四月十日
喉の渇きが凄まじく、賞味期限がとっくに切れた固形の栄養補助食品すら口にするのも不可能だった。
歩くというよりも這って進んでいた。
誰も、息をしている生物には会わなかった。リンディはどこにいるのだろうか。そればかり考え、それが進む動機だった。
久しぶりに目にする、日本のコンビニエンスストアのような建物が飛び込んできた時には意識を失ったようだった。だから、正確には十日という日にちは間違いかもしれない。六回、空の色が変わった。七回、燃えるような色を見た。八回、白みがかった空になった。なので十日という日にちにしている。
建物の中で、泥と什器の下敷きになったグミを見つけた。リンディが読書や自宅での作業の合間によく口にしていたものだった。思い出を壊さないように、慎重に開封して舌にのせる。
涙が勝手に湧き出て、まだ余分な体力も水分もあったのだとびっくりした。噎せてしまい、見当たらないのに飲料を探してしまった。
タイミングよく、漂白剤がちょっと先にあった。什器を動かしたらから見つかったのだろう。
何かで、漂白剤は経年劣化(そんなものではないだろう。化学的な面では違うはずだ)すれば、非常時の飲料にもなると読んだ。迷わずに口と喉、食道と胃を潤す。
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