第85話 城の完成
もう卒業式も終わったし、姫達を扱き使っても良いだろう。そう思って、工事現場に連れて行った。みんな驚愕の眼差しで、城とマサキの顔を見比べていた。シリルが口を開く。
「マサキ様。家を作っていると、仰っていませんでした?」
「ああ、あれが家だ。」
「あれは、お城と言うと思います。エルスのお城より遥かに大きいですよ?」
「そうかも知れないな。でも、まあ、良いじゃないか。住み心地が良ければ。」
「それは、そうですが……。」
「そもそも、ここは何処の国の土地でもない。だから、勝手にやっている。」
「国外なのですか?」
「そうさ。だから、心配するな。」
そんな説明をして、作業に入る事にした。彼女達には、学校を作ってもらう事にした。校舎を、作りたいように作って良いと言って措いた。今まで、不満に感じた事を反映させておく様にと。小中一貫教育を想定していて、6年。高等教育で3年。7歳から12歳、13歳から15歳を考えている。そして、小中は教育の義務化を考えているから、人数は多めに考える様に指示をした。
ここまで、指示をすれば、マサキが何をしようとしているか容易に想像が付くだろう。しかし、この娘達は敏い。何も聞かずに、キャッキャ言いながら、地面に絵を描き、作業を始めた。セレスティーナが口を開くかと思ったが、リリアーナがセレスティーナの手を引き、首を振って思い留まらせた。言われる事は、覚悟していたんだけどなぁ。
リリアーナが、さすがだと思うのは、政策の話までしているのだから、国造りをしている事は簡単に想像が付く。そして、そんな事はリリアーナも解っている。だが、聞いてしまうと、責任が生ずると言う事も、言い訳が効かないと言う事も理解しているのだ。
簡単に言うと、誰かに『あそこで何をしているのか?』と聞かれた時、解ってはいても、聞いていなければ、『さあ、旦那様は何も仰いませんので…。』で通じるのである。逆に聞いてしまうと、内容が確定してしまうので、知っていても言えない状態。つまり、しどろもどろになってしまうのだ。
万が一、カマを掛けられて、マサキの所に、『奥方達は国を造っていると言っていましたよ。』と言いに来られたとしても、『俺はそんな事、一言も言ってないけどなぁ。』で通せるが、みんなに話を聞かせていたとすると、誰かが話したかもしれないと、考える必要が出て来てしまうのである。まあ、老獪な貴族的な考え方ではあるが、案外重要な事だったりするのだ。
セレスティーナは、そうして覚えていってもらえばいい。彼女は、確定していない事を想像で話してしまう様な、馬鹿ではないのだ。ぶっちゃけ苦労をさせられているものの、年齢を考えれば普通だし、可愛い女なのだ。JKだと思えば、おっさんは腹も立たないのだよ。もう、妻になったんだしね。彼女は、第一夫人と言って措けば機嫌が良いので、扱いが楽なのだ。可愛いだろ?
さすがに、俺の教え子。一気に校舎を土魔法で立ち上げてしまった。3階建てなんだが……、鉄筋入れなくていいかなぁ。【
因みに、リリアーナが城に穴を開けた時の魔法は、【
マリアは、あの性格通り、派手なのが大好きで、爆発系とか雷系が得意だな。セレスティーナは、お淑やかな感じで、水魔法が得意だね。治療とかね。ユリアナも何でもこなすが、彼女はクロード商会の娘なので、攻撃系より、創造系の魔法が好きみたいだね。今回の校舎作るとかは、好きな部類だと思う。
シャルロットとヘカテリーナは、大体が平均値。得手も不得手もないが、大きな魔法は苦手みたい。その分、おっぱいが大きいので良い事にしている。とは言え、宮廷魔法師程度なら、瞬殺出来るくらいの実力はあるので、全く問題にはならない。道路を作るとか、壁を作るとかは、俺の顔を、おっぱいで挟みながらでも出来てしまうのだ。しないと思うけど。
イカン!願望が漏れ出てしまった。
マサキは、学校は姫達に任せ、ドワーフに作ってもらったパイプを城に設置しにいった。温泉をパイプで床下に縦横無尽に走らせるのだ。床暖房だな。バルブを付けておいて、夏場は、水を走らせるつもりなのだ。暖炉も良いけど、煤がウザいので、使わなくても良い様にしているのだ。
まあ、マサキには、ウンディーネとシルフィードがいるので、夏場の暑さは気にしなくても良いし、冬だってイフリータがいるのだ。ただ、あくまでもマサキ専用なので、妻達の快適さを追求しているのだ。
そんな作業をしながら、ドワーフ王に、あの柔らかいソファとベッドを発注しておいた。妻達の部屋のベッドは、クイーンサイズ。マサキの部屋は、キングサイズで頼んだが、もっと大きい物になりそうだ。絨毯も欲しいが、これは、エルフェリーヌが引受けてくれた。エクルラートに良い職人がいるのだそうだ。で、思い付いちゃったので、エクルラートと工事現場を転移魔法陣で繋いでしまった。
