第139話 家出少女を探せ
*
「は?家出したの?」
さすがにそれは想像していなかった。
家出ってどう言うことだよ、、。
このくそめんどくさいときにさらなる面倒ごと増やしやがって。
今はあいつらにかまってる暇ないんだよな。
「そうなのよねー。なんか気がついたいなくなってたの。書き置きだけ残して。」
そう言ってルノティーナがテーブルの上に置いてあった紙を渡してきた。
急いで書いたのか字がブレブレ。
しかも所々文章がめちゃくちゃだ。
[リューのばか!浮気者!出てくの、この家もう知らないの。リュー知らないの。バカー!!]
とまぁこんな感じ。
怒っているんだろうことはわかる、けどそれだけだ。
シルフ的には俺が浮気したことになっているらしいし。
まったく心当たりがない。
「リュースティアなにしたのよ?」
後から部屋に入ってきたシズがそんなことを言ってきやがった。
なぜシズの頭の中では俺がなにかやった前提なんだ?
「まったく心当たりがない。そもそも何を基準に浮気したことになるんだ?俺とシルフは契約してるけど言うなればそれだけなんだが。」
正直ほんとうに心当たりがない。
そもそもシルフと結婚しているわけでもないのに浮気とか意味がわからん。
「・・・・・シル、リューが鼻の下伸ばしたって。」
うぉい!
急に爆弾投下してんじゃねぇ俺の愛娘よ。
「、、、、リュースティアさん?」
そしてー、はい出ましたー!
リズさんあのモード!
「はい!全く心当たりがありません!」
「じゃあ今まで何していたのか教えてくれますか?」
にっこり。
それはもう満面のにっこり具合で仰られました。
そんな笑顔にどう逆らえと?
まんま。
ルナと会ってからの事を話しました、はい。
もちろんアルのこととか宿命の事とかはオブラートに包んだけど。
「はぁ。そういうことでしたか。」
「なるほどね。」
「あーそういうことなのね」
「リューいけない子?」
話し終わった瞬間に皆から哀れみの目で見られた。
えっ、どう言うこと?
「俺なんかした?」
「もういいからさっさとシルちゃんたち探してきなさい!」
えー、シズさん説明は?
けどそんなことを言える雰囲気でもなく、、、。
全員から追われるようにして家を出た。
せっかく帰って来たばかりだったのに。
「ちゃんと謝るんですよー!」
後ろからリズのアドバイス?が聞こえてきた。
いや、だから謝るって何を?
俺なんもしてないよね?
*
「おーい。シルフー、ディーネー?」
追い出されるようにして屋敷を出たリュースティアは気配を頼りに2人を探していた。
さっきからちょいちょい2人の気配を感じるんだよな。
それこそ見つけてほしいみたいに。
「はぁ、めんどいなぁ。お前らかまってちゃんか!?」
盛大に文句を言いつつもきちんと探しているところがなんともリュースティアらしい。
それにリュースティアとシルフたちは契約しているのでやろうと思えば簡単にお互いのもとへ転移することができる。
だがリュースティアはあえてそれをせず、気配を消すこともなく2人を探している。
これは2人が逃げようと思えば逃げられるように。
浮気に関しては全く心当たりはないが怒っていることは確かなので気が済むまで付き合おうと思っている。
決して領主さんと会うのを先延ばしにするためではない。
あくまで2人のため、だ。
「ここか?、、、っていねぇし。はぁ、あいつら移動してんな。」
2人の逃げる意思を尊重すること1時間。
こっちが無理やり見つけるつもりがないことに気が付いたらしい2人はさっきから完全に遊んでやがる。
ギリギリまで近づかせてから転移するわ、気配だけ残して去るわ、変な罠仕掛けてあるわ。。。。。
さすがの俺も我慢の限界なんだが?
「今のリュー面白かったの!簡単に騙されるの。もっと遊ぶの!」
「そうじゃな。あのご主人様が翻弄されておる姿を見るのも悪くないのぅ。まぁ妾は翻弄される方が好きなんじゃが。まぁもうしばらく楽しませてもらうとするかの。」
6回目の罠に引っ掛かったリュースティアを屋根の上から盗み見していた幼女2人は勝手なことをそれぞれつぶやいていた。
というか完全に自分たちが家でしたことなど忘れている。
そして普段はそうそうキレることのないリュースティアの怒りが爆発した時の恐怖を。
二人は完全に忘れていた。
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