ルノティーナが壊滅状態まで追い込んだから数は少ない。
それでも襲われるくらいには生態系が戻っているところをみるとやはり魔獣の繁殖力は高いらしい。
もっとも魔獣の発生原因などこの二人が知るはずもないが。
「バカ、逃げてどうすんだ。俺はともかくお前はあの街に住んでんだろうが。一時しのぎにもならねぇだろ。」
「あっ、確かにそうね。」
「はぁ、なんで俺の妹はこんなにバカなんだ。こいつといればどんなやつでも普通だな。」
先を歩くエルランドの呟きは森の騒音にかき消されルノティーナの耳には届かない。
「それよりもお兄ちゃん。今日はどうしたの?リューにぃとの婚約をお祝いしに来てくれたなら屋敷に来ればよかったのに。」
周囲の魔獣もあらかた排除し、適当な木陰に腰を下ろした。
小休止ならば飲み物や食べ物がほしいところだがあいにく寝坊し家を飛び出てきたルノティーナはなにも持ち合わせていない。
一方のエルランドもそういった事には無頓着。
現地調達でなんとかなると思っている口だ。
「他の奴らには聞かれたくなかったからな。俺と一緒にルイが来てる。」
「うん、今日家で会ったから知ってる。」
一瞬だけだが言葉も交わした。
急いでたからよく見てないけど相変わらずきれいだったと思う。
「おそらくあいつの目的はリュースティアだ。あいつがどんなやつか見定めたいんだろう。それで自分の計画に加えるのかを判断するつもりだ。」
いつにもまして真剣な兄の表情に違和感を覚える。 胸騒ぎがした。
「何をするつもりなの?」
「さぁな。そこまでは知らねぇけどなんか企んでるのは事実だな。」
「なんでお兄ちゃんにそんなことがわかるのよ。」
彼の話を聞くがり直接聞いた話ではなさそうだ。
同じパーティーに属してる以上関わりは深いだろうし何かしら変化でもあったんだろうか?
しかしこの兄の事だからたぶんまともな解ではないだろう。
「本気で殺ればわかんだよ。強くていい女がいたら何度でも殺るだろ?そしたら違和感くらい気づくっての。」
この
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