第184話 最強師弟、再び
*
扉を開けた瞬間、頭のおかしい戦闘狂が斬りかかってきた。
あっ、頭がおかしいから戦闘狂って言うのか。
とりあえず自分自身にツッコミを入れられるくらいには余裕がある。
つまりは本気で斬りこんできてはいない、ってこと。
本気じゃないからなんだってことなんだけどさ。
もうなんか相変わらずというかさ、さすがすぎてなんにも言えない。
若干本気であきれつつも体がちゃんと反応している辺りは今までの経験のおかげだろう。
心とは反対にエルランドの急襲にもなんなく対応している。
めんど、、、うぉほん!
被害が最小になるように風魔法で自分とエルランドの間に風の障壁を作る。
目視できるようにしたからこれでエルランドも止まるだろう。
しかしエルランドはそんな障壁など意に介さずそのまま斬りこんできやがった。
やっぱりこいつは馬鹿だ。
常識的な考えで相手をしようとした俺が間違っていました、、、、。
なんかこの無茶苦茶な感じも久々だな。
はぁ、仕方ない、覚悟を決めて相手をするか。
誰とも知らずにリュースティアは決心を固める。
そして障壁と剣が今にもぶつかろうとした瞬間、すべてが静止した。
リュースティアの決心はそうしていとも簡単になかったことにされたのであった。
残念。
ちなみに、エルランドが攻撃をやめたのではない。
彼は文字通り攻撃姿勢のまま静止している。
もちろんリュースティアがなにかやったわけではない。
つまりは第三者の仕業。
リュースティアは乱入者がいることに気が付き周囲を警戒する。
「おい、ばばぁ。邪魔すんな。」
周囲を警戒しているリュースティアの耳にそんなことを言うエルランドの
声が聞こえた。
そして気が付いた。
エルランドは1人ではない。
連れがいたのだ。
そしてエルランドの言葉を素直に受け取るならば2人の戦いに水を差した人物でもある。
あっ、別に戦いたかったわけじゃないからむしろありがたいんだけどね。
「いきなり訪ねて斬りかかるのを見て止めないという方がおかしいだろう。貴様に礼儀というものはないのか。」
声にはもう呆れというかあきらめというかなんかいろいろにじんでる。
このやり取りだけでなんとなく二人の関係性が分かった気がする。
同志よ!
あなたのような存在を待っていました。
「何言ってんだ?会ったら速攻でやるのが礼儀だろ。」
剣を鞘に納めながらしぶしぶ言う。
どうやら硬直はすでに溶けたらしい。
それにしてもしぶしぶながらもエルランドがいうことを聞いていることにびっくりだよ。
この人もしかしてなかなかにしてできる人なのではないだろうか。
「いきなり訪ねてすまないな。馬鹿は放っておいていいだろう。お前も扱いには慣れていると思うしな。挨拶が遅れたが私はこいつのパーティメンバーの1人、ルイント・セイモアだ。お前の話はいろいろと聞いている。」
そう言ってルイセント・セイモアと名乗った人物は手を差し出してきた
エルの連れにしては礼儀正しいというかちゃんとしているな。
などと思いながら差し出された手を取ろうとして相手の顔を見たリュースティアは思わず硬直してしまった。
もちろん先ほどの魔法?のせいではない。
美しすぎる。
目の前には絶世の美女がいた。
声や話し方からしてもっと上の年齢だと思っていたが歳の頃はリュースティアよりも少し上、エルと同じくらいかな?
白い肌にエメラルドグリーンの長い髪。
人形のような顔に大きな瞳、それは髪の毛と同じエメラルドグリーンに輝いている。
そして何よりもリュースティアを驚かせたのはその耳だ。
先端がとがっている。
もしやこれがうわさに聞くエルフという種族だろうか。
「なんだ、エルフを見るのは初めてか?確かにここら辺では見かけない種族ではあるがそこまで珍しくもないだろう。そんなに凝視するのはやめてくれ、多少なりとも居心地が悪い。」
「そうそう、見かけに騙されんなって。こいつこんな見た目してっけど実際は何百歳のばばぁだからよ。」
リュースティアが硬直したままなのを見かねてかルイセントがそんなことを言い、エルランドが便乗してきた。
もっともエルランドの場合はただ場をひっかきまわしている感じしかしないが。
「すいません、初めて見かけたものでつい。とりあえず中へどうぞ。」
2人の声で我に返ったリュースティアはとりあえず来客を中へと通す。
これでいきなりバトル、なんてことにはならない。
そう思いひとまず胸をなでおろしたリュースティアなのであった。
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