第168話 主人公?

ロイスが瞬殺か。

いや、俺でも瞬殺くらいできるけどさ。

、、、できるよな?


「今のリュースティア様では無理だろう。」


うぉい!

人の心の声にまで律儀に答えなくていいから!

しかもそこはせめて大丈夫とかポジティブなこと言おうよ。

なんで事実そのまんま言っちゃうかな。

別に無理じゃないけどさ!


「別に瞬殺はできないかもしれんけど最終的に勝てばいいじゃんか。」


「ああ、勘違いさせたか?私が無理と言ったのは瞬殺ではなく勝つことが、だ。」


「えっ、そんなに強いの⁉」


うわ、マジか。

冗談、なわけないよね。

レヴァンさんこういうときに冗談言えるような吸血鬼ヒトじゃないし。

つまり十中八九それが事実なんだろうな。

ってなると九鬼門とかいうやつらとはますますことをかまえたくない。

どうか絡まれませんように。


・・・・ってこれフラグか?


つかそこで激しくうなずいてるやつ。

そもそもお前は相手にすらなってないだろ。

ちょっとむかつくから一発殴る。


「えっ、ちょっと!なんで笑顔で近づいてくるんすか⁉俺なんもしてないっすって!あっ、ちょっ。や、やめてーーーーーーー!」


うん、いい悲鳴だ。



「あの二人の事は今はそこまで気にする必要はないはずだが。」


鬱憤をロイスで晴らしている最中のリュースティアにはレヴァンのこの貴重な発言は聞こえていませんでしたとさ。

虎の尾を踏まないように気を付けましょう。







「はい、じゃあつぎ~。あんたがさっきから連呼してるあのお方って結局だれ?魔族たちの王様って認識でいいんだろ。」


とりあえずロイスを気のすむまでボコった。

これだけボコっておけばもう舐めた態度はとれないだろうと思いたいね。

なんでそろそろ次に進もう。


あのお方っていうのが魔族が忠誠を誓うただ一人の王って言うのは間違いないと思う。

問題はそいつがだれでどういうやつか、ってこと。


「それは、、、、、違う。」


ん?

なんか急に口が重くなったな。

口調もさっきまでのパシられる後輩みたいなのじゃなくてもとに戻ったし。

それよりも違うってどういうことだ?

あのお方は魔族の王じゃないってことか?

じゃああのお方って誰?


「かんたんな話だな。ごく最近、王が変わった、いうことだ。おそらくこいつは今の王ではなく元王に忠誠を誓っているんだろう。ちがうか?」


あれ?


「な、なぜそれを!もしかしてあなたは魔王に仕える者であったのか?」


あれれ?


「純粋な血ではないが私は吸血鬼族。数百年の間、不死の王、クドラクに仕えていた。」


あれれれ?


「そうか、クドラク様に。クドラク様のことは俺も残念に思っている。」


おーい。

ちょっとなに二人で通じあっちゃってんの?

俺、まったく話についていけないんだけど。


クドラクってヴァンの事だよな。

あいつ名前あるじゃん。

人に名前つけさせやがって。

というかもしかして二人って知り合いだった感じだよな。

魔族と魔王つながり?

うん、仲良さそうだ。


「えっと、レヴァンさん?説明プリーズ。」


リュースティアの声に反応したのか、こっちを向いて一言。


「後ほど説明する。」


なんかすごーく冷たいよ、視線。

お前いたのか、ってもう眼で言っちゃってるから。

やめて。

俺って結構打たれ弱いのよ?


「あのー?」


っていわれましてもねぇ。

ここではいそうですかとはいかんのよ。

ここらで説明してくれなくれないとマジで入り込む隙がなくなる。


「後でまとめて説明したほうが効率的だ。二度同じ説明をする気はない。」


「はい、、、。」


一刀両断!

俺の切実な願いをばっさり切りやがったよ。


ふっ。

世知辛い世の中だな、、、、。



この前気が付いたんだけどさ、

俺、主人公、だよね?




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