#20アリバイに利用されたお母さん事件
「この女の人と撮った写真が私のアリバイを証明しているのよ」
容疑者
「母さん。本当に彼女と写真を撮ったの?」
「ええ。彼女に頼まれて一緒に写真を撮ったわ」
昨日、被害者
刃物による刺殺で、拭き取られた形跡があり本人以外の指紋は検出されなかった。
死亡推定時刻は昼の十二時半頃で、被害者の恋人嫌気羽雨に話を聞くと、自らのアリバイを証明する写真を持っていたのだ。
それが彼女のスマホで撮られた写真で、時刻も犯行のあった昼の十二時半と記録されている。
更に公園は現場から徒歩で三十分もかかり、タクシーを利用していない事は証明されている。
しかし動機があるのは彼女なのだ。恩納大助は何度も浮気を繰り返し、その度に大喧嘩していたという複数の証言があるのだが……。
「嫌気さん。本当に犯行現場に入ってないんですね?」
「言ってないわ。一緒に写真を撮ってもらって別れた直後、公園にいた野良猫を写真に撮ったのよ」
「それ、お母さんも覚えているわ。とっても可愛い野良猫がいたのよ」
アリバイ工作に利用されているかもしれないのに母さんはマイペースを崩さない。
何かを思いついたのか、突然胸の前で手を叩く母さん。
「そうだ。あの猫の写真見せてもらってもいいかしら?」
「ええどうぞ」
許可をもらった母さんは、スマホの写真リストを眺めていく。
嫌気羽雨は完全に油断していた。スマホを操作している母さんは飴を舐めているのだ。
「コーくん。謎が解けたわ」
一分後。嫌気羽雨のアリバイは十二時五分と記録された野良猫の写真によって見事に崩された。
問い、何故猫の写真が犯人のアリバイを崩したのでしょうか?
お
母
さ
ん
の
推
理
が
こ
ち
ら
↓
↓
↓
↓
↓
答え、これはスマホの時刻を手動で設定したトリックよ。
犯人はスマホの時間を予め三十分進ませておいてから私と写真を撮ったの。
そうする事で犯行時刻には現場にいない事になる。
けれど写真を撮った直後に時刻を元に戻してしまったみたいね。
だから猫の写真を撮った時間が十二時五分と記録されていたのよ。
それじゃあまた次の謎解きで会いましょうね。バイバ〜イ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます