#18殺人犯はホラー作家事件

『ホラー女流作家死屍四姫シシシキ。殺人容疑で逮捕される』


 出勤前に朝ご飯を食べていると、ここ数日テレビを賑わせている殺人事件が放映された。


 売れっ子の新人作家がベテラン作家を殺害したという衝撃的な事件だが、それ以上に犯人の正体がワイドショー向きだったのか、連日報道されている。


 テレビにインタビューを受けている僕が映ったところでチャンネルを変えた。


「今回もお手柄だったわね」


 隣に座る母さんは僕の活躍を褒めてくれるが、最大の功労者は僕ではない。


「何言ってるの。僕は逮捕しただけ。犯人を突き止めたのは母さんでしょ」


 事件は数日前ベテラン作家熱井練助アツイネリスケの家で起きた。


 家は荒らされ、熱井練助は背中から包丁の柄が二本生えた状態で、うつ伏せに倒れていたのだ。


 死亡推定時刻は午後五時から七時頃で死因は、背中に二本、腹部に二本の包丁を刺されたことによる失血死。


 家の中は荒らされ、金庫の扉を開けてみると中にあった現金三百万円が消えていた。


 第一発見者達の証言にもあるが犯人は窓ガラスを割って逃走したと思われていた。


 四人の第一発見者。彼等は被害者と九時に会う約束をしていて、発見した時は何も触っていないと言っている。


 四人の証言。


 左腕春夫(サワンハルオ)

『午後六時ごろ先生の家に行ったらガラスが割れる音が聞こえて中に入ったんだ。そしたら家の中が荒らされて先生が倒れていたんだ』


 右腕夏樹(ウワンナツキ)

『九時ごろに家に行ったんです。そしたらガラスが割れる音がして中に入ったら、荒らされた部屋に先生が倒れていて金庫の中の三百万が盗まれていたんです』


 左足秋太(サソクアキタ)

『二一時に先生の家に行ったら家の中でガラスの割れる音が聞こえたんだ。みんなで見に行ったら包丁が四本刺さった先生が荒らされた部屋で倒れていたんだ』


 右足冬子(ウソクフユコ)

『私達は夜九時ごろに家に行ったんです。中に入ったら先生が血を流して倒れていて、ガラスが割れた音が聞こえたんです』


 容疑者を絞り込むのが難しかった為、母さんに知恵を借りると、飴を舐めた母さんは一分で犯人を当ててしまった。


「お母さんは謎が解けたわ。犯人は間違った証言をしているの」


 問い、殺人犯である死屍四姫の正体は?


 お

 母

 さ

 ん

 と

 答

 え

 合

 わ

 せ

 し

 ま

 し

 ょ

 う

 ↓

 ↓

 ↓

 ↓

 ↓


 答え、少し長くなるけれど一人ずつ見ていきましょう。


 まず左腕さん。

 九時に行ったはずなのに六時に行ったと言っている。つまり時刻で嘘をついているわね。

 次に右腕さん。

 何も触れていないはずなのに、閉まっていたはずの金庫の中のお金の事を知っていたわ。

 三人目の左足さん。

 包丁が四本刺さった先生が倒れていたと言っているけれど、被害者はうつ伏せで倒れていたから腹部に刺さった包丁は見えないはずよ。

 最後に右足さん。

 彼女は先生が倒れているところを確認してからガラスが割れた音が聞こえたと言ったわ。

 でも他の三人はガラスが割れる音がしてから遺体を発見したと言っているの。


 もう犯人は分かったかしら。そう殺人犯、死屍四姫の正体は第一発見者の四人だったの。

 死屍四姫は四人一組の作家だったのよ。


 今日は少し長くなってしまったわね。疲れを感じたら甘いものを食べて糖分補給しましょうね。


 それじゃあまた次の謎解きで会いましょう。バイバ〜イ。

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