#17丁字路のクロベロ事件
「そういえばこんな怪談あるんですよ」
夕飯の食材の買い物帰り、お母さんと一緒に歩いていた絵元さんが不意に口を開きました。
今から数十年前の事です。
一人の女学生が薄暗い道を歩いていました。左右は自分の頭よりも高い塀に囲まれ、街灯の間隔が空いているため所々闇に包まれています。
学校ではある噂が囁かれていました。
ある薄暗い道を歩くと
その道というのか今女学生が歩いている道でした。
いつもの帰り道はもっと明るいのですが、学校の用事で遅くなってしまい早く帰るための近道としてこの道を通っているのです。
いつ噂の妖怪が現れるかと気が気でなかったのですが、ある屋台の存在に救われました。
それはおでんの屋台で、中には店主と客として警察官らしき格好の人が見えました。
女学生は胸を撫で下ろし、丁字路を曲がったその時です。
ペチャリと、濡れて弾力がある何かが顔に当たりました。
それは一瞬で暗闇に消えてしまったのですが、板のような形の黒い斑点のある舌だったのです。
女学生は悲鳴を上げながらおでんの屋台に逃げ込みました。
警察官が気を失った女学生を介抱している間、事情を聞いた屋台の店主が現場を見に行ったのですが、そこには何も見つからなかったそうです。
「……と、こんな話なんですけれど、妖怪の正体何か分かります」
怪談を話し終えた絵元さんがお母さんの方を見ると、彼女は口の中で飴を転がしながら頰を指でトントンしていました。
「謎が解けたわ。妖怪の正体はこれね」
お母さんはついさっき買ったばかりのこんにゃくを取り出しました。
「さすがです。じゃあ犯人の正体も分かっちゃいましたか?」
「もちろん!」
問い、妖怪黒舌のイタズラを仕掛けた犯人は誰でしょうか?
お
母
さ
ん
の
推
理
は
こ
ち
ら
↓
↓
↓
↓
↓
答え、こんにゃくを食材で使う人が一人いたわよね。そうおでん屋台の店主よ。
女学生が知らせた時、警察官じゃなくて店主が真っ先に現場に向かったの覚えているかしら?
きっとその時に仕掛けたこんにゃくを回収したのよ。
読者の皆さん。また次の謎解きで会いましょうね。バイバ〜イ。
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