第137話 良い事と悪い事

「さてと、じゃあそろそろ俺は帰るけど。ルナはどうする?俺と来るか?」


リュースティアは立ち上がる。

随分と時間がたった気がするがここは聖域。

時間の流れが異なっているため実際にはどれくらいの時間がたっているのかはわからない。

仮に何日も過ぎていたのならリズたちに殺される、、、、。


「そうねぇ、けどいいわ。私があなたたちと暮らすと幼子ちゃんたちがうるさいだろうし。」


座ったままルナがそんなことを言う。

言葉通り一緒に来る気はなさそうだ。


「幼子、、、ああ、シルフのことか。お前ら仲悪いの?」


「精霊たちの間に仲が悪いもいいもないわ。ただあの子たちとくらすのはめんどくさそうって思っただけ。だから私はここにいる。」


あー、それなー。

俺もめっちゃわかるわ。

あいつらと暮らすって結構めんど、、、大変なんだよね。


「まぁルナがいいならいいけど。けどルナはここにいて何がおきてるのかわかるのか?」


「その事なら問題ないわ。あなたと契約してあげることにしたから。そうすればリュースティアがどこでなにをしていようがわかるし、いつでもリュースティアのところにならいける。それなら問題ないでしょ?」


契約?

俺がルナと?

そんなこと全く考えてなかった。

確かに俺とルナが契約すればいろいろ楽だろうし、光魔法が使えるようになるのは利点でしかない。

これで呪詛の類にも対応できるし回復とか浄化もできる。

つまりアルフリックとの闘いの対抗策が建てられる。


「けど俺と契約って、アルはいいのか?」


以前シルフに聞いた。

精霊は常に1人の人間としか契約ができないのだと。

逆に人間は制約がない。

しかし普通は1人契約するのが限界で複数の精霊と契約する人間なんてまずいないらしい。

それを聞いたとき俺がどんなにへこんだことか。

だからこそ精霊たちが人間と契約するってことには大きな意味がある。

ルナは明言していないがおそらく何千年も人と契約してこなかったのは今でもアルをい待っているからだと思う。

そう思ったからこそ俺も協力を頼んだけど契約の話は出さなかったんだ。

解約はどちらかが死ぬまでできない。

つまり俺かルナが死なない限りルナは、、、、、。


「ええ、私もいつまでも過去にすがっているわけにはいかないから。私も覚悟を決めないと。」


「そうか、ルナがそう言うなら俺から断る理由はない。」






「ここからは帰れるでしょ?」


ルナに聖域の外まで送ってもらった。

ここ、というのはルナと会った森のことだ。

彼女の言う通りここから屋敷までは歩いても30分くらい。

転移魔法とか飛行魔法、走るだけでもだいぶ時間は短くなる。

つまりもう屋敷にはついたも同然の距離、ということだ。


「ああ、なんかいろいろとサンキュ。これからもよろしくな。」


「お礼を言うのはこっちよ。リュースティアのおかげでいろいろと整理ができたわ。じゃあ私は聖域にいるから。今のあなたなら聖域にも転移できるはずよ。」


今のあなた、という言葉に若干引っ掛かりを覚えるがおそらく創造について真に理解した、とかだろ。

まあ聖域に転移できて困ることはないし、いいだろ。

そしてルナは聖域へと帰って行った。

最後にとんでもない爆弾を投下して。


「ちなみに聖域は常に時間の流れが変わるの。今回は進みが早かったみたいだから聖域に行った日から2日たってるわ。」


2日?

ふつか?

フツカ?


「ってことは今日ラウスさんとの約束の日じゃねかぁーーーーーー!」







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