第131話 アルフリックの秘密?じゃなくて、、、。

「アルフリック?アルフリックてあの?俺を殺そうとしてたやつのことだよな。」


意外な人物の名前がでてきた。

いや、本当は心の奥ではわかっていたのかもしれない。

あいつが俺と同じ、または近い存在であることを。

わかっていながらあいつの圧倒的強さを恐れ気がつかないふりをしていた。

だけどもう無視することはできない。

あいつは俺から大切な友になるであろう人物を奪った。

それにあいつは俺の日常を壊す存在、つまり敵だ。

理由はどうであれ一発は殴ってやらないと気が済まない。

とは言ってもどれがあいつの本当の姿なのかすら 俺にはわからない。

素性を隠し、ただケーキを探してた時の姿か、勇者としての姿か、魔王としての姿か、それともそれすらも偽りの姿なのか。

知らないことが多すぎる。


「そう、私があなたを助けたときのことを言ってるならその人で間違ってないわ。けどどうしてあの子があなたを?」


その口ぶり、あいつのことを知っているかのようだな。

それにルナの知ってるあいつは他人を殺すような奴じゃなかったってことか?

うーん、完全に想定外だけどあいつについて知っておくのはこれからのことを考えればこの上なく重要になる。

それはわかってんだけどさぁ。

俺、今自分のことで手一杯なんだけど?

領主云々とかさ、もう魔王とか精霊とか神様とかどうでもいいから。

少しほっといてくれ。

俺、ただケーキ作ってればそれでいいんだよ、、、、。


「せっかくだし少し昔話でもしましょうか。まだこの地に神が降りてくるのが普通だった時代、そこに生まれおちた人間と精霊のお話。」


近くの木の根元に腰掛けリュースティアにも隣に座るように促す。

どうやら腰を据えてじっくりと話す気満々のようだ。

おそらく彼女もずっとだれかに聞いてほしかったのかもしれない。

誰にも気に留められることのなかった彼と彼女の物語江を。


「はい、タンマ!その話さ、後ででもいい?俺もさ、いろいろ考えなきゃいけないことあるんだ。」


だがそこはリュースティア。

空気は読みません、はい。

過去の話、ひいては未来のための話よりも目前の問題にどう対処するかの方が大切だ。

リュースティアにとっては過去より現在、未来より現在なのだ。


「あ、あんたね!少しは空気読みなさいよ。今、完全にシリアスでいい感じの話が始まる流れだったじゃない!そんなに自分の問題の方が大事なわけ?いいわ、話してみなさいよ。私が聞いて答えを出してあげる。私の話しなんか大したことじゃいって思えるくらいに素晴らしいお話なんでしょ?」


案の定怒られました、はい。

悪いとはおもってます、はい。

けど俺にとって今一番たいせつなのはこっちの問題なんだわ。

取り合えずアルがすぐにまたせめて来ることはないだろうしさ。

こっちから動くにしてもレヴァンさんの報告次第な部分も大きいんだよ。

だから話を聞かないのは決してめんどくさそうだからじゃない。

違うと言ったら違うんだ。



「いや、実はさ・・・・・・・。ってことなんだけどどうしたらいいと思う?」


とりあえずリュースティアは思いっきり不機嫌になった光の精霊様にここまでの経緯を説明する。

これは初めて話すことだが異世界から転生してきたことも、スキルのこともすべて話た。

そしてもちろん目下最大の問題である領主の座に乞われていることなども。

思いっきり不機嫌さを全開で聞こうとしていたルナは一番最初に転生、神と会ったそのくだりを話され不機嫌さを保つことができなくなったらしい。

今では好奇心に目を輝かせ食い気味に話を聞いている。

このままいくとま押し倒されそうで若干怖い。


「異世界、転生、創造、とんでもないわね。確かにこれならカンストしててもおかしくないか。それに加えてこの加護と称号、もう疑いようがないじゃない。」


「称号?」


リュースティアの話を聞き、なにやらぶつぶつ言っていたルナだったが気になるワードが出てきた。

疑いようがないって疑うよな称号が俺についてたってことだよな?

ろくなことにならない気しかしないんだが。


「気にしなくていいわ。それよりももう気が付いているかもしれないけれどあなたのそのスキルは異常よ。たぶん創造神の加護が関係しているんだとは思うけどそのスキルははずのもの。神代に失われた魔法の1つね。」


「現代に存在しない?始まりの魔法とかと同じってことか?」


うわ、出た!

それってもしかしなくてもめちゃめちゃ面倒なやつじゃん。

確かに便利なスキルだと思ってたけどさ、まさか存在しないものだなんて。


「人間が考える上では同じジャンルになるわね。けどその2つだと天と地ほどの差があるわ。始まりの魔法は人間でも使えた魔法。どちらかというと人間が使えるように元の魔法を簡単にしたってとこかしら。その分発揮できる力は弱いし制限もある。けど人間がそれ以上の魔法を使えることはないから仕方がないのだけど。」


「つまり現代には使える人すらいないですらなんかの下位魔法にあたるってことか?じゃあ元の魔法ってどんだけすげぇ魔法なんだよ。簡単に世界滅ぼせそうじゃんか。その魔法?スキル?ってどんなやつ?」


始まりの魔法でさえ他人のステータスに干渉するというバカげたものだったのにそれ以上があるとか考えれない。

もはや人の域を超えてる。

あっ、だから人間には使えないってことか。

納得。


「・・・・・・・。」


急に黙り込み真剣なまなざしを向けてくるルナ。

その視線に射られなんとも言えない居心地の悪さを感じる。

気持ちは校長室に呼び出された生徒の気持ちに近い、か?

ものすごく嫌な予感がする、、、、。


「その魔法は神の中でも限られた者しか使うことを許されなかったもの。2つの魔法、許されたのも2人。それは、「ちょっと待った!」」


聞いたらだめだ。

直感でそう思ったリュースティアは言葉を発しようとしたルナにかぶせるように割り込み話をストップさせる。

それはルナの話を遮るのには役立った。

だが伝えるというルナの意思を砕くことはできなかった。

話を遮られ一呼吸入れたルナは再び口を開く。



「それは、、、、、、、、」











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