第167話 魔族九鬼門
*
「じゃあそろそろお前らの事話してもらうか。変な気だけは起こすなよ?またあのルーティンを再開したくはないと思うしね。」
念のために影でロイスを拘束し、圧をかけておく。
とはいってもすでにガクブル状態でうなずいてるロイスには反抗する気力なんてないだろうけど。
ちなみにこの拘束はレヴァンさんがやった。
なんでかって?
俺にはそこまで影魔法を扱う技量がないから。
まだせいぜい痛めつけるくらいしかできないんだよね。
俺の影魔法はまたロイスがごねたときのためにとっておこう。
*
「じゃあまず、なんで俺にちょっかい出してきたわけ?」
さぁ、質問タイム!
ここらで魔族に関する疑問をできるだけ消しておきたい。
味方ではないだろうけど敵対しなくていいなら不戦条約でも結びたいね。
毎回こんなんに絡まれるのはさすがにめんどい。
「たまたまだ。」
「あ?」
「ひぃ!」
いやー、冗談きついなぁ。
最初っから嘘つくなんて
思わず拷問ルーティン再開しちゃうとこだったじゃん。
「いやー、おもしろいおもしろい。まだ冗談言える元気があるようでなによりだよ。で、本当は?俺、まだ影魔法の練習したいと思ってたから言いたくないなら言わなくてもいいけど?」
まぁここで言わないならもう少し俺の魔法の練習に付き合ってもらうだけだし。
別にいいんだけど。
「ひ、ひぃぃ。ほ、本当なんです!たまたま!たまたまなんでしゅって!」
ん?
お前、いま完全に噛んだろ。
でしゅって言っちゃてんじゃん。
いくらなんでもテンパりすぎだろ。
そんなに怖がらなくてもいいじゃん。
あんなのただの戯れだよ?
「リュースティア様、どうやら嘘はついていないようだ。そうすると本当にたまたまなのかもしれない。裏がないとは言い切れないが、まずはこいつの話を全て聞いてみる方がいいのでは?」
あれ、レヴァンさん、、、。
そういう助け船出しちゃうんだ。
まぁいいけど。
お楽しみは後にとっておこう。
「わかったよ。ってことだからこの街に来てからの経緯とかそれよりも前のことと、順に話して。」
こいつの話が嘘か真かは後で判断するとしてとりあえず順を追って説明してもらおう。
「俺は魔族九鬼門の一人として、主に諜報活動をこなしていた。俺には潜入に適した魔法があったからそれをあのお方に買われ九鬼門の座まで与えてくれたのだ。」
「傭兵として様々な国を渡り歩いてきた。戦闘経験もこの時に学んだものだ。あのお方への報告時以外は他の九鬼門と接点を持つことはなかったから他の奴らが今何をしているかはわからない。」
たしかに腕さえあれば傭兵は働き手に困らないし、なにかあればすぐに情報を掴める。
それに傭兵なんて奴らは大体が脛に傷を持つやつらの集まりだ。
好奇心で過去を詮索してくるような奴はいないだろう。
「で、その魔族九鬼門って結局なんなんだよ?」
「魔族は例外なく1人の王に忠誠を誓っている。われら九鬼門はその中でも王の守護を担う役割を与えられた者たちの総称だ。それぞれに異なる役割が与えられている。そして総合的な戦闘力で1から9の席を与えられる。」
「ふーん、なるほどな。なんかどっかの漫画の仮面集団みたいだな。で、お前は何席なわけ?」
たぶんこの前のカイザが9席だと思うんだよね。
まだ若いって言ってたし。
何より雑魚かったからな。
カイザを基準にするとこいつは8くらいか?
「俺は九鬼門第5席、
おい、なにちょっとどやってんだよ。
さっきまでさんざんガクブルしてたくせに。
というかこいつで5席?
想像はしてたけど九鬼門って弱くね?
「ってことはお前が中間くらいの強さってことか。」
こいつのどや顔がむかついたからちょっと影魔法で喰らっておく。
「ぐぎゃぁ!す、すいません、調子乗りました、、、、。」
うん、わかればいい。
今の自分の立場ってやつをもう少し考えた方がいいね。
第5席さん?
「じゃあ九鬼門って大したことないんじゃないか?お前で真ん中ってことは強く見積もっても1席で倍くらいの強さってことだろ。」
「九鬼門の席は入れ替わりが激しい。現任の九鬼門に勝ちあのお方に認められれば世代交代、というわけだ。だが第1席と第2席、奴らは九鬼門に入ってから一度たりともその席を誰かに譲ったことはない。この意味がお前にわかるか?」
「つまりそのまんまの意味で魔族最強ってことか。それよりもお前、だって?」
「リュースティアさん‼すんませんでしたー!」
うんうん。
そうだよな?そうだよな?
リュースティアさんだよな?
「で、そいつらとお前だとどのくらい差があるんだ?一度や二度くらい戦ったことくらいあるだろ?」
「、、、、、、。」
あれ?
ここにきてだんまりですか。
確かに自分がまけたときの話なんてしたくないのはわかるけどさ、ここまで来たら言えよ。
どうせもうさんざん醜態さらしれんだし今更だと思うぞ?
「差など、わからないほどに。立ち会ったと思った次の瞬間には見知らぬ天井を見上げていた。一瞬でぶちのめされたらしく1週間眠っていた。」
「・・・・。まじで?」
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