第103話 もしかして俺って、、、、。
*
「ケケケ、今度ハこっちの番ダ。脅かせヤがって。」
リュースティアの攻撃を無効化することに成功した旧ピンクモフモフ。
そして魔法攻撃も物理攻撃も効かないと聞いて動揺しているリュースティア達を見て本来の威勢を取り戻したらしい。
たったこれだけのことで先ほど浴びせられた殺意に対する恐怖を忘れられるんだからある意味魔族とは幸せな種族かもしれない。
それか超ポジティブシンキングを持つ種族だ。
「おっと。”魔装 風神”」
とかなんとか考えていたら攻撃された。
こっちは攻撃できないのに向こうは関係なしってなんか反則くさくない?
まあダメージはお互い受けてないんだけどさ。
なんか理不尽。
ちなみにこの魔装というのは読んで字のごとく、魔力を風神に装備しただけだ。
すごい攻撃を発揮するわけでも硬い防御を見せるわけでもない。
多少頑丈になりよく切れるくらいの効果しかない。
だが実力の均衡する相手との闘いではこういったわずかな誤差が生死を左右する。
まあこいつがそれほどの相手とは思えないが準備しておくに越した事はないだろう。
「ケケケ、なかなか粘ル。だがイツまで持つカナ。」
若干言葉に余裕のなくなってきた旧ピンクモフモフ。
視界の端ではルノティーナたちが加勢するか否か迷っているのが見える。
もっともレヴァンさんは静観を決め込んでいるみたいだが。
その瞳からも全く心配してなどいないことがうかがえる。
うん、なんだろ。
信頼してくれているからこそのまなざしなんだってわかってるさ。
けどなんでこんなに悲しくなるんだ?
少しくらい心配してくれても、、、、。
内心をレヴァンさんに荒らされつつも、旧モフモフから放たれ続ける魔法を風神で軽くいなす。
そしていなしながらも攻略方法を考える。
同時攻撃、最大威力の攻撃、魔法以外、魔法のみ、持久戦、、、。
うーん、どれも微妙だな。
何か簡単に相手を無効にできる魔法とか武器でも考えておくんだった。
帰ったら範囲型魔法を付与した
対抗魔法なら耐性系のスキルをいじれば何とかなるか。
あとは何かあった時の為にも治癒魔法とか必要だよな。
けど
俺のストレージに入れておけば問題ないんだけど、それだといざという時に対応できないし。
時間経過を物ともしない
これは科学の分野だな。
なんかやりたい事増えた。
よし、早く帰ろう。
「あれ、もう打ち止め?」
思考に没頭していたらいつの間にか旧モフモフからの攻撃が止んでいた。
それよりなんか急に老けてないか?
「おかしい、おかしいぞ。おヌシ何者だ⁉国をも亡ぼすワレの攻撃をいとも簡単にいなし続けるなどできるはずがない。」
ん?
だってそんなに大した攻撃じゃなかったじゃん。
なにせいろんな事を考える余裕すらあったし、小手調かと思ってた。
それか陽動だと思ってたんだけど?
「もしかして、、。お前って俺が考えていたよりかなり弱いんじゃないか?」
「黙れ!ワレは最強なり。!ワレが屈することなどない!ワレにコウゲキの一つも入れられぬくせにほざくな。」
いや、確かに一撃も入れてないけどさ、一撃しかしてないから。
でもそんなに言うなら攻撃してやるよ。
早く帰りたい理由もできたしな。
「まずは、【
リュースティアは上級以上の魔法を立て続けに3つ。
しかもすべてを《無詠唱》で放つ。
最初の魔法で旧モフモフを風の檻に捕らえ、その中で風系の魔法でも高い殺傷能力を有する魔法を放つ。
これで旧モフモフは風の檻の中でリュースティアの攻撃にただひたすら耐えなければならない。
たとえ魔法を無力化されてもすぐに次の魔法を放てる準備はできている。
魔法の打ち合いなら負ける気がしないしな。
実際、これだけの魔法を放ってもリュースティアの魔力はほとんど減っていないのであと半日はこの状況を維持できる。
「なっ⁉上級に最上級までを無詠唱だと。くっ、うあーーーーー。」
そんな旧モフモフの声が聞こえたが途中から悲鳴で何を言いたかったのかはわからない。
うん、少し痛い目でも見てもらおうか。
というか魔法攻撃も物理攻撃も効かないんじゃなかったのか?
初撃からふつうに喰らうとはおもわなかった。
見掛け倒しかよ!
思わずそんなツッコミをしてしまう。
今回リュースティアの魔法が効いているのは単に無効化できる魔力量以上の魔力で攻撃を受けているからだ。
普通の人間の魔力量であれば傷一つつけることなどできない。
「あっ、そうだ。」
そしてそんな悲鳴をBGMにリュースティアはあることを思い出した。
ギルドで聞いた魔族についてのある特性を。
そしてそれは魔族、いや旧ピンクモフモフにとっての地獄の始まりだった。
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