第194話 転生者

スーーー。


吸ってぇ。


フーーー。


吐いてぇ。


スーーー。


もっかい吸ってぇ。


フーーー。


もっかい吐いて。


よし。

落ちついた。

気を取り直してもう一度。


「最後の部分をもう一度。」


「賢者は転生を繰り返している。」


うん。

なるほどね。


フッ。


聞き間違いじゃなかったぁーー!



「転生って死んでも自我を保ったまま次の魂の器に入っていうあれ?」


「信じるのか?普通の者たちはたいていが証拠を見せるまで信じないんだがな。」


ええ、そうでしょうよ。

けど俺は信じるよ?

だって俺もだもん。

まぁ俺の場合は異世界って言葉が頭につくが。


「まぁね。嘘をついてるやつは大体わかる。ルイセントはそういう風に見えなかったから。」


別に理由があるんだがそれこそ信じてもらえそうにないので口からでた出任せを言っておく。

出任せといっても嘘をつかれるとなんとなくわかるので100%出任せというわけでもない。


「あとは自分にも心当たりがあるから、か?」


なっ!?

なんでそれを?

いや、待て。

ブラフかもしれん。

こっちの反応を伺っているのか?

ならここは無表情スキルの出番だ。

頑張れ、俺のMAXスキル。


「さぁ、なんのことかさっぱりだ。」


「そうか、それならいい。こちらとしても詮索するつもりは毛頭ない。気にしないでくれ。」


あれ?

案外あっさりと引き下がったな。

もっと追求してくるかと思ったよ。

まぁ向こうが良いって言ってるしこっちからわざわざ墓穴を掘る必要はないだろう。


「別に気にしてないからいいよ。でさ、転生?ってつまりはどういうことなん?」


せっかくだし転生について教えてもおう。

スッゴい今さらな感じがするが自身の事を調べるのも悪くない。


「賢者は転生を繰り返す。とは言ったが転生といっても完璧なものではない。」


「完璧じゃない?転生することか目的なんだったら転生に成功したら完璧はなずだろ。」


賢者なだけあって完璧主義者だな。

とか思ってた。

俺の中でどんどん賢者のイメージが出来上がっていく。


「成功することと完璧であるということは必ずしも同列に並ぶとは限らない。転生には成功したものの引き継げたのは知識と断片的な記憶のみだったからな。」


知識が引き継げられたなら問題ないと思うけどね。

だって賢者だし。

記憶が断片的ってことはその時代で印象深かったことが自動的にバックアップされるてんのかな?

どういう基準があるんだろう。

色々と興味深かいな。


「つまり、神代からの知識を引き継いでるから始まりの魔法が使えるってことか?」


「そう言うことだ。さらに転生の度にさまざまな知識を学び、新たな魔法を習得する。よってこの世に存在する魔法で私が使えない魔法はない。」


ってことはレヴァンさんの影魔法とかロイスの結界魔法とか使えるって事だろ?

ふーん。

やっぱり賢者ってすごいんだなぁ。


「ねぇ、ルイセントの話し方も引き継いできた記憶の結果?」


そう、これ。

わりとどうでもいいんだけど気になってたんだよね。


「引き継げる記憶は断片的だと言っただろう。転生ごとに種族、性別はもちろん、性格も異なる。」


「ふーん、じゃあ今のルイセントは今だけってことだな。じゃあ次、断片的に引き継げる記憶ってどんなの?」


「質問が多いな。」


あっ、笑った。

口で言うほど嫌がってはいないみたいだ。

まぁ話して楽になることってあるよね。

よし、話しを聞くくらいならいくらでも聞いてあげよう。


だからもう一回、天使の微笑みを!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る