第130話 ステータスオープン

「見えた!」


ルナが鑑定の魔法を行使し、数分の格闘を経てようやくリュースティアのステータスを看破することに成功した。

スキルの熟練度の差か、魔力量の差かはたまた種族の差か。

何が理由かはわからないがとにかくルナはやってのけた。


それはいい。

本当にすごいと思うし、これでようやく謎の一つが解けると思うと興奮もする。

けど、けどさ。

1つだけ言わせてくれ。


「いい加減どいてくんね⁉」


そうなのだ。

ルナはリュースティアのステータスを見ようとするあまりリュースティアの上にまたがっていた。

それはもうはたから見れば押し倒したみたいになっている。

位置的にもかなり危険だ。


「わわわ!」


ルナは自分が何をしているのか気が付いていなかったらしくリュースティアの言葉に一瞬きょとんとした表情を向けたがそのわずか数秒後、自分の下にある軟らかい感触に気がつく。

そして機械音でもなりそう動きで自分が何にまたがっているかを目視し、悲鳴を上げた。


「叫びたいのはこっちだっつーの!」


ルナが飛び跳ねるようにリュースティアの上からどき、ようやく体の自由を取り戻したリュースティアは起き上がりながら言う。

思いのほかルナの力が強く振り払えなかった。

だからせめて鑑定が終わるまでは好きにさせておこうと思った結果がこれだ。

急に迫られ押し倒された挙句、悲鳴を上げられる。

字面だけ見れば通報されてもおかしくない。


「で?何がわかったんだ?」


ルナが落ち着くまで待とうとも思ったが一向に落ち着く気配がないのでこちらから声をかける事にした。

さすがにここまで来てお預けはつらい。


「え?」


「え?じゃなくて、ステータス!見えたんだろ?」


テンパりすぎて直前まで何をしてたかすら忘れてたらしい。

なんだかちょっとルナが哀れに思えてきたよ。


「あ、ああ。そ、そうね。今紙に転写してあげるわ。それとも脳に見たものを直接流した方がいいかしら?」


「転写でお願いしやっす!」


ちょ、脳に流すとか怖いこと言わないで。

すでにいろんなところで失敗のフラグ立ってんだわ。

危険な賭けはできない。


「そう?なら転写するから少し待って。」


なぜか残念そうに紙とペンを取り出し、何かを書き出してきいくルナ。

いろいろと言いたいがここは我慢。

俺だって早くステータス知りたいんだよ。

あと神様からの恩恵とかがあるらしいし、変なのだったらたぶんキレる。


「でもさ、なんで俺のステータスを見ようとするとERRORになるのかはわかった?」


「ええ。推測だけど間違いないと思うわ。」


おお。

やるじゃん!

自分のステータスも気になるけどどっちかっていうとそっちの方が気になるんだよな。

なんせ神様にバグとか言われちゃってるんで。

けどそれは置いといてステータスを見るだけじゃなくてERRORの理由もわかるなんてさすが精霊で一番えらいとか言うだけはあるな。



「簡単に言えばカンストしちゃってるのよ。あなたのステータスは全部。」


ふーん。

なるほど、カンストしてるから見えなかったってことか。

なるほどねー。


「っておい!カンストってどうゆうこと⁉」


「もううるさいわね。そのままの意味よ。何があったかは知らないけどあなたは人外の力を持ってる。だから当然、人の力では人の力を超えたものを見ることはできないってわけ。鑑定石とかも同じね。神代に神から贈られた原物ならともかくレプリカではまず見れないと思うわよ。」


うん、一回落ち着いて考えてみよう。

人外の力をもってるのはたぶん転生したことが原因だと思う。

最初の転生だったらしいし、あの神様くそじじい設定ミスったろ。

だって最初からERRORだったもんな。

マジ仕事しねぇな、あの神様。


「はぁ。それで精霊のルナがみたから俺のステータスが分かったってことか?」


「間違ってはないけどリュースティアのステータスは飛び抜けすぎてて精霊でも見れないと思うわ。私が見れたのは前にもカンストした人間を見たことがあるから。あとは私が神域に達しつつあるからかしら?」


「俺以外にカンストした人?」


もしかしなくてもその人転生したやつだろ。

俺以外にも転生者っていたんだ。

けど確かに、言われてみればヴァンの城は明らかに日本を知ってるやつが作った感じしたもんな。

エアーホッケーとかあったし。


「ええ、ってあなたは知ってると思ってたけど?」


ん?

俺が知ってる?

どういうことだ?

自慢じゃないがこの世界の交友関係はかなり狭いんだ。



「だって私が見たことがあるそのカンストした人っていうのは全能者ハリストス。魔王、勇者、どっちで呼んでもいいけどアルフリックよ?」






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