#13その一言が命取り事件
『もしもし聞こえる? 今とても珍しい事があったの……すごい歓声でしょ? 『モー』また鳴いた! ねぇ聞こえた? 飼育員の人でもなかなか聞けないんだって!
僕は亡くなった
被害者は動物園で行われた動物の赤ちゃんとの触れ合いイベントに参加中、何者かに背中を刺されて死亡。
防犯カメラはあったが周りにはイベントに参加していた大勢の人がいて、犯行の一部始終は分からない。
更にパニックになった群衆に紛れるように犯人は逃走してしまう。
しかし恋人である手賀似と被害者が、殺される数日前に喧嘩していたのが目撃された。
重要参考人として話を聞いているのだが、物的証拠はなくアリバイも完璧だった。
「刑事さん。証拠がないなら僕はそろそろ帰りたいのですが」
手賀似は落ち着き払った態度で堂々としている。
まるで自分の犯罪は完璧だと言っているように僕には思えた。
だから僕は母さんの力を借りた。
「もしかしてさっき聞かされた流愛と俺の通話履歴が、証拠になるとでも言うんですか?」
「はい。あの通話こそ、貴方が流愛さんを殺したという証拠になります」
その時初めて、手賀似が感情を爆発させ机を叩いた。
「何言ってるんですか! 彼女がキリンの子供を見ていた時、俺は別の場所にいたんですよ!」
「その言葉を待っていました」
僕は母さんの推理を容疑者に話す。
聞き終えた手賀似は風船が萎むようにみるみる内に自信を喪失していくのだった。
問い、どうして母さんは手賀似が動物園のイベントにいたと分かったのでしょうか?
お
母
さ
ん
の
推
理
は
こ
ち
ら
↓
↓
↓
↓
↓
答え、犯人はイベントに行っていない筈なのに、被害者がキリンの赤ちゃんを見ていたことを知っていたわ。
被害者との通話では『モー』という鳴き声しか聞こえず、一言もキリンとは言っていないに。
つまり犯人が実際にイベントに行っていたという何よりの証拠よ。
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