#27一杯のダルゴナコーヒー事件

「緊張してこれ以上動きません」


 お母さんは絵元さんと共に絵本作家詠幾何ヨミキカ瀬子セコの家の前にいました。


 彼女の書いた絵本が詠幾何瀬子の目に留まったのです。


「そんな緊張しないで」


 お母さんの言葉で緊張が解きほぐれた絵元さんがチャイムを押しました。


 しかし反応がありません。少しすると家の中から慌ただしい物音が聞こえドアが勢いよく開きました。


 現れたのは顔面蒼白の女性です。


「大変なんです。姉が、瀬子が死んでるんです!」


「警察はすぐに来てくれるそうですよ」


「ありがとうございます」


 通報したお母さんにお礼を言ったのは、詠幾何瀬子の妹で同じく絵本作家の詠幾何ヨミキカ瀬那セナです。


 泣いている絵元さんと詠幾何瀬那の二人は部屋の外で待ってもらい、お母さんは一人で現場を確認しました。


 清潔なリビングには、キッチンナイフが刺さった被害者が仰向けで倒れています。


 近くにはテーブルがあり、その上にはブラックコーヒーと見慣れない飲み物が置かれています。


 ふんわりとした茶色いホイップが牛乳の上にのっています。


 鼻を近づけると微かにコーヒーの香りがしました。


「絵元さん聞きたいのだけれど、あの飲み物何か知ってる?」


「あれは……ダルゴナコーヒーです。泡立てたインスタントコーヒーとお砂糖を混ぜて泡立てたものなんです」


 鼻を赤くした絵元さんが教えてくれました。


「ありがとう。あの瀬那さんとお姉さんは甘党ですか?」


「いいえ。私は甘いの好きですが、姉は苦手でブラックコーヒーしか飲みません」


 お母さんは甘いミルクキャンディを舐めて考え事をします。


 その間に警察車両のサイレンが近づいてきました。


「警察が来たみたいですね」


 外に出ようとする絵元さんと詠幾何瀬那を呼び止めます。


「待ってください。瀬那さん。ここで起きた事を正直に話してください」


 コウ達警察が到着した時、家から出てきた詠幾何瀬那が犯行を認めて自首しました。


 問い、何故お母さんは詠幾何瀬那が犯人だと分かったのでしょうか?


 お

 母

 さ

 ん

 の

 推

 理

 が

 こ

 ち

 ら

 ↓

 ↓

 ↓

 ↓

 ↓


 答え、被害者瀬子さんは甘いもの苦手。なのにダルゴナコーヒーがあったわ。

 あれは砂糖を使って甘いからブラックコーヒーしか飲まない瀬子さんは飲まない筈。

 犯人の瀬那さんが甘党と聞いて、ダルゴナコーヒーは瀬那さんの物だと分かったのよ。


 それじゃあまた次の謎解きで会いましょうね。バイバ〜イ。

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