第138話 問題は次から次へと
*
やばい。
やばいやばいやばいやばい。
これはかなりまずい。
リュースティアはかなり焦っていた。
なぜかって?
そんなん決まっている。
ほんの一晩、聖域で過ごしたと思っていたら2日たっていたとさ。
なんの冗談だよ、、、。
領主さんの方はまだいい。
いや、よくはないけど、全く答えきまってないけど。
何とかなる、というかなんとかできる範囲内だ。
それよりも問題はリズ。
なにも言わずに2日間も家を空けてしまった。
殺される。
*
「た、ただいま帰りました。」
恐る恐る玄関の扉を開ける。
俺の感知スキルが扉の前にリズたちが勢ぞろいしていることを教えてくれている。
どうせなら対処の方法まで教えてほしいと思ってしまうのはわがままだろうか、、、。
「リュースティア(さん)!」
「は、はい!」
扉を開けた瞬間、仁王立ちをしていらっしゃる皆さんが目につきました。
えっと、やはり怒っていらっしゃる?
とりあえずここは謝るしかない。
そう思って口を開こうとしたら視界が何かで埋まってしまった。
一拍おいてそれがいきなり飛びついてきたリズの髪の毛だということに気が付く。
「り、リズ?」
怒られるか半殺しにされるかだと思っていただけにいきなり抱き着かれてどうしたらいいのかわからない。
完全に頭が真っ白になってしまっている。
「おねえちゃん、落ち着いて。リュースティアが固まってる。」
おし、ナイスだシズ。
まずは状況説明プリーズ。
「えーいいんじゃないしばらくそのままでも。固まってるリューにぃ面白いし。」
おいこらルノティーナ。
お前は少し黙ってろ。
「はぁ、ティナは黙ってて。おねえちゃん、はしたないよ。伯爵家、とか関係なくレディーとしてその振る舞いはどうなのかしら?」
やーい、怒られてやんの。
ってかいつにもまして辛口だな。
なんかあったのか?
「ご、ごめんなさい!リュースティアさん、えっと、その、お帰りなさい。帰ってきてくれたんですね。てっきりもう会えないのかと、、、。」
ここでようやく正気に戻ったリズが離れてくれた。
若干、いや、かなり名残惜しい部分があるのだがそれは決して口にはするまい。
地獄を見るのは明らかだ。
「ごめん、不安にさせたな。けど俺はみんなを置いていなくなったりしないから安心してくれ。」
そういいながらリズの頭をなでてやる。
抱き着いてくるとか幼い行動だったからついスピネルにやるみたいにしてしまった。
子ども扱いされて怒るかな?とか思ったけどそれは杞憂だったみたいだ。
むしろこっちが引くぐらいうれしそうだ。
そして若干3名ほどうらやましそうな眼で見ている、、、、。
「…ん。」
そして行動に移してきたスピネル。
リュースティアの右側に体をぴったりとくっつけると上目使いでお願いしてきやがった。
くっ、可愛いぜ。
さすが俺の娘。
ということでスピネルも希望通り頭をなでてやる。
ついでに耳もモフモフしておく。
「で、リュースティアはいったい2日間も何してたわけ?」
あれ?
シズさんやっぱり機嫌悪くないっすか?
「ふふ、シズはやきもち焼いてるんですよ。」
「おねえちゃん!?違うから!いい?リュースティア、違うから。」
スピネルの反対側、左手側を陣取ったリズが面白そうにそんなことを言う。
やきもち?
テンパりながら否定されても説得力ないよ?
それになんとなく皆を見てて心当たりがあったりする。
けど、そう言ったらシズが割りと本気で怒りそうなので自重する。
「あー、わかった、わかった。とりあえず中に入ろう。そこで全部説明するから。」
という事で妥協策。
中に入るためににシズの横を通ったときにさりげなく頭をポンポンしておいた。
これくらいなら許してくれる、よね?
それにしても怒られなくてよかったわ。
心配かけたのは申し訳ないけど想像していた最悪より全然ましだ。
「あれ、そういえばシルフたちは?」
自分の事が落ち着くと回りが見えるとはよく言ったものだ。
シルフとディーネがいない。
いいか悪いかは判断がつかないが面倒だな。
「えっとー、実は、、、、、。」
リズが言いにくそうに言葉を濁す。
なにかやらかしたのか?
怒らないから言ってみ。
「実は、二人とも家出しました。」
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