エルフの職人達が、参戦してきたので、もう大変。現場の指揮は、勘治に頼んだが、女エルフに心を持って行かれる人間が多く、収拾が付かなくなってしまった。
カズキもエルフをナンパしていたが、早速、仲良しになっていやがったので、何か羨ましくなってしまった。俺の欲望は、どうなっているんだろう。留まるところを知らないのだろうか。
そう言えば、カズキは、ペタ娘ちゃんが昔から好きだったっけ。だとすると、エルフ大好きっ子な感じだな。
「おい、カズキ。ナンパは良いけどさ、寧ろしろやと思うけどさ。神界で、魔法習ってきたろ?」
「なんだ、出来ないフリしてたのに。働けってか?」
「当然だ。天使ちゃんが、ノーパンなのは知ってるか?」
「おお、あれは吃驚したぜ。」
「ああ、その程度には、使えるんだな。」
「あ、何で分かった?」
「そんなもん、スカートは捲る為にあるんだから、俺もやったさ。」
「「はっはっはっは!!」」
王都のギルドへ飛んで、エルラーナとセリアを攫って来た。冒険者ギルドの本部を移転させるためだ。移転については問題ないとの事。エルラーナもこちらに住むし、マサキがいるので、こちらが中心にならざるを得ないだろうと言う事だった。
場所の選定をして、どんな建物が必要なのかのヒヤリングを行い、大体の絵を治吉に描いてもらった。石造りで良いと言うが、土だと周りと同じになってしまい、街の風景が茶色になってしまうので、内部を木造にして、外側はレンガ造りとした。瓦職人が、街の外に窯を作って焼いているので、頼んで措いた。その隣に、商業ギルドの代わりになる組織の建物を作る事にした。
街の区割り毎に、派出所を作る事にした。所謂、交番だ。街中の治安は騎士団とかではなく、警察を組織しようと思っているのだ。軍隊と警察は、分けるべきだと思うんだよね。
そして、街の一画には、木造住宅を建売か賃貸にしようと思って、一軒家を何件か建てる様に、勘治に頼んで措いた。そんな事をしていたら、日本人集落から大量の人間が来てしまい、もう、集落には殆どいないのでは?と思ったが、まだ、1000人以上はいるとの事だった。それでも500人来てるのか…。
そんな訳で、さらに集合住宅を作るのだった。
そんな事をしていたら、今度は春になるから、どうせならこちらで田圃と畑を作りたいと言う話になり、小川周辺の、農地予定区域の一部に、田圃と畑を造成していった。一部の農業従事者に甜菜の栽培を依頼して、砂糖工場の建物も作っていった。
予定する作物としては、米、麦、大豆、甜菜、綿花をマストとして、後は野菜類と胡麻とブドウかな。主に、酒と醤油、味噌、油の為だがな!オリーブオイルは輸入で良いんじゃないかと思うのだ。各国で作っているからね。
作りたいのは、米油、大豆油、胡麻油。オリーブオイルでも良いのだけど、天麩羅は胡麻油だろう。大豆油は、マグロの缶詰のアレだよ、君。米油は、優秀だし、原料が米糠だけってところも素敵だな。コレステロールも下げるし、油酔いと言うか胸焼けもし辛いので、ポテチを作りたいのなら、必須だな。まあ、あっさりしていて、色々使えそうってだけだがな。綿花は、コットンをメリヤス、所謂ニットにすれば、肌触りの良い、体にぴったりなエロい服が出来るだろう。綿なら下着も良い感じになるはずだ。
色々、箱は作っているが、人がいない。さて、如何した物か。日本人とエルフとドワーフは、すんなり移住してくれそうなんだよねぇ。問題は、いつだって人間なのだ。差別意識のない、使える人材。これをどう選抜するかが、悩みどころなのだ。
まあ、建国するまでは、警察も軍隊もいらないので、当分は困らないのだが、選抜方法は考えておかないと、ドツボに嵌まる予感しかしない。
結局、選抜方法などに頭が回らない状態で、2カ月が経過し、ついに城だけは完成した、各種温泉も出来たし、娯楽室も完成だ。これはカズキに任せておいたので、俺もよく知らない。
「なあ、マサキ。頭を使うのは、お前の係じゃん?なんで、俺が頭使ってんの?」
「あん?これで、頭使ってんのか?全部パクリじゃねーか。」
「馬鹿野郎。どうやって作ろうか、頭使ったんだよ!」
リバーシ、将棋、麻雀。全部パクリだが、まあ、雀卓とか上手く出来ている。リバーシもフェルトの代わりに貼ってある布が良い感じだ。将棋は……勘治作だな。果たして、神様が麻雀をやるかどうかだな。つーか、麻雀てルールを教えるのが、面倒臭いな。
本でも作っておくか。と、紙を作らんとなぁと思っていたら、ウンディーネが、ニルフェスとイフリータにノーミードを連れて来て、作ってくれると言うので、任せる事にした。1度作ってから、割と気に入った様で、なんやかんやと作ってくれる。それに段々質が上がっているのだ。きめも細かく丈夫で真っ白、かなり洋紙に近い水準に来ていると思う。恐らく、ニルフェスと相談しながら、材料の木を変えているのだと、予想している。まさか、大精霊が研究までするとは思わなかったな。
