第214話 そろそろ本題へ

「さてと、一通り笑ったし、本題に入るか。」


淹れなおした紅茶をそれぞれの前に置く。

もちろんカーペットの上で泡を吹いたまま気絶している人は放置だ。


「それはいいけど今日の本題って結局なんなの?」


淹れなおした紅茶ではなくブラウニーに手を付けながらシズが聞いてきた。

せっかくなんだから温かいうちに淹れなおした紅茶の方を飲んでほしい。

本日お披露目のブレンドティーなのに。

ベースはダージリンっぽい茶葉にしてそこに貴族が飲む定番茶葉を少々ブレンド。

最後には香草を加えたオリジナルだ。

自画自賛じゃないが一杯1500円くらい出してもいいほどのレベルだと思っている。

それこそケーキ屋じゃなくて紅茶屋に変えてもいいと思えるほど。


「ああ、そろそろ対アルフリックを真剣に考えようと思ってさ。みんなで作戦会議ってとこかな。」


「はぁ⁉まだ何も考えていなかったの?」


シズ、口からブラウニー飛ばさないで、、、、。

汚いし、何よりあなた淑女でしょ?


「あっ、この紅茶おいしいですね。飲んだことのない味ですが香草のさわやかさがいいですね。」


えーっと、リズさん。

そのセリフはとてもうれしいのですが今じゃないよね?

という非難の視線を向けるとリズは悪びれる様子もなく。


「あら?だってリュースティアさんはそういう人じゃない。問題は直前まで放置するタイプだもの。」


うっ、事実なだけに言い返せない。

そうなんだよね、基本的にその場その場で生きてるからさ。

実際に問題が目の前に来て無視できなくなるまで放置すんだよね。

けどそれを認めるのはなんか癪だ。

このままだと完全に嫁の尻に敷かれる。

いや、誰が嫁だ!


いかんいかん。

自分で自分に突っ込んでしまった。

落ち着け、まだ俺のターンだ!


「別に放置してたわけじゃ、、、、、、。はい、放置してました。」


くっそう。

相変わらずリズのあの視線には勝てる気がしないぜ。




「おい、起きろ駄賢者。」


話しが進まないので泡吹いたままの賢者を起こすことにした。

内面を知ってしまったからかルイセントが絶世の美女エルフでも食指が全く働かない。

はっ、これが本当の賢者⁉


「うーん、み、緑のものはもう、、、。」


いら。

いらいら。


起きる気配がない。

この駄賢者め。

寝起きまで悪いとは手のかかるやつだ。

さて、どうやって起こすか。

ふつうに気付け薬を飲ませてもいいがそれではつまらない。

かといってまたスムージーを飲ませたらもう起きないかもしれないしなぁ。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。ぷはっ!!はあはあ、貴様、殺す気か!」


とりあえず口と鼻をふさいでみた。

息苦しくなったらさすがに起きるだろうと思って。

実際それは正解だったらしい、すぐに起きたよ。

顔を真っ赤にさせて。


「お姉ちゃん、私早まったかなぁ?だんだんリュースティアがただの鬼畜に見えてきたんだけど。」


「あらシズ、奇遇ね。私もよ。ついていけるかしら。」


おい、君たち?

聞こえてるぞ、誰が鬼畜だ、誰が。

というか別に婚約は俺の意思じゃないし、解約してくれるなら願ったりかなったりだ。


「じゃあ改めて、ルイセント。」


場が落ち着いたのを見計らってルイセントに話を振る。

ルイセントは今回の会の主催者のようなもんだし一番情報を持っている。

だからまずは彼女の話を聞いてそこからいろいろ考えてみよう。


「あ、ああ。アルフリックは今は王都にいるはずだ。だがすぐに魔王討伐の為に王都を発つはずだ。おそらく次の目的地は南の大陸キョクサだろう。」


「魔王を倒す?魔王はあいつを新たな王として迎い入れたんじゃないのか?」


たしかそんなような話をだれだっけな、ロイスだっけ?

聞いた気がする。

現に鳥人族の魔王はアルフリックの配下だったし。


「すべての魔王が配下になったわけではありません。古き時代を生きた魔王以外が正しい。ハリストスと彼らは別勢力だ。」


どこからともなく、というかリュースティアの影からそんな声が聞こえてきた。

そしてそのあとすぐに見慣れた顔が影の中から現れる。

もっとも頼りになる男の登場だ。

普段から表情の変化が少ないのでわかりずらいがその顔は若干得意げだ。

なにかいい情報を知っているのだろう。

だがそれよりも聞きたいことがある。


「レヴァンさん!俺の影に住んでんの⁉」



(((そこじゃないだろ⁉)))


リュースティアの馬鹿な発言とみんなの内心の叫びをスルーして微笑むレヴァンさん。

うん、さすが大人。








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