第166話 デジャヴュ
*
「おーい。」
目の前でピクピクしているロイスを足でつつきながら声をかけてみた。
「、、、、、。」
無反応。
死んだか?
けどログに変化はないし、気絶。
それか三途の川を渡りだしたところかのどちらかだろう。
俺的にも死んでもらっては困るし、ここは回復してもらおう。
「おーい、起きろって。」
ピクピクロイスの頭から
なんで
魔族は自然治癒能力も高いしこいつに
ってことで普通の
ルナと契約したから俺にも光魔法が使えるはずだし。
回復魔法は基本的には光じゃなくて聖魔法らしいけど。
ラニアさんの説明では確か、光属性にも回復系があるって言っていた。
あー、これは惜しい事したか?
まっ、こいつがすぐに吐くとは思えないし、次でいっか。
*
「ぐは、、、、、。も、もうゆ、ゆる゛じでぐだざい゛」
きったね~。
顔は涙でぐちょぐちょ。
最初の威厳たっぷりな偉そうな顔なんて見る影もない。
その場にうずくまるようにして必死に頭を下げているのは誰であろうか。
まぁもちろんロイスなんだけどさ。
えーっと、あれから何週目だ?
忘れたけどとりあえず二桁は言ってたと思う。
回復→黙秘→影魔法→三途の川→回復。
このルーティンを繰り返してみた。
俺だってやりたくてやったわけじゃないんだけどねー。
こいつがなかなか情報吐かないから。
仕方なく、ね?
それよりもこれっていつか手に入れた拷問者の称号の効果とかってあったりすんのかな?
あんまり気にしたことなかったけど。
まぁいっか。
まだまだ口を割る気もなさそうだし。
目指せ三桁!
*
「何か言う間など与えなかった、の間違いでは?影魔法の使い方にいささか疑問は残るが今日は目を瞑ろう。」
「うわっ!びっくりした、レヴァンさんか。いきなり人の影から出てくんなよ。」
急にツッコミが入ってきたと思ったらリュースティアの影からレヴァンさんが出てくるところだった。
しかしその視線はリュースティアではなくごみのように、地べたにこれでもか!というほどひれ伏しているロイスに固定されていた。
視線は言うまでもなく憐れみと蔑み。
そのままごみを見るような眼をしていた。
それにしてもこの口ぶりからするとリュースティアの拷問タイムはすべて見られていた可能性が高い。
まぁ見られてたとしも特に問題ないけどさ。
見てたなら見てたで俺の影魔法さばきでも評価してもらおう。
「影魔法に精通していれば己の影の変化には気が付くはずだ。」
あれ、怒られた。
いや、まあそうなのかもしれないけど。
俺、さっきあんたから影魔法教えてもらったばっかよ?
むしろここまで使えていることをほめてほしい。
影魔法さばきとか心で言ってた俺が恥ずかしくなるからさ、、、。
「精進します、、、、。それよりも用ってやつはもういいん?」
レヴァンさんだからな、下手に反抗しない方がいいのは百も承知。
なにせ口では勝てる気がしないからな。
論破される未来しか見えん!
「リュースティア様が気にすることではない。私は私の理由でここにいるだけだ。」
相変わらずよくわからないな。
俺に忠誠を誓ってくれているので味方であることは間違いない。
それに困ったときには的確なアドバイスをくれるし、なんだかんだで世話を焼いてくれるんだよな。
だからいいやつなんだってことは知っている。
けどいまいちつかめない。
実際に今ここにいるのもレヴァンさんの都合だろうし。
すべて俺のためであることはわかっているんだけどなんかこうもやもやする。
とかなんとか、いろいろとリュースティアは考えているようだが。
事実はけっこう単純だったりする。
レヴァンはただリュースティアが心配だったのでここに来ただけ。
これが彼の言う私なりの理由。
普通に心配だった、でいいのだが生真面目で頭の固いレヴァンが言うとこういう文章になるのである。
つまりレヴァンも結局のところただの不器用人。
そしてそんなこととは露ほども知らずレヴァンの扱い方を真剣に考えるリュースティアなのであった。
そしてそんあ二人のやり取りを瀕死の状態で見つめるロイス。
今回の件では重要人物なのだがさっきからまるでいないものとして扱われている。
その目に浮かぶ涙は果たして、、、、。
なんか、魔族って哀れだな。
どこかで見たようなこの光景をみながらリュースティアはそんなことを思った。
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