#26窓から見えたSOS事件

「ん〜美味しい!」


 お母さんはほっぺたに手を添えて幸せそうです。


「本当美味しいですね」


 一緒に来たスイもフォークを持つ手が止まりません。


 二人は今日ホテルのケーキバイキングに来ていました。


「何個でも食べれるな。けど気をつけないと太るな。絶対」


「大丈夫。食べた分運動すれば体型なんてすぐ元どおりよ」


 お母さんの一言に、それもそうかと納得したスイは目をつけていたケーキが取られる前に自分のお皿に載せました。


「それにしてもお友達来ないわね」


 本当ならスイの友人二尾フタツオ華香ハナヤカも来る筈だったのですが、待ち合わせ場所に姿を現しませんでした。


「もう少しで着くってメール来たんですけど、今は返事が来ないんですよね」


「もしかしたらスマホが電池切れで迷っているのかもしれないわ」


「それはあるかも。彼女ガールスカウトの時も虫追いかけて迷子になったって聞いた事あります。ちょっとその辺見てきます」


 スイが二尾を探しに行ったので、お母さんは一人になってしまいました。


 ふと向かいのホテルに目をやると、人影が見えます。


スマホのカメラで見ると童顔にツインテールの女性でした。彼女は必死に泣くのを我慢して両手を動かし続けていました。


 ただならぬ事態を感じて観察をしていると、ある一定の動きを繰り返している事に気づきます。


 お母さんはミルクキャンディを舐めながらメモを取りました。


 ①

 平行にした両手を左斜め上から右斜め下に下ろし、頭の上でバツを作る。

 ②

 両手を左右に広げて真っ直ぐ伸ばし、左手を下にし右手を上にし、頭の上でバツを作る。

 ③

 左手を左に伸ばし右手を真上に伸ばし、次に左手を左斜め上に右手を右斜め下に伸ばす。

 ④

 左手は頭の上から右に右手は右に真っ直ぐ伸ばし、左手を左斜め上に右手を右斜め下に伸ばす。


 この四つの動作を延々と繰り返していました。


 お母さんはスイに連絡します。


「向かいのホテルで助けを求めている女性がいるの。すぐに行ってあげて」


 お母さんが気づいた事で、誘拐された二尾華香を無事救出することができました。


 問い、何故お母さんはSOSだと分かったのでしょうか?


 お

 母

 さ

 ん

 の

 推

 理

 が

 こ

 ち

 ら

 ↓

 ↓

 ↓

 ↓

 ↓


 答え、彼女はガールスカウト時代に習った手旗信号でタスケテと外にSOSを発信していたのよ。


 それじゃあまた次の謎解きで会いましょうね。バイバイ。

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