剣と魔法の世界

第3話惑星ソフィア1b

「じゃあ、これから行くソフィア1bについて現在分かっていることを教えるよ」。

そう、宇宙間航行機に乗り込んだ瞬間にウィリアムは切り出した。


現在、宇宙は発酵が進むエメンタールチーズのようなものであると考えられている。一つ一つのチーズの穴が固有の宇宙を形成する。我々の宇宙のように膨張するものもあれば、これから行く宇宙のようにその在り方を保つものもある。宇宙間航行は、行きたいのチーズの穴と自分の居るチーズの穴の位置関係を特定し、ワームホールをつなげることで可能となる。


「まず、ソフィア1bは地球の約2.5倍の大きさで恒星の周りを460日かけて公転している。後、自転をしていないから片側は常に暗闇に閉ざされているね。ソフィア1bは3つの衛星を持っていて、それらが12時間ごとに恒星に面しているほうに約5時間の暗闇をもたらすから、一日は17時間と考えるのがいいかな」。


「であれば、知的生命体はその恒星に面しているほうに住んでいると考えるのが妥当ですね」。


「それがねえ、今回知的生命体と思しきものが観測されたのが逆側だったんだよねえ。観測ミスの可能性もあるけど。後、ソフィア1bは両側に一つずつ大きな大陸と小さな島々があって、表面の約80%は水に覆われているから、水生の生物の可能性が高いとも言われてた」。


「仮にそれが正しいとなると、地球の深海魚が進化したような姿形をしているということですか?」


「え、怖いこと言わないでよ。僕魚とか苦手なんだから。あ、でも人魚とかなら大歓迎かな。下半身が魚っていうのはいただけないけど、水中であれこれするのも楽しそうだ。ははは」。


「教授、また変な薬でも使っているんですか?お願いですから、惑星の環境を破壊するようなことをしでかすのは控えてくださいよ。それと、惑星探査はどのように進めていきましょう?教授に案がないなら、私に考えがありますが」。


「シュウ君はお堅いなー。まあ、いいや。今のところ、先ずは恒星に面している側の大陸から探索を始めようと思ってる。逆側には知的生命体がいる可能性が高いし、先ずこの大陸で惑星の環境を調べるのがいい気がするんだけど、どう?」。


「そうですね。加えて、水生の生物がいる可能性が高いので、着陸場所は大陸の森林等がいいでしょう。仮に知的生命体と邂逅しても、先ずは接触せず惑星の環境の把握に努めるのがいいでしょう」。


「まあまあ、そこは臨機応変にー。あ、そろそろ着くみたいだよ」。

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異世界を科学する 匠錬 @rentakumi

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