第19話 人の話は最後まで聞きましょう
「とりあえずこんなもんか?」
初級から上級までの風魔法を一通り教えてもらい、現在は風魔法の最上級、雷魔法を練習している。
練習、と言ってもリュースティアは教えてもらった魔法名を唱えれば発動できるので魔法の効果を確かめてるにすぎない。
ちなみに練習を始めてから3時間が経過しているが魔力は一回も尽きていない。
「リュー、そろそろ休憩にするの。」
シルフが飽きたらしくそんな提案を持ち掛ける。
さすがに疲労も溜まってきたのでしシルフの提案に乗ることにした。
ついでに聞きたいこともあったし丁度いいだろう。
「なぁ、俺のこれってどういうスキルなのかわかるか?」
そう言って手元にあった岩石から剣を創造してシルフに見せてみる。
できることはシルフとの深夜テンションの実験で把握しているが詳しくはわかっていない。
「あっ、それは前に遊んだやつなの! それは神様からの贈り物なの。」
「神様からの贈り物?」
心あたりはあるがどういう事だろう。
こっちの世界ではスキル自体が神様が授ける物ということなのだろうか。
シルフに聞いても要領を得ないだろうから調べた方がよさそうだ。
ネットは使えないだろうし、図書館とかあるのかな?そんなことを考える。
「そうなの! リューのステイタスのそう書いてあるの。」
ん?
今しれっととんでもない事言わなかったか?
「シルフ他人のステイタス見れるのか?」
「見れるの! 精霊の目を使うと分かるんだけど、リューは見えにくいの。でもよーく見たら見えたの!」
なるほど、便利な目だな。
ん?
俺こっちに来た時自分のステイタス見れなかった気がするんだけど、、、。
「そのステイタス教えてもらってもいいか?」
「んとね、神様のお気に入り?わかんないけどいっぱい祝福されてるの。そーぞーしんとうんめーしん?」
「創造神と運命神? ってことはこのクリエイトなスキルは創造神って神様がくれたすきるかな。運命神、、、。あっ!そういえば不運の塊みたいな俺がこっちに来てから何かと運がいい気がしてたのはそういう事か。ってことは不運のループから抜けたってことか?」
今までの出来事や自身のスキルについてようやく明快な理由がわかった。
そして創造神と聞いて真っ先に思い浮かんだのは天界であったじいさんだ。
ほんとに神様だったんだ、、、などと失礼なことを考えてしまった。
いかん、いかん、感謝せねば。
「よし、じゃあ一通りの風系魔法はOKとして、次はできることの整理だな。シルフには付き合ってもらうぞ。」
「はいなの!」
威勢のいい返事にうなずきリュースティアがまず最初に行ったのはこちらに来てか最初に使ったとき以来一度も使わなかったアイコンを調べる事だった。
とりあえずアイコンを開き項目を確認する。
*マップ
*ストレージ
*ログ
*備考欄
アイコンの機能はどうやらこの四つらしい。
基本は名前通りの機能を備えてるみたいだ。
とりあえずログを見てみる。
》雷魔法を習得
》風魔法:上級を習得
》風魔法:中級を習得
》風魔法:初級を習得
》メーゾル領北、ボルボリンの森に移動しました。
》職業:下位冒険者を取得
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・
・
と、どうやらこちらの世界に来てからの出来事がログで見れるらしい。
魔法の習得だけでなくスキルで創造したものもログに表示されるみたいだ。
試しにシルフに風魔法で攻撃してもらったらそれもログに表示されたから自身に関わる事ならすべて記録されるのだろう。
あんまり使わなそうだがないよりはましかな?
どうでもいいがログを見る限りここはボルボリンの森というところらしい。
わざわざ森にも名前があるなんてご苦労なことだ。
備考欄は簡単に言うと説明。
物品の詳細や相場などがわかる。
ちなみにわかるのは物品だけでなく場所や人物も鑑定してくれるらしい。
これを使えば大抵のことは聞かなくてすみそうだ。
とりあえず試しにさっき作った剣を備考欄で見てみる。
〉鉄製剣:等級 Ⅱ
〉製作者:リュースティア
〉銘:無
〉使用型不明。片手剣。相場、銅貨70~90枚
等級Ⅱとか言われてもわからないが値が付くみたいなので鉄くずというわけではなさそうだ。
型が不明なのは俺のイメージで作ったからこの世界の剣と形が異なるからだろう。
もともと鍛冶なんてやったことないししょうがない。
これは商売になるかな?
次はストレージ。
これはそのまま、鞄みたいなものだ。
最大量はわからいけどいくらでもはいりそうだ。
フォルダわけもできるみたいだし色々調べるのは入れるようなものができてからにしよう。
最後はマップか。
これは最初にこっちに来た時に使ったから大体わかるな。
赤が魔物で、黄色が人、白が俺だっけ?
確か詳細に表示されるのは行ったことのある場所だけでそれ以外だと地形くらいしか表示されなかった気がする。
結論から言うとマップはかなり有能だ。
街の中でも特定の人物を検索することができた。
ちなみにリズたちは今ギルドにいる。
これ使い方を間違えたらただのストーカーだな。
もちろんそんなことはしませんよ?
人は黄色い点で表示されるのだが指定すればを点を違うマークにできるらしく、二人の点を星マークにしておいた。
指定しておくと半径100メートル以内に来ると自動でマップに表示できるらしい。
あとは備考欄と連動しているらしく建物や人物をタップすれば詳細が表示されるみたいだ。
食材も検索できるらしいから今度ケーキの材料を探してみよう。
チョコレートとかあったら最強だしね。
「そういえばこの【ボルボリンの森】ってどんなところなんだ?」
ふと思いついてマップの備考欄でしらべてみる。
〉ボルボリンの森。魔物、主に魔獣に分類されるものが多く住む。
〉主に、騎士団の演習場や、上位冒険者の狩場として使用されており、下位冒険者、一般人は立ち入りが制限されている。
ん?
リュースティアの顔が一瞬で青冷め、嫌な汗が背をつたる。
震えながらもマップ検索で赤、つまり魔物を表示させる。
するとリュースティアを囲むように無数の赤い点があった。
魔物を非表示にしていたので彼らの接近に気が付かなかったのである。
これからは魔物を常時表示に変えておこう、、、、。
幸いまだ目視できる範囲に敵は現れていないようなので今のうちに退路を探す。
だが行動を起こそうとした瞬間、タイミングを見計らったかのように大量の魔獣が広場に流れ込んできた。
マップに連動している備考欄の詳細を見る限りレベルは30~40。
ヘルハウンドという魔獣が15体いるみたいだ。
しかもすでに囲まれてしまっているので退路はない。
「そんなの聞いてねーよ!」
リュースティアの絶叫が広場にこだまする。
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