#21空港テロ予告事件

「コーくん……お母さんの事、忘れちゃいやよ」


 お母さんは両目に涙をいっぱい溜めていました。


 その憂いを帯びた表情はほぼ全ての男性を引き止める効果があったが、息子には効かなかったようです。


「僕はロサンゼルス研修に行くだけだよ」


「だって一週間も会えないのよ。やっぱりお母さんも一緒――」


「大丈夫、大丈夫だから」


 お母さんと一緒に研修を受ける刑事。もし実現したら前代未聞のことでしょう。


「母さんと一緒に行ったら向こうの警部さんがびっくりしちゃうよ。えっと名前は何だったっけ? C・O・L・U――」


 研修担当の警部の名前を読むのに手間取っていると……。


「そろそろ搭乗手続きの時間じゃない?」


「うわやばい。乗り遅れたら大変だ。じゃあね母さん……あとこの空港にテロの予告があったらしいから気をつけて帰ってね」


「分かったわ。いってらっしゃいコーくん。寂しくなったらすぐに連絡してね〜」


 お母さんはコウが乗った飛行機が見えなくなるまで手を振り続けていました。


(行っちゃった……頑張ってねコーくん。そうだ。後で警部の奥様に連絡しておきましょう)


 そう考えていた帰り路、お母さんは気になる人を発見します。


 シニヨンに纏めた髪、首にはスカーフを巻き空港の制服を着たキャビンアテンダントです。


 キャビンアテンダントはデジタル腕時計を確認しながらスーツケースを引いてパウダールームへ入っていきました。


 いつも持ち歩いているミルクキャンディを舐めたお母さんは、ある準備を整えてからパウダールームに入ります。


 室内は、お母さんと化粧台の前にいるキャビンアテンダントの二人だけのようです。


「こんにちは。貴女、偽者のキャビンアテンダントさんですよね」


 お母さんは単刀直入に尋ねます。


 キャビンアテンダントは驚いたように勢いよくお母さんの方を見ると、何も言わずに荷物を纏めてパウダールームを出て行こうとしました。


 しかし出入り口の前には空港の警備員と警戒中の警察官が待ち構えていたので、キャビンアテンダントに変装していたテロリストの計画は失敗に終わるのでした。


 問い、何故お母さんはキャビンアテンダントが偽者だと分かったのでしょうか?


 お

 母

 さ

 ん

 の

 推

 理

 が

 こ

 ち

 ら

 ↓

 ↓

 ↓

 ↓

 ↓


 答え、デジタル時計を見て偽者だと分かったわ。

 本物のCAさんは急病人が出た時に秒針で脈拍を測る為にアナログ時計を使っているのよ。


 コーくんを研修してくれる刑事さんが誰か、名刑事の皆さんには分かったかしら?


 それじゃあまた次の謎解きで会いましょう。バイバ〜イ。

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