第140話 幼女の修羅場
*
楽しそうな幼女2人。
その背後に忍び寄る影。
そして影が纏う怒気。
幼女2人は全く気がついていない。
「みぃーつーけーたぁ!!」
「「ひゃう!?」」
急に背後から声をかけられ直前まで楽しそうに笑っていた2人は飛び上がるほどに驚いた。
それもそのはず、さっきまで笑って見ていた人物が急に真後ろに現れたのだ。
それも一切の気配を殺して。
「リュ、リュー⁉でもそこにいたの!」
「お前らなぁ、いい加減にしろよ、、、。いい加減付き合いきれない。あの嫌がらせの数々。覚悟はできてんだろーな?」
テンパるシルフ。
そしてもう一人はというとこっそり逃げ出そうとしていた。
「おいディーネ、どこに行くつもりだ?お前は俺にいじめられるの好きなんだろ?なら別に逃げなくてもいいよな。な?」
ぎくっ。
ギギギギー。
そんな効果音が聞こえてきそうなほど固い動きでディーネが振り向く。
その顔は変態の上気したそれではなく死人のような真っ青になっていた。
「そうだけどそうじゃないのじゃ、、。これは死んじゃうのじゃ。本気のやつは嫌なのじゃ、、、、、、。」
そんなことを言いつつリュースティアの前に正座。
潔がよろしいようで。
潔くリュースティアからの鉄槌を受け入れようとしているディーネとは逆にシルフにはあきらめの、というか反省の色が見えない。
「シルは悪くないの!リューが悪いの!だからあれは罰なの!」
逆キレですか?
「だからさ、俺が何したって言うんだよ?」
「リューは浮気者なの!シルとディーネがいるのにまた精霊と契約したの!しかも2人で聖域にまで行って2日帰ってこなかったの。」
ああ、浮気ってそういうことか。
たしかに精霊側には一人としか契約できないっていう制約あったもんな。
けどさそんなこと俺に言われても、、、。
というかあれは不可抗力というか完全に流れというか。
「連絡もせずに帰らなかったことは謝るけどさ、聖域とこっちの時間の流れが違うなんて知らなかったんだよ。それにルナと契約したのだって成り行きというか深い意味なんてないぞ?」
ということで身の潔白、というのもおかしいが何もやましいことがないということを証明するためにも聖域での出来事をかいつまんで説明した。
もちろんルナのプライバシーな事に関してはオフレコ。
「ほぅ?ルナ、じゃと。あやつが他人に名前を付けさせたのか。しかもあやつが身の上の話までするとはのぅ。さすがご主人様じゃ。」
ちょっと待てヘンタイ。
なんでそうなる?
そんな言い方すると俺が籠絡させたみたいじゃないか。
「ルナ、ルナ、、、、、、。シルには名前つけてくれてないの。」
「ってシルフは自分で名乗ってたじゃねぇか!」
しかも自分のことシルって言ってんじゃん。
そんな相手にどういう出来事が起きたら名前を付けようってなると思ってんだ?
「けどシルはリューのなの!リューもシルのなの!だから光の精霊には渡さないの!」
「けどって何がけど⁉つか俺はシルのものでもルナのものでもねぇから!」
「ならば妾のものか⁉そう思うているなら早く言ってくれればよいものを。」
「うるせぇ、ちょっと黙ってろ!」
「はっ、はぁはぁ。そ、それじゃぁーー!妾が求めておったのは!」
「ディーネうるさいの!今はシルとリューのお話の時間なの!ディーネは関係ないの!」
「幼子、お主が黙るがよい。今ので分かったであろう?ご主人様は妾と相思相愛なのじゃ。邪魔者はすっこんでおれ。」
「違うの!リューはシルとそーしそーあいなの!」
「どっちもちがうから!つかシルフは相思相愛の意味わかってねぇだろ⁉」
はぁはぁ。
とまぁこんな感じでだんだんと収拾がつかなくなってきた。
みんながみんな言いたい放題。
らちが明かない。
こうなりゃルナを呼んで説明してもらうしかない。
そうすれば俺とルナの間になにもない事が分かるだろ。
今までシルフとディーネはなんだかんだでうまくいっていたしそこにルナが入っても何とかなるだろ。
なんたってルナは大人、だ。
『とまぁこんなカオスな状況になっちゃってさ、悪いけど説明しにきてくれないか?』
『ええもちろん。そのくらいお安い御用よ。』
こっそりルナへと念話を飛ばし応援を頼む。
めんどくさがられると思ったが思いのほかすんなりと受け入れられた。
はぁ、これで何とかなりそうだ。
『ふふ、なんだかおもしろそうなことになっているみたいね。』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます