第161話 さぁ決戦だ
*
「ふーん。なるほど、なんとなくわかった。よし、行ける気がする。」
レヴァンさんの腕を掴み引き留めると影魔法について教えてもらった。
教えてもらったというよりは無理やり聞き出したと言った方がいい。
「何となくで影魔法を使われても困るのだが?」
あれ?
なんかレヴァンさんやつれた?
そんなに俺グイグイはいってないと思うんだけど。
教えるのって大変なんだな。
「あー、はい。すんません。けどたぶん大丈夫。影魔法は初見じゃなかったしな。イメージしやすかったんだよ。」
「そうか、じゃあ後は頑張ってくれ。私は用がある。」
あっれー、もしかしてレヴァンさん俺のこと興味ない?
教えた途端に帰ると悲しっ。
まぁ確かに?
レヴァンさんの用って俺が頼んだことだけど?
少しくらい心配してくれてもよくね?
「レヴァンさん、近いうちに中間報告ってことで屋敷に来てくれ。いろいろ聞きたいこともあるしな。」
「わかりました。では。」
うん、これでとりあえず言質はとった。
屋敷に呼んで一回休ませよう。
今更ながら働かせずぎな気がしてきた。
レヴァンさんからの報告は気になるけど表情から察するにあまりいい報告は期待できそうにない。
まぁそれは聞いてから考えよう。
影の中に沈んでいくレヴァンさんを見ながらそんなことを考えていた。
そして気が付いた。
「ちょっ!タンマ!!!レヴァンさん、俺のことここから出してってーーーーー。」
すでに結界内に囚われの身となっているリュースティアにはここから出る術がない。
それは新しく覚えた影魔法といえど例外ではないのだ。
だからレヴァンさんの手がなければ今のリュースティアなどただの人。
「レヴァンさーーーーん。ヘルップミーーーーーーー!!!」
*
「これは、、、どういうことだ?」
ロイスが再びリュースティアの様子を見に来るとそこはすでにもぬけの殻になっていた。
いや、その言葉は適切ではない。
リュースティアは牢の中ではなく、外にいた。
牢に寄り掛かり腕を組んでロイスをまっすぐに見つめていた。
「いやーそろそろ俺と遊びたいんじゃないかなって思ってな。出てみたよ。」
肩をすくめながらおどけて見せる。
だがそんな仕草の中にも油断は一切ない。
すでにスキルは使用済み。
感知の準備は万端。
「出てみただと?こちらに手抜かりはなかったはずだ。」
よほどリュースティアが結界の中から抜け出したことが衝撃らしい。
無表情が崩れ驚きの顔が出てしまっている。
「さぁ、どうしてだろうな。その小さい頭で考えてみたら?」
うん、ロイスの驚いた顔を見ただけでも抜け出したかいがあるな。
いい気味だ。
次は苦痛に歪んだ顔か。
それとも絶望した顔か。
「ずいぶんと大きく出たな。先ほどまで結界内に囚われ何もできなかった小童が。結界師と戦うということがどういうことかその体に教えてやる。」
うんうん、怒った顔もいいな。
さて、ここからが本番だ。
「そっ、じゃあ俺がその結界師とやらマイナー職の無能さをたっぷりと教えてやるよ。」
二人はにらみ合う。
動かない。
すでに戦いの火ぶたは切って落とされた。
先に動いたのはロイス。
リュースティアとのその距離を一気に詰める。
そしてリュースティアまであと一歩。
届く、そう確信し手を出す。
この手が届けば俺の勝ちだ、そう思いつい口元が緩むロイス。
「俺の勝ちだな。」
そう言ってリュースティアの肩に触れようとしたロイス。
そのときロイスは見た。
顔の半分まで引きあがったリュースティアの口を。
限界まで細められたリュースティアの目を。
何かがおかしい、そう思ったが振り上げた手はもう止まらない。
そして次の瞬間、ロイスの姿が光とともに消えた。
「Let`s ショーターイム♪」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます