第185話 賢者の暴走

「で、えーっと。セイモアさんでしたっけ?なにか用です?」


とりあえず2人をリビングに案内した。

運がいいのか悪いのか、他のメンバーは外出中。

この屋敷にはリュースティアしかない。


あっ、忘れてた。

シルフは家にいるわ。

ただあいつは寝坊助だからまだしばらくは起きてこないだろう。

ディーネは一昨日から祠の様子を見に行ってるし。

つまり、面倒な奴らはいない。

これなら話がややこしくなることもないな。


「ルイセントでいい。それにそんな畏まった口調も必要ない。普段通りに接してくれ。」


いやー、やっぱりその口調と外見のギャップに慣れない。

もしかしてこれがギャップ萌えか!?


「そうそう、ルイの言うとおりだぜ。こんなやつに畏まる必要なんてねえよ。ただの賢者様だしな。」


さらっと新しい情報出してきやがったな。

それは年長者がどうこうよりも畏まる必要があるんじゃないか?

そんなことを思ったり思わなかったり。

まぁでも本人もいいって言ってるし気にしなくてもいっか。

どっちみちあんまりそういうの得意じゃないし。


「そっちがいいならそうさせてもらうけど。それよりなんの用?どうせエルは戦いにでもきたんだろーけど。」


「ん?ああ。俺はそれでもよかったんだけどな。表向きの来訪理由は妹の結婚祝いだよ。んで、それを言ったらルイも一緒に行くって言うからよ。連れてきたんだ。」


ケッコンイワイ?

ケッコンイワイ。


っつ、あのばか娘が!

やっぱり厄災運んできやがった。

道理で連絡がつかないわけだよ。

そりゃ移動してたら捕まんないよな。

さて、これはどうしたものか。

誤報だと伝えるのは容易い。

だがそのあとにエルがぶちギレない保証はない。

だからといってルノティーナとの婚約を認めるのはもっとない。


うん、ルノティーナが帰ってくるまで待とう。

それであいつに丸投げしよう。

身から出た錆ってやつだ。


「なんだ、じゃあエルもルイセントがここに来た理由は知らないのか。」


「聞いたんだけど教えてくんねーの。ったく、嫌なやつだよな。」


そんなに言いにくいことなんだろうか?

嫌な予感がしてした。

それにしても教えてくれないだけで嫌なやつ認定とは、、、。

なかなか世知辛いな。


「貴様には関係ない事だったのでな。それに言ったところでどうせ貴様には理解できん。」


あなたもあなた。

なんでそう言う言い方になんのかなぁ。

エルの性格知ってたらこの後の展開くらい想像できるでしょうが。


「あぁ?喧嘩売ってんならはっきり言えよ。相手してやらぁ。」


ほらね?


「まぁそういきり立つな。だが喧嘩を売ったのは事実だ。相手はしてやる。」


おっと?

雲行きが怪しくなってきたぞ。

この賢者様どうした?

もしかしてこの方も戦闘狂のお仲間ですか?


「へぇ!珍しいじゃねーか。ルイが乗り気になんなんてよ。」


「私は貴様のように低能ではないからな。」


もうなんでそうやって煽るのかな。

エルが短気なの知ってるでしょ。

はぁ、もういいや。

勝手に喧嘩でもなんでもしてくれ。

ただし森で。


「てめぇ!ぶち殺してやる!東の森まで来やがれ。」


あっ、よかった。

妹と違ってここで暴れないだけの常識は持ってるのね。


「そう慌てるな。お前の相手は私ではない。」


喧嘩売ったのはあなたでしょーが。

従魔にでも相手をさせるつもりか?

なんにせよ今のエルを相手にさせられるなんて可哀想なやつ。

まぁ、俺には関係ないけど。


「頼んだぞ。リュースティア。」


・・・・・・・。


Way!?






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