#14夢がふくらまない事件

「あそこよコーくん!」


 僕の腕を引っ張る母さんが指差したのは、二台のキッチンカーのお店だった。


 昨日家に帰って今日が休みだと伝えると、朝一番でここに連れてこられたのだ。


 片方のキッチンカーには女性の人だかりができていて、もう片方には閑古鳥が鳴いている。


 二台が設置している看板を見ると、どちらも手作りのマフィンを販売しているらしい。


 人だかりが出来ている方は《フェメゾン》。


 様々なフルーツがトッピングされたマフィンは華やかでオーナーもイケメン。女性に人気なのも頷ける。


 もう一台は《ハンドメイドマフィン》。


 キッチンカー自体はもちろん、人当たりの良さそうな店主も、トッピングもないシンプルなマフィンも、地味なことこの上ない。


 けれども母さんが寄ったのは、地味な方のマフィン屋ハンドメイドマフィンの方だった。


「あっちのフェメゾンじゃないんだ」


「お母さんはこっちが好きなの。すいません二つください」


 店主が注文を受けてから作っているので多少時間はかかったが、渡された焼きたてマフィンは温かくシンプルながら飽きの来ない美味しさだった。


「うまい」


「ね。美味しいでしょ」


 まるで大好物を手にした子供のように、母さんも嬉しそうにマフィンを食べていた。


帰り道。僕は母さんに質問した。


「隣のマフィン屋、フェメゾンだっけ。あそこのマフィンは食べなくて良かったの」


「ええ。あそこのマフィンは手作りと宣伝してるけれど、それは嘘よ」


「嘘? なんで分かるの?」


「車内で調理しているところが見えないのが気になってこんな質問をしたの。『マフィンに重曹は入ってますか?』って。

 そしたらフェメゾンのオーナーは躊躇うことなく『重曹なんて入ってませんよ』って答えたの」


問い、何故母さんはフェメゾンのオーナーが嘘をついていると分かったのでしょうか?



答え、マフィンに使われているベーキングパウダーには重曹が含まれているのよ。

 手作りしているのに、その事を知らないなんておかしいわ。


みんなはマフィンのトッピングは何が好きかしら?

 お母さんはシンプルなのが一番だけどチョコチップも好きね。

 それじゃあまた次の謎解きで会いましょうね。バイバ〜イ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る