閑話 王都散策中の一幕
リースの魔法の訓練をした日とは別のある日。俺たちは王都の中心の方まで散策をしていた。王都では帝国からの襲撃があったことの正確な情報が王城より出され、民衆も何があったかをすでに知っていた。最初こそ操られていたとはいえ王城に入ろうと襲撃したことを知り怯えた民衆だったが、国王が今回のことを不問にすると発表したため王都は一気に活気づいた。これ、支持率とか調べたら上がってるんじゃないのかな?
そんなこんなで今の王都は帝国からの襲撃を退けたということを知った民衆により、戦勝ムードのような雰囲気が起こってお祭り騒ぎになっている。そのため、そのムードに乗っかろうと商人たちも続々とやってきていて、屋台やら露店やらで賑わっていたのだった。
「何かほしいものあるか?」
俺は手をつないで歩いてるリースとその隣のティアの方を見てそう言った。
「んー? 今は特にないの」
しかしリースは思いつかなかったようでそう答える。ティアはもぐもぐしていて答えない。いつの間に買ったんだろう。
「じゃあ、思いついたら言ってくれ」
「わかった」
そうしてしばらく歩いていくと「きゃああ!!」という叫び声が聞こえてきた。
「ん? なんだろう」
俺は声の聞こえた方向に探知の魔法を飛ばす。そこには一人を三人で囲っている気配が感じられた。
「ちょっと様子を見に行ってくるわ」
「そう。行ってらっしゃい」
「わかったの」
俺は軽く二人に言うと声の聞こえたほうに向かっていったのだった。
「おいおい、さけぶなよ」
「やめて!!」
俺が探った気配の方に向かうとそんな会話が聞こえてきた。俺が近づいてきたのに気付いたのか囲んでいるうちの一人がこちらを見た。
「あ? 何の用だ?」
わかりやすいごろつきだなぁ。
「いやいや、何してるのかなって思いましてね」
俺はそれに笑顔で答える。
「なんでもいいだろ。お前にゃ関係ねぇよ。有り金おいて消えな」
そう言って相手はすごんでくる。
「なんで俺は有り金おいてかなきゃならんのですかねぇ? あ、衛兵呼んでいいっすか?」
俺は相手を煽るように言う。相手は俺の態度に腹が立ったのかこちらをにらみつけてきた。
「で、ついでにそこの囲んでるお嬢さんはなにかしたんですかね?」
事実確認は大事。むやみやたらに正義を振りかざしてはいかんと思うんですよ、俺は。
「もういい。死ねぇ!」
相手はそう言うとこちらに殴り掛かって来た。
「はぁ。ワンパターンだよな。こういうのって」
俺はため息をつきながら相手に電撃を少しづつ当てて気絶させた。その間、囲まれていた女性はポカンとして、こちらを見ていた。
囲っていた男たちを全員のした後、俺はその女性の方を見て言う。
「じゃ」
「え、ちょ、まっ」
俺は軽く片手をあげてその場を後にしたのだった。女性が何か言いかけてたけど気にしない。
その後ティアとリースのもとに合流した俺は、またしばらく王都の散策に戻ったのだった。
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