第102話 進化する剣


「【+++++++++++*`+++*+`+*+*+``*}+}+{+*}+*}`:*}+**+>???}*+}+*】」


「リュースティア!何か仕掛けてくるわ!」


風縛で縛ったと思ったらうまく逃げられた。

そして当然ながら距離を取った。

そんな旧ピンクモフモフを前に戦闘態勢を取っているとルノティーナが叫んだ。

うん、ありがたいんだけどさ。

もう少し声のボリューム下げてくて。

急に隣で叫ばれて俺の鼓膜が破れるところだったんだけど?


どうららルノティーナが言っている事は旧ピンクモフモフが何やら詠唱らしきものを唱えだしたという事だろう。

詠唱らしきものというのは鑑定アナライズを使っても言語を理解できなかったのでらしきものというしかないのだ。

まさかただの意味不明な言語の羅列ではないだろうし。

現に旧ピンクモフモフの体内で魔力が集まっているのが視えた。

リュースティアの威圧&殺意を受け喧嘩を売る相手を間違えたことを実感したのだろう。

だがこれでは早々に大技を使って始末したいらしいことがまるわかりだ。


はぁ、せめてカモフラージュの魔法使って本命は隠すとか、まずは手数で押して様子を見るとかさ色々あんだろ。

こいつってか、魔族ってもしかしなくても頭弱いよな?

この前も思ったけど何だろう、馬鹿?

うーん、あえてフォローするなら多分、魔族自体が保有魔力量が多く、魔法に秀でているから人間や魔物と戦っても苦戦することなんてなかったんだろう。

だから考えなくなった、のかな。

かわいそうな奴らめ。

せっかく知能という素晴らしいスキルがあるのにつかわないとは。


「【吹き荒れろ 風神 】」


そんなことを魔族が詠唱を始めた数秒の間に考え、ストレージから愛刀、風神を取り出し合言葉コマンドを唱える。

風神と出会ってから今日まで何度もやった動作故にその所作は思わず見惚れてしまうほどに美しく、一切の無駄がない。

そしてその所作からも分かるように風神とリュースティアは日々鍛錬に鍛錬を重ねてきたのだ。

そのおかげか今では風神を自らの手のごとく扱う事ができる。

本当の意味で風神はリュースティアにとって欠かすことのできない相棒になっていたのだ。

だが、それでも負けたことに代わはないが。

あの苦い敗北だけはいつまで経っても忘れられそうにない。


だが敗北は何も悪い事だけではなかった。

風神が正しき力を求めようとするリュースティアをとして認めたのだ。

その瞬間、風神は変わった。

ただの主の為に尽くし、使われるだけの剣から助け合いながら共に生き抜く剣へと。

そしてその変化は風神に新たな力を与えるにいった。

簡単に言えば風神は進化した。

今までも魔剣として十二分に力を発揮していた風神だったが進化後と進化前でははっきり言ってそれとは比べ物にならない。

今の風神の力と比べてしまっては以前の風神など子供のお遊戯だ。


「ん?風神、今日はすごく機嫌がいいな。じゃあアレにするか。”刻め 瓢風”」 


風神を解放してやると風神がいつにもまして上機嫌なのが剣の柄を通して伝わってきた。

寝起きで機嫌がいいのは珍しい。

風神は風の剣と言えばらしいのだがとにかく気分屋なのだ。

機嫌がいい時はこれ以上ない、というくらいに力を発揮するのだが機嫌が悪いときなどは全力で抑えていないと何をしでかすかわからない。


とまあこんな感じで気分屋の風神は気分によって仕える技も当然限られてしまう。

今使った瓢風もその一つだ。

発動までの時間が一番短く即効性に優れているので解放直後に使いたい技なのだが寝起きの機嫌が悪いと発動さえしてくれない。

使うのに風神の機嫌を見極めると言うスキルが必須になる技だ。

今日に関して言えば機嫌がよさそうなのでこの技にしてみた。

最もこの技は威力はそこまで高くはない。

だがそれはが使えば、だ。

リュースティアの魔力で放てばかなりの威力になる。

そこら辺の魔物など一撃であの世へと送れそうなくらいの威力があると言えばわかりやすいのだろうか?


そしてそんな明らかにオーバーキルな威力を伴った風は未だ詠唱らしきものをしている旧ピンクモフモフの元へと引き寄せられる。

そしてあわや接触、早々に決着がついたかに思えた瞬間に旧ピンクモフモフが詠唱の最期の言葉を唱え終わる。


吸収アブソープション。」


そしてそんな旧モフモフの一言でリュースティアの風が消えた。


げっ、魔法を吸収しやがった!

あの感じだと魔法というよりは魔力を吸収した感じか?

それなら瓢風は魔力でできた風だから全部消えるのも納得できる。

ってことは物理攻撃なら効くのか?


「ケケケ、驚いたであろう。ワレにはどんな魔法攻撃も物理攻撃も聞かぬ。ではこちらからも行くとしよう。」


心読まれた、かな?

対抗魔法、仕事しろ。

けどそうか、魔法だけじゃなくて物理攻撃も効かないのか。

うーん、物理攻撃はまだ試したわけじゃないけど多分ほんとうなんだろう。

おそらく別の手があるはずだ。

じゃなきゃあんなに余裕を物故けるはずがないし。

つか、どんな攻撃も聞かないって反則だろ。

さて、どうやって倒そう、、、。

リズたちの手前あんまり苦戦するわけにもいかないしなぁ。



はぁ、めんどくさい。

なんか俺こっちの世界にきてから面倒なことに巻き込まれすぎてる気がする。

俺が掲げた平穏至上主義、どっかに置いてきたか?




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