第213話 初代賢者の咎
*
「ルイセントさんや、咎とは何ぞやね?まさかとは思うけど神殺しとか、してないよね?」
仮にその咎ってやつが殺しとかだったらマジで笑えない。
目の前のルイセントが誰かを殺すとは思えないがなにせ何千年も前の話だ。
人は変わる。
「いっそのことそれくらいやっていた方が拍がついてよかったんじゃない?」
えーっと、どうやらルナは過去を思い出して笑っているらしい。
そういう身内ネタさ、俺ついていけんのよ。
けどルナがわらってられるくらいってことは神殺しみたいなたいそれたことはしてないな。
安心、あんしん。
ってなるとなおさら気になるな。
これは完全にルイセントの弱みだしな。
「ほら、さっさと言って楽になっちゃえよ。な?」
「、、、、、、。やはり貴様が真の魔王か。昨日のクックの気持ちがよくわかるな。」
うん?
それは心外だなぁ。
こんなにも紳士的に聞いてるのに魔王だなんて。
ただ面白そうなネタだからすこーし真剣に聞き出してるだけじゃないか。
「そうか、真剣にとあくまで貴様は言うんだな?じゃあ聞くがその手に持っている異臭を放っている飲み物はなんだ⁉」
「ああこれ?スムージーだけど。」
もちろんただのスムージーなどではない。
リュースティアが改良に改良を重ねた激マズスムージー改である。
こいつの効果を知っている双子の二人は固く口を閉ざしたままだ。
賢明な判断である。
もっとも顔はかなり青ざめ引きつっているが。
安心してくれ、二人に飲ませる気はない。
「すむーじぃ?聞いたことのないものだな。毒か?」
「失礼な、れっきとした飲み物だっつうの。健康機能食品だ。」
「は?それが飲み物だと⁉そんな青臭い異臭を放つ飲み物なんてあってたまるか!おい、こら、それを近づけるな!」
おいおい、そんなに嫌がらなくてもいいじゃないか。
すこーし苦みがきつくて後味が最悪だが死ぬわけじゃない、大げさだ。
というかエルフは草食ってイメージなんだが?
「いやー、だってなんか話しにくそうだし?飲み物でも飲んで落ち着けば少しは話やすくなるかなーって。、、、、最近ストレスたまってたし。」
そうなんだよねー。
最近いろいろあってストレスたまってんのよ。
だから少しくらい悪ふざけしてもいいと思うんだ。
少しくらい困っている人を見て楽しむくらい許してほしいもんだな。
かわいいイタズラじゃないか。
「おい、エルフは耳がいいんだ。しっかり最後まで聞こえたぞ?ふざけるんな、誰が貴様のストレス発散に付き合うか!」
ったく、つれないなぁ。
鼻をつまみ顔を青くしているルイセントが必至て抗議をしている。
そんなに飲みたくないんならさっさと言えば?
ってかたぶん本題わすれてんな。
ってことで一気にゴー!
「あははーもう遅いって、さっ、一気にどーぞ。」
「だからそれを、、、っつ⁉貴様私に何をした⁉」
だから遅いって言ったじゃん。
もうルイセントは影魔法で拘束済み。
逃れられないよ?
「お、おい。リズにシズ、貴様たちの旦那だろう?何とかしろ!」
いやー、テンパる賢者様もなかなかの見ものですなぁ。
醜態も晒したし、いろんな賢者が見れてよかった。
「そういえばシズ、ギルドの書類って二階だったかしら?」
「う、うん。けどどこにしまったか忘れたからお姉ちゃんも一緒に探して。」
さすが双子。
阿吽の呼吸で非難に成功。
まぁスムージーの効果を知っている二人としてはルイセントを見捨てるのは正しい判断だ。
((ルイセントさん!ごめんなさい!!!))
*
「ほら、な?どうした?俺が飲ませてやってもいいんだぞ。」
はい、それはもうとてつもなく言い笑顔で言いました。
だってこれを飲ませるのは俺の善意からくるもんだしな。
「ルナ様!ルナ様、、、、、、、。」
ルナに助けを求めても無駄でしょ。
完全に楽しんでるもん。
お腹抱えて笑ってるよ。
ちゃっかり光魔法でシールド作ってその中にいるけど。
「わ、分かった!話す、話してやるからそれを仕舞え!」
あははー必死のルイセントって面白いなぁ。
けどごめん、聞こえなーい。
「むぐっ、ぐっ!!!!!!!!!!!!!!!」
ふぅ、無理やり口に入れるって案外難しいんだな。
口から泡を吐き悶絶しているルイセントを見てそんなことを思った。
あっ、忘れてたけどルイセントって女の人だった。
まぁ中身は男みたいなもんだし、いいか。
それに第一印象は冷静沈着、完璧主義者みたいなイメージだったけどこうなると残念な人だな。
まぁ威厳をぼろくそに砕いた本人が言うことでもないんだけどさ。
「でさ、結局ルイセントって過去に何したわけ?」
聞きたかったことを聞くまえにルイセントが撃沈してしまったのでさっきから笑い転げているルナに話を振ってみた。
彼女なら知っているだろうしね。
「あっはは、ふー。リュースティア、あなた最高ね。ゲリュオンをこんなにするなんて数千年生きていてよかったわ。」
「おほめにあずかり光栄なんだがルイセントの咎を教えてくれ。」
「主人だった神から神酒をくすねたのよ。」
酒を盗んだ?
主から?
たったそれだけ?
うっわー、
想像以上にしょーもない理由だったわ、、、。
聞かなきゃよかった。
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