第169話 尋問官レヴァン


「では改めて聞くが魔族の中でも意見が二分しているということでいいのか?それともう一つ、魔族以外、つまり他の魔王たちも素直に現王を受け入れたのか?」


はい、俺の事完全に無視してどんどん話が進んでいきます。

そして出ました、魔王!

しかもってどういうことですかね?

まぁ今更別にいいけど!


「いや、われわれ魔族の忠誠は現王のものだ。魔族は血の気の多い種族、より強い者に従うことに抵抗はない。しかし、ある程度考えることのできる者の中にはが現王の体制に疑問を持つ者もいる。だが表立って何かするほど馬鹿なやつらはいない。他の魔王たちも同じだ。面と向かって抵抗した者はことごとく力でねじ伏せられていたしな、あんなものを見せられれば反抗する気も起きないだろう。」


「新体制が着実に定着している、といったところか。想定していたよりも状況は良くないな。」


はいはい、そうやって俺の知らないところで話が進んでいくんでしょ?

もういいよ別にさ。

けど一つ、一つだけ言わせて、

俺、主人公なんだけど?


「現状についてどうこう言っても仕方がない、か。では次だ。現王について知っていることがあれば話せ。あとマルス。この名前は知っているよな?こいつについても知っていることをすべて話せ。」


ねー結局、現王ってだれなん?

前王もまだ名前聞いてないし。

そしてマルスって?


「それはいくらクドラク様の従者と言え話せん。マルスについても同じだ。九鬼門の一人として仲間を売るような真似はできない。」


おっ、意外と仲間想いなんだな。

魔族とは言え仲間意識みたいなのはちゃんとあるんだ、なんか安心。

まぁめっちゃ顔から汗が噴き出てるけど。

顔、めっちゃ青ざめてるけど。


もしかして何も言うなって脅されてる?


「そうか、それは残念だ。お前が口を滑らせてくれればフェゲルニアも動きやすくなるのだが。お前が仲間のために殉ずるというのならば諦めよう。」


「なっ!フェゲルニア様だと⁉フェゲルニア様とどこでお会いしたのだ⁉あのお方は無事なのか⁉」


フェゲルニアって名前出しただけでこの変わりよう。

こわいわー。

けど何となくわかってきたぞ。

このフェゲルニアってのがこいつの言っていたあのお方。

そんでレヴァンさんはそいつと面識がある、それもおそらく最近会ってる。


つまり俺の頼みで探っていた相手っていうのがそのフェゲルニアってことかな?

よーし、いいぞ俺!

少しわかってきた。


「落ち着け、フェゲルニアは無事だ。そもそもあいつは追われているわけではないだろう?お前の忠義がフェゲルニアにあるのであればさっきの質問に答えろ。」


レヴァンさん、、、、。

容赦ないな、淡々と質問してくよね。

俺なんかよりもよっぽど拷問者の称号が似合ってるよ。

精神的に参りそう。


「それがフェゲルニア様のためになるのであれば。。。。だが現王については俺もよく知らない。話せるとしたらマルスについてだがそれでもいいか?」


「ああ。現王についてはこちらもある程度はつかんでいるからそれで問題ない。リュースティア様、こっちに。」


「はい!!」


びっくりしたー。

今まで空気だったのに急に呼ばないでよ。

ってか何、こっち来いって?


「レヴァンさん?急にどうしたん?」


って、ん?

これって、、、、、、。


立ち位置を変えたことでリュースティアにも届いた視線が一つ。

紛れもなく殺意の込められた視線。

狙いは、、、、、、ロイスか。


レヴァンさんはこのことを俺に知らせたかったんだろう。

つまりはどうにかしろってことか。

レヴァンさんもリュースティアの思考を呼んだのか微かにうなずく。


さてと、位置的にも狙撃手か?

めんどくさいけどそこ、まだ俺の領域だから勝手はさせない。

だが、リュースティアが敵の捕縛に動こうとした瞬間、視線が消えた。



「やぁ、初めまして、かなぁ。そんなに怖い顔しないでよぉ。ロイスもそうおもうよねぇ?」



目の前に男?が現れた。

さっきまで感じていた視線と同じモノをその目に宿したまま。






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