さて、城も完成したし、弥助と霧の祝言をやろうかと考えていた時、霧が相談があると、神妙な顔つきで言いに来た。どこか、思い詰めている様な、悲壮感があった。
「どうした?」
「上様。私は、このまま結婚して良いのでしょうか?」
「ん?弥助と何かあったか?」
「いえ、弥助と何か、と言う訳では無くて、私自身の問題なんですけど。弥助の妻にはなりたいと思うのです。でも、上様も大好きなのです。私は、2人の男性を同時に愛せる低劣な女なのです。このままでは……。」
どうやら、霧はマリッジブルーになっている様だ。弥助の妻になりたいのなら、なれば良いのだ。俺が手を出す事はないのだから。
「それは、弥助も交えて話をするべきじゃないか?弥助の妻になりたい気持ちがあるのであれば、問題ないだろう?霧が、俺の事を好きだと言ってくれるのは、嬉しいと思うが、弥助と一緒になれば、俺が手を出す事はないのだから。」
霧が、何を思い悩んでいるのか、分からないんだよなぁ。霧は、弥助を呼びに行った様だ。弥助を一緒に連れて来て、霧が言う。
「上様。だからなんです。」
「ん?ちょっと意味が分からない。」
「弥助と一緒になるから、上様は私に手を出して下さらない。それであれば、弥助の妻になる事を諦めれば、良いのかと思いまして。」
「えーと、ちょっと理解が追いつかないんだけど。弥助の妻にはなりたいんだよな?だけど、弥助だけでは駄目だって事?」
「駄目と言う事ではなくて、弥助の事は好きです。でも、上様にも可愛がって欲しいです。だって、上様には沢山の妻がいるのに、私にだって、2人くらい夫がいても良いじゃないですか。」
「なんか、すげー理論だけど、一概におかしいとも言えないのか。一夫多妻があるなら多夫一妻があってもおかしくはないか。だが、女の場合は出産があるからな。男は出すだけだけど、女は受け身だからね、仕方ないんじゃないか?誰の子か解らなかったら、困るだろ?」
「困りません。私は、どちらの子でも構いません。」
うーむ、霧が何か思い詰めている感じだなぁ。突き放すのも危険か…。どうしたもんかな。弥助は目を閉じて黙っているし…。
「それは、霧の気持ちだけだろ?弥助の気持ちも考えようぜ。」
「上様。私も、どっちの子でも構わないですよ。上様の御子なら愛せますし。」
「弥助。弥助の忠義心には、頭が下がる思いだが、それは極端すぎないか?だって、霧の事は愛しているんだろ?」
「そうですね。ですが、霧の気持ちも解るんですよ。自分が女だったら、やっぱりそう思うと思うんですよね。桜がそうだった様に。あいつも許嫁がいても関係なかったでしょ?偶々、相手がクズだっただけですから。」
「あ、言われてみれば……。んで、それで霧は思い詰めていると。弥助は容認していると。ん~、じゃぁ条件を出そう。」
霧はマサキをキッと睨む。
「なんですか?」
「なんで、睨んでんの?俺が悪いのか?」
「いえ、そうじゃないですけど、どうせ無理な事を仰るのだろうと思って。」
マサキは、溜息を吐いた。
「まず、1つ、弥助があと2人娶る事。1つ、普通に祝言は挙げる事。1つ、悪しき前例になってしまうから、絶対に他言無用な事。これが、守れるのなら、夜這いに来る事を許そう。これが、俺に出来る最大の譲歩だ。但し、霧以外の女は、認めない。」
「はい。お約束します。」
弥助は余裕の様だ。
「上様。あと2人ですね?間違いないですね?」
「ああ、最低2人は愛人なり嫁なりを作れ。後、他言は絶対に駄目だぞ。秋世とか咲とか怪しいし。それに、お前達2人は、本当によくやってくれていると思っている。だからだ、と言う事を忘れないでくれ。」
とは言ってしまったものの、俺の心が持ちそうにないなぁ。でも、あれだけ思い詰めていたら、放ってはおけないしなぁ。離れられても困るのだ。2人がいなくなってしまう事を思えば、自分の倫理観を曲げるくらいは……何でもないな。
「「承知致しました。」」
「なあ、弥助。お前は、本当にそれで良いのか?」
「それが、良いんですよ。上様と兄弟になれますから。」
「お前ら、2人の忠義が心に痛いよ……。」
こんな時は、カズキを誘って飲み倒すに限るな。早速、カズキに甘えてしまっているな。多分、あいつがいなかったら、自分の心が壊れる事を恐れて、受け入れてやる事など出来なかっただろう。
まあ、夜這いを許しただけなので、寝室にいなければ良いのだ。往生際が悪いとは思うが、出来るだけ何もない事を祈ろう。弥助も2人も探すのは、大変だろう。
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