#25声が生み出したアリバイ事件
昼食が置かれていたテーブルに男性が突っ伏している。
その顔は苦悶に満ちていて、苦しんで死んだ事が容易に想像できた。
被害者
「私は主人のお昼を用意して、友人と会っていました。それで、帰ったら主人が、主人が死んでいて……」
第一発見者の
『すいません。よく聞き取れませんでした』
「えっ?」
抑揚のない声の正体は家にあるスマートスピーカーからだった。
「すいません。私の声に反応してしまったみたいで」
「僕の声には全く反応しませんでしたけれど」
「主人と私の声にしか反応しないように設定しているんです」
怏怏石子はスマートスピーカーをスリープした。
僕は怏怏石子のアリバイを確認する為、電話を受けた友達に確認する。
「ええ。石子さんからでしたよ。何でも駅から掛けたみたいでお話し中ずっと電車が通り過ぎる音がしてましたよ」
「怏怏さんに何か気わった様子はありませんでしたか?」
「いいえ。石子さんすごい楽しそうで、強いて言えばいつも以上に明るく見えました。しがらみから解放されたみたいでしたね」
調べてみると怏怏石子は被害者である夫を疎ましく思い周囲に愚痴をこぼしていたらしい。
年々暗くなっていく彼女が事件が起きてから人が変わったように明るくなった。
動機はあるけれどもアリバイが崩せそうにない。
僕は母さんに相談する事にした。
「もしもし母さん。今いい? 相談したいことがあるのだけれど、なんか騒がしいね」
受話器から何かのメロディが聞こえてくる。よく聞くと家電量販店のCMソングだった。
『今、電気屋さんにいるの。店員さんにスマートスピーカーの説明聞いてね。凄いのよ。音声認識機能に遠隔操作で鍵やカーテンまで開けることもできるんですって。面白いのは――』
スマートスピーカーの多機能に興奮している様子だ。
「母さん。それは後で聞くから。今は事件の事でアドバイスが欲しいんだ」
僕は怏怏独善殺害事件の詳細を話した。
『なるほど。お母さん謎が解けたわ。犯人は奥さんの石子さんよ』
問い、怏怏石子はどうやってアリバイ工作したのでしょうか?
お
母
さ
ん
の
推
理
が
こ
ち
ら
↓
↓
↓
↓
↓
答え、犯人はスマートスピーカーでアリバイを作ったの。様々な機能を追加できるんだけれど、その一つにアリバイ機能があるの。
それを使うと電車の音等、外出しているかのように見せかけることができるのよ。
それじゃあまた次の謎解きで会いましょうね。バイバイ。
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