#監禁からの脱出事件

 バンと大きな音がして扉が開きました。


 中から飛び出してきたのは裸の女性です。


 偶然通りかかったお母さんは彼女を抱き留めます。


 女性は全身傷だらけで、手首はキツく手錠で拘束され、両手は真っ赤に染まっていました。


「落ち着いて。何があったんですか?」


 ミミズ腫れの走る背中を撫でながらお母さんが尋ねると、女性は震える唇でこう言いました。


「夫を、私に酷い事ばかりする夫を刺してしまったんです!」


「彼女落ち着いた?」


「うん。今何があったか話を聞き終えたところだよ」


 お母さんが助けた可逆カギャク嘘吐ウツキは夫である可逆カギャク多々木タタキを刺殺した。


「話を聞いた感じだと、嘘をついている感じはしない。今のところ正当防衛という可能性がいちばん高いかな」


「お母さんにも彼女の話を教えてもらえないかしら?」


「いいよ」


 僕はメモしておいた証言を読んでいく。


「『夫の加虐趣味は昔から知っていたんですが、段々とエスカレートしてきて、無理やり迫るようになったんです。

 ある日。私は地下室に手錠で繋がれて何日も拘束され、その、酷い仕打ちを受け続けていました。

 朝、夫が短剣を手に持っていたんです。殺されると思った私は、無我夢中で短剣を奪い喉に突き刺したんです』」


「彼女の話しに怪しいところはないの?」


 母さんは質問しながら、好物の飴を舐めた。


「怪しいところはないよ。被害者は短剣で喉を刺されて死亡。柄の指紋は被害者と嘘吐さんの二人だけ」


「監禁されていた地下室を教えて」


「えっと、家の地下にあって、中には様々ないうのも憚られるような拷問器具が置かれてた。

 部屋には時計もないし窓もなくて

 灯りは天助に吊り下げられた裸電球一個だけ」


 僕の話を聞き終えたお母さんは胸の前で手を叩いた。


「お母さん謎が解けたわ。これは正当防衛じゃない。殺人事件よ」


 問い、何故お母さんは殺人事件だと分かったのでしょうか?


 お

 母

 さ

 ん

 の

 推

 理

 が

 こ

 ち

 ら

 ↓

 ↓

 ↓

 ↓

 ↓


 答え、嘘吐さんはこう言っていたわ『朝、夫が短剣を持って……』と。

 地下室に窓も時計もないのに朝だと分かるのはおかしいわ。


 それじゃあまた次の謎解きで会いましょうね。バイバ〜イ。

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