第6話 先行き不安な出だし
「ルガーさん、その姿で街中うろついて大丈夫なんですか?」
シュラウドくんの死……いや脱落を悼んだ後、私は歩き出したルガーさんの後ろをついて行きました。
それも、ガイコツ姿で通りを歩き始めたのです。偶然、路地裏に落ちていた布切れで体の半分以上は隠せているけど、いかんせん下半身は丸見え。
顔も隠す気がないらしく、恐ろしい骨の形相で堂々と街を歩いています。
すれ違う何人かはルガーさんの顔を見るなり目を逸らしすし、スケルトンだとわかると避けて通るような人もいました。
「やっぱり皆さん怖がってますって。最初の時みたいなマスコットキャラにはなれないんですか?」
「誰がマスコットキャラだ。コンパクトモードは好かん。あれは俺みたいな異業が人中でも快適に活動できるよう運営が施した措置だ。あんなもんがなくとも、俺は俺の姿で歩くことを決めた」
ルガーさんこそ使うべきでしょ!
やっぱりこの人頑固だな……。
「ところでさっき、カイトさんと記憶の制限がどうとか言ってましたけど、何なんですかそれ?」
「過去のゲームでクリアできなかった奴は、次回ゲームで冒険者の仲間になると聞いたな。自分がかつてのゲーム参加者であることや、ゲームの詳細について口外できないことも。俺は記憶の制約と呼んでいる」
「でも、ルガーさんペラペラ喋ってません?」
「カイトの馬鹿がお前にあれこれ説明したからな。外的要因で冒険者にゴッズゲームのルールが知らさせると、その仲間は記憶の制約が解除される仕組みになっている」
「なるほど。冒険者がゲームのルールを知ってしまったら、仲間に口封じさせている意味もなくなりますしね」
残酷で外道なゲームだけど、その点だけは良心的だと言える。
「あの鳥覚えているか?」
「シュラウドくんの仲間ですよね。……結局、一言も話さず消えちゃった」
「アイツはクリアしないと無限に続くゲームに精神がイッちまった奴だ」
「だからあんな人形みたいな風になっちゃったんですね……」
シュラウドくんにそのことを伝えるとどんな反応をしただろうか。
「アイツは最後の最後まで主人を守りきれず、自分にも負けた」
「そんな言い方ヒドいですよ。あの人もあの人なりの努力をしたに違いありません」
「結果的に奴は絶望という奈落に落ちた。それだけだ。どんなに小綺麗なやり方を通していても、結果が出せないなら、そんな過程に意味はない」
結果だけを重視するルガーさんとは、反りが合わなそうだ。
「ルガーさんのそういうところ、直した方がいいですよ」
「余計なお世話だ。お前みたいなガキが俺の生き方にいちゃもんつけんな」
ギクシャクした空気が私たちの間に取り巻いていました。
その店に着くまでは。
「到着だ」
「ここは……?」
この世界の文字については一切勉強していない。しかしどうしてか、店の看板にある文字は昔から慣れ親しんでいるかのように読めた。
「武具屋……?」
と書いてあった。
「入るぞ」
「って、ちょっと待ってください! 私たちお金持ってないですよ!」
私の忠告も無視し、どこまでも自分勝手なルガーさんは店の中に入ってしまいました。
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