第174話 お泊り会への招待

やばい。

これはかなりやばい。

前世の知識を生かして遊びを教えてやれば簡単にマルスを懐柔できると思ってた。

まさかすでにアルがこいつに遊びを教えているなんて考えもしなかったよ。。。

完全に俺の落ち度だ。

くそ、どうする?

考えろ。

考えろ。

今までだって何とかピンチを乗り越えてきたんだ。

なにか面白い事の一つくらい考え付くはずだろ。

考えろ。


「ふあぁー。なんか眠くなってきちゃったなぁ。どうするぅ?なにもないならそろそろ僕も帰るよ。君の事、王に報告しないといけないしぃ。それにロイスの始末もあるしさぁ。僕、実はけっこう忙しいんだぁ。」


「ちょっ!ちょっとタンマ!まだあるから、えーっと、えーっと。」


やばい、こいつあれだ。

マジで帰る奴。

気を抜いたら簡単にこの場から消える。

そんで次の日にはアルに俺の生存がバレる。

つまりあいつとの闘いの火ぶたが切られてしまう。

それだけはだめだ。

まだ早い。


「えぇー。でも僕もう眠いんだよぉ。今日はもう十分遊んだし、君も面白かったよぉ。じゃぁねー。」


「いや、だから待てって!」


バランスボールもどきが上昇を始めたのでとっさに手を伸ばして上昇を止める。

ふぅ、危ない危ない。

てかこいつこのバランスボールみたいなやつに乗ってここまで来たのか?

そもそもそのバランスボールってなんなん?


「眠いならうち来いよ。こんばんはうちに泊めてやるからさ、うまいごはんもごちそうしてやる。もちろんデザート付き。どうだ?」


とにかく今、最優先事項はマルスをアルのところに帰さないことだ。

その間に何か対策を考えればいい。

うちに泊まってくれればマルスが起きるまで時間の猶予ができる。

それにこいつの事だ、どうせ起きるのは遅いはず。

徹夜すればゲームの1つや2つくらい作れる。

、、、、、たぶん。


「おいしいごはんかぁ。いいねぇ。けど王も情報に関してはうるさいんだよねぇ。」


よし、いいぞ。

さっきよりも声が乗ってきた。

それにバランスボールの高度もより地面に近くなっている。

これなら手を放しても問題ない、か?


「じゃあさ、定期連絡だけ入れとけよ。もちろん俺の事は内緒にしてもらうけど。もし少しでも俺の事を話したらおいしいごはんデザートもなしだ。即座に戦闘に入るからな?それはお前にとっても都合が悪いんじゃないのか?」


「うーん、そうだねぇ。もうだいぶ日が落ちたし、僕は闘いたくないなぁ。それにおなかも空いてきちゃったよぉ。」


「なら決まりだな!俺の家に来いって。お前だってクッキー以外も食べたいだろ?うちにならお前が喜びそうなモノがたくさんあるぞ。」


確か俺の暇つぶし用に作ったモノが何個かあるはずだ。

人生ゲームもあったっけ?

夕飯食べたらみんなでやるのもいいかもしれない。

アルに前世の娯楽を教えてもらっていたとしても大人数でやるようなやつはやったことないだろう。

皆に協力してもらえれば何とかなるだろ。


「くっきー以外、かぁ。うん、きめたよぉ。君の家に行く。あっ、でもぉ、取引の事は忘れちゃだめだよぉ?それ次第で僕は君の敵にも味方にもなるんだから。」


よし。

何とか窮地を先延ばしにできたな。

こいつが子供みたいに単純な奴でよかった。

まぁ子供が故に娯楽は妥協しないんだろうけどさ


はぁ、気合入れてゲーム機開発しないとな。

今夜は徹夜になりそうだ。



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