閑話 道化師の仮面 1
*
「ふぁーー。リューっち次のげーむはぁ?」
リュースティアが自室で作業をしているとマルスがノックもせずにそんなことを言いながら部屋に入ってきた。
作業に集中しているリュースティアはマルスの入室に気が付かない。
「ねぇってばぁ!」
「うわっ!急になんだよ。部屋に入るなら声くらいかけろよな。」
「ちゃんと声はかけたよぉ?それよりもリューっち、今創ってるのってもしかして。」
なんだよ、リューっちって。
変な呼び名付けんな。
にしてもそんなキラキラした目されてもなぁ。
こいつホントにただのガキなんだよな。
いまだに魔族九鬼門の一人とか信じられん。
確かに悪い奴ではあるんだけど純粋な悪?無邪気?だから恨むに恨めん。
「ねぇ、ボーっとしてないでどうなのぉ?それってあれでしょ、アレ!」
「悪い悪い。そっ、これが前に話してたMMORPG(簡易版)だ。これに関しては俺もそんなに詳しいわけじゃないからなんかあったらその都度改良するよ。」
そう、アレとはゲームの行き着く先。
みんな大好きMMORPGである。
もっともリュースティアの記憶&知識を元にしているので完成度はそう高くない。
だがこの世界では画期的であることは疑いようがない。
現に実物を手渡されたマルスは説明を聞くうち目を見開いたまま硬直してしまった。
それほど衝撃的だったんだろう、って思うことにする。
「おーい、大丈夫か?とりあえず説明はこんなもんかな。あとはやって覚えてくれ。」
「うわぁ、うわぁ!すごいねぇ、ほんとに。僕びっくりしたよぉ。こんなモノがまだこの世界にはあったんだねぇ。」
この世界にってところは少々訂正を入れたいが。
言ったところでどうなるわけでもないし別にいいか?
それにしても、、、。
「なぁ、マルスって結局何者なんだ?そもそもお前、なんでアルのってか魔王たちについてたわけ?確かに魔族で、長命で、腹黒いし性格歪んでそうだけどそんなに極悪非道ってわけでもないし。全部見たわけじゃないから、知らない一面もあるんだろうけど、他の魔族とは違う気がすんだよ。って言ってもピンクモフモフとピ○○ュ○、ロイスくらいしか他の魔族なんて知らないけどな。」
ふと思いついたことをそのまま口にした。
前から疑問だったんだけどこの際だし、聞いてみたいと思った。
この先こいつとゆっくり話せる機会なんてあるかわかんないからな。
まぁ一番の理由はたぶんマルスのことをちゃんと知りたいんだと思う。
利害関係の一致した関係。
確かにそれは安全な距離だと思う。
その距離を俺が勝手に縮めようとしている。
俺がマルスを知りたいから。
ただそれだけだ。
「なぁに?そんなに僕の事が知りたいのぉ?僕は君も知っている通り、ただの道化。おもしろ可笑しくこの世界を生きているだけなんだよ?だから必要なのは笑いだけ、そこには僕っていう個すら必要ないんだぁ。だから僕は死ぬまで
ほら、まただ。
またそういう顔をする。
笑顔の合間に見せる悲しそうな瞳。
きっとそれが道化の仮面がはがれた一瞬。
きっとそれが本当のマルス。
だけど俺にはまだ見えない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます