第3話 転生、そして草原
*
カイト、改めリュースティアは視界を覆う眩しいくらいの光が収まると同時に目を開ける。
「これが異世界。、、、、、、てかどこだよここ⁉」
見渡す限りどこまでも広がっているのは草原。
そう、彼はただっ広い草原に現段階で何の装備も食料もなく立っている。
「これはあれか、俺に運がないからこうなったのか⁉ それとも単なる嫌がらせ
か⁉ あの神ならあり得る、、、、。くっそー、余計な事言わなきゃよかったか?」
誰に言うでもなくリュースティアは叫ぶ。
断じて不満を聞いてほしいのではない!
叫ばずにはいられないのだ!
一通りの暴言を叫んだあといくらか冷静さを取り戻したリュースティアはあらためて現状を確認する。
「所持品は、っと。今着ている服だけと、あれ、ポケットになんか入ってるな?」
そしてポケットから取り出したものは月桂樹のような木と鷲のような鳥の描かれた金貨だった。
「これはこの世界の通貨か?」
とりあえず一文無しでスタートする羽目にはならなかったようなので一安心だ。
次は現在地の確認だ。
「異世界転生系ならマップ機能とかお約束だよね。」
そう言いながら視界の端に先ほどから見えていたアイコンらしきものに意識を集中させる。
するとアイコンが反応し目の前にさながらゲーム画面のようなものが映し出される。
「おお、なんかVRみたいだな。でマップはこれか?」
視界下に並んだアイコンの中から地図らしきものを開くと想像通り、マップが表示される。
マップには赤やら黄色やらの点と地名らしき名前があったりする。
「この白い点が俺ってことだよな。町みたいなところに黄色い点が多いってことは黄
色は人か。すると赤は魔物か?」
その予測はすぐに正しいと証明された。
なぜなら一番近くにある赤い点の方を見ると魔物がいた。
全長二メートルになろうかという二足歩行の魔物はRPGで定番のオークにそっくりだ。
その怪物はまだリュースティアと距離があるにも関わらず彼に気づいたようで雄たけびを上げながらこちらに迫ってくる。
「死亡フラグの回収早すぎません⁉」
半ばパニックになりながら使える物はないかと必死にアイコンを探るが当然役に立ちそうなものは何もない。
「はっ、そうだ!ステータスオープン!」
思い出したように自分のステータスを表示させる。
自分のステータスが迫ってくるオークもどきより高ければ何とかなる、、、、ハズだ!
そして表示されたステータスはというと
【~ERROR~】
「うそん。バグそのままかよ⁉ ってかERRORって最悪過ぎんだろ!」
目前に迫ったオークもどきが棍棒を振り上げ、今にもリュースティアの頭をめがけて振り落とそうとしている。
(死んだな、これは。)
二度目の死を覚悟し目を閉じる。
だがいつまで経っても覚悟していた痛みは訪れない。
恐る恐る目を開くとそこには何かにはじき飛ばされたように無様にあお向けに倒れるオークもどきがいた。
何が起きたかわからずもオークもどきの生死を確認する。
先ほどから微動だにしないが気絶しているだけならもちろん速攻で逃げるつもりだ。
力云々以前にリュースティアには魔物と戦う勇気などない。
へっぴり腰になりながらもオークもどきに近づくとオークもどきは酸にでも溶かされたかのように少しずつだが融解していた。
しばらくその様子を見ているとものの数分でオークもどきは完全に解け、紫色をしたこぶし大の石が残った。
その様子を見ていたリュースティアは一言。
「うそん。」
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