五章 賢者

第181話 親子の時間

「今日も平和ねー。」


ルノティーナ、いきなりどうした?

お前がそう言うこと言うともうそれフラグだから。

絶対なんか起こるから。


「そうですねー。こんなにいい天気ですしお弁当でももってお散歩にでも行きますか?」


「いいわね!私もたまには外でゆっくりと羽を伸ばしたもの。」


お前はいつどこでも羽を伸ばしまくってるだろ。

むしろ自重を覚えろ。

ついそんなことを突っ込んでしまいたくなったが自重する。

自重とは何か、ルノティーナにお手本を見せてやろう。


「ごめん、私はパス。ちょっとギルドに用事があるの。」


てっきりみんなで行くものかと思っていたらシズが申し訳なさそうにそんなことを言ってきた。

なんか最近みんなが揃うのことが少なくなった気がする。

いや、別に寂しくはないんだが。

それに母体数が増えたから何とも言えないしな。


「シズがギルドに用事なんて珍しいな。なにかあったのか?」


「ちょっと実家の事で呼ばれてるのよ。っておねえちゃんもでしょう?」


「そうだけど、、、。シズひとりじゃダメ?」


おい、リズ。

さすがにそれは姉としてどうなんだ?

貴族の義務ってやつはどうした。


「ダメに決まってるじゃない!ほら、行くわよ。」


うん、ですよねー。

リズさん、今回は諦めてください。

シズが正しいです。



というわけで言い出しっぺは不在だが行ける者たちで東の森まで散歩に来た。

東の森は魔物が出る危険区だがSランクが二人、Bランク一人のパーティーなら何の問題もない。

というかいつの間にかスピネルがBランクまで上がってた。

おとうさんびっくりだよ。


「スピネルはBランクになったんだな。ついこの前まで冒険者でもなかったのに、すごいな。」


「・・・・ん、頑張った。」


くぅ!

可愛いぜ、俺の娘。

ほめられて少し得意そうだ。

思わず抱きしめたくなるがスピネルも年頃の女の子だし、頭をなでるだけで我慢する。


「じゃあそんないい子にはご褒美を上げないとな。なにかほしいものとかあるか?」


頭をなでられてうれしそうなので一安心。

これで拒絶されようものならお父さん生きていけない!

しっぽが左右に振り振りしてやがるぜ。

耳もピコピコしてるし。

うれしがってるスピネルは最高にかわいい。

これが俺の結論です。


「・・・・・ん。」


「どうした、なにかあれば言ってみ?可能な限りだけど望み聞いてあげるぞ。」


なんだろう?

すごく言いにくそうにしてるな。

もじもじしながら下向いちゃって。

そんなに頼みずらい事なんかな。

遠慮しなくていいのに。


てかくそかわいいな。


「・・・・・リューと一緒、だめ?」


「俺と一緒?どっか行きたいのか?」


ようやく決意ができたのか顔を上げるとそんなことを言ってきた。

勇気を出して言ってくれたのはうれしいんだが漠然としすぎててよくわからん。



「・・・・スピネルも剣、欲しい。リューと同じ。」


「俺と同じ剣ってことは風神か?」


「・・・・・ん。」


「そっか。けどごめんな。風神はあげられないんだよ。こいつはこの世に一振りしかなくて、相手を選ぶ剣なんだ。」


「・・・・だめ?」


ぐはっ。

そんな悲しそうなうるうるお目めで見ないでくれ。

あげたいけどこれだけは無理なんだよ、、。


「リューにぃ、違うわよ。スピネルは風神そのものが欲しいんじゃなくてリューにぃと同じ剣を使いたいのよ。つまりお揃いがほしいの。」


リュースティアが泣きそうな娘を前におろおろしてると天の声が!


「スピネル、そうなのか?俺とおそろいの剣がほしいってことなのか?」


「・・・・うん。」


そこで照れるとか反則だよ。

てかそれくらいなら問題なく創れる。

用はレプリカってことだし。

さすがに風神ほどはむりだけど少しなら魔法付与できるしな。

スピネルにぴったりな剣創ってあげよう。


「それくらいならお安い御用だ。任せとけ、最高の相棒プレゼントしてやるよ。風神の弟だな。」


「ん!」


おお!

喜んでる、喜んでる。

かわいいなぁ。

ほんとに。


「じゃあ早速明日から創るぞ!もちろんスピネルにも手伝ってもらうからな?」


「ん!」


材質は魔鋼からとるとしてありったけの魔力を込めて強化して、付与するのは、、、、、。

とまぁすで脳内で構成を初めているリュースティアはスピネルの幸せそうな表情を見逃すのであった。



「明日も一緒。同じ剣、これからはいつもリューと一緒。」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る