第175話 天ぷらうどん
*
「もう一回!ねぇ、もう一回だけ!今度こそ最後にするからさぁ、お願いだよぉ。」
空にはすでに星々がきらめき、その星々でさえも落ち着きを取り戻しつつあるころ。
リュースティアの屋敷ではマルスのはしゃぐ声が響いていた。
そしてそんな元気いっぱいのマルスの前にはすでに魂の抜け殻と化したリュースティア。
そのあまりにも温度差のある光景に何かを言う者はすでにここにはいない。
みんな早々にギブアップし、自室へと引き上げていった。
しかもレヴァンさんにいたっては最初から不参加。
ずる過ぎる、、、、、、。
まあなぜこんな状況になったのかというと時をさかのぼること6時間。
マルスがリュースティアたちの屋敷に足を踏み入れた瞬間からすべての悪夢が始まったのだった。
*
とりあえずマルスを説得し、屋敷まで連れ帰ることに成功したリュースティアは念話でシルフに無事であること、魔族をもう一人連れていくことなどを連絡しておいた。
ついでに必要な食材などの買い出しもお願いしておく。
このおつかいがあの幼女にできるかはかなり不安しかないがそこはリズたちが何かしらフォローするだろう。
お金は、、、まぁ何とかなるさ。
ってことで屋敷に帰ったリュースティアは食事の準備をするためにマルスの相手を眠んアに任せた。
時間をつぶす、もといマルスの気をそらさせるために何個かおもちゃを置いておく。
オセロ、トランプ、かるた、花札、ジェンガ、チェス、囲碁、将棋等々。
もともと家にあったのもあるが大半は屋敷までの帰り道にスキルで創ったもの。
知識だけはあったからすぐに創れた。
材料もストレージに入っていたもので何とかなったし。
ってことでマルスの相手はみんなに任せて俺はさっさと夕飯を作っちゃいますか。
本日のメニューは和食。
天ぷらうどんに、手製豆腐の前菜つきだ。
デザートも和食に合わせて和菓子にする。
どら焼きとか饅頭だとおなかにたまるからジュレと練り切りあたりにしようと思う。
練り切りは日本人らしく繊細な仕上げにして見た目も美しく。
ジュレは見た目さわやかに、透明感を活かして中にもう一つの世界をつくる。
これで味だけじゃなく見た目も楽しめるデザートの完成だ。
逆にごはんの方は100%味を重視する。
うどんはもちろん手打ち。
前に打ったのがあるからうどんはゆでればいいし天ぷら用の食材の下処理をしていく。
そしてもっとも大事なてんぷら粉。
絶妙な硬さになるように冷水を加え、油の温度を上げる。
そしていざ投入。
キレイな色をした油から気泡が浮き上がる。
まだ、まだだ
もう少し、、、、、、。
いまだ!!
「よし、完璧だ。」
完璧なタイミングでてんぷらを油のプールから救いあげ、しっかりと油をきっておく。
そして特性のだしから取ったスープを温め、うどんを茹でる。
これで誰もが舌鼓を打つ絶品天ぷらうどんの出来上がり。
ってことで出来立てを食卓に運び、みんなを呼ぶ。
「んじゃ、いただきます!」
出汁の香りに食欲をそそられみんなの箸が進む、進む。
いやー、作った本人からすればこんなうれしいことはないよね。
おいしそうで何よりだ。
マルスなんか何もさっきまではしゃぎようが嘘みたいに黙々と食べてるし。
まぁ、おいしそうに食べてるからいいけど。
そして、リュースティアが腕によりをかけて作った夕食とデザートをぺろりと平らげたマルスは眠気に負けたのかそのまま眠ってしまった。
満腹になったら寝るってまんま子供じゃん、とか思ったのは仕方がないと思う。
だって事実だし。
ってことで今のうちにゲームを創ろう。
そう思い夕食の片づけはみんなに任せ、自室に戻る。
そして何個か試作機を完成させた頃、部屋にノックの音が響くのだった。
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