第80話 築城開始

 3日は休むと宣言してしまった為、休みにした。でも、やる事がないので、日がな一日、寝ちゃ、食っちゃ、ヤッちゃ、寝ちゃと繰り返しているだけのアホなのだが、温泉に入って昨日の疲れを取る事にした。


 ドワーフがいるのなら、金属と鉱山開発は任せても良いかもしれないな。まあ、でも住む所が出来ないと、話にならないだろうし、鶏が先か卵が先かの話になってしまうんだよなぁ。街の開発を手伝って欲しいけど、住む所がないけど良い?って聞いて、良いよと言う奴がいるとは、普通思えないよな。


 仮設住宅でも、作るかなぁ、湖の北側の所みたいに。まだ、街の壁は作ってないから、縄張り外なら良い気もするが……。あ、日本人集落の連中を家さら持って来ると言う手が使えるかも。冬だし、田圃も何もないはずだし、畑も少ないだろう。麦があるか。ニルフェスに何とかしてもらおう。そう言えば、助成はフラれたのか?帰って来ないな。


 気もそぞろと言うか、1つずつ考える事が出来ず、明日以降の作業の進め方や、平行して進めなければならない仕事が纏まらないので、考える事を止めた。こんな時は、頭を休ませる事も必要だろう。取り敢えず、風呂から上がって、寝直そうと決めたのである。




 結局、朝まで寝てしまい、起きたら4日の朝だった。修練場の影響が残っていたのかもしれない。相変わらず、頭が回っていない気がするが、あれこれ考えるより、思い付きでやってみる事も必要かもしれない。


 ん~、急ぐのと焦るのは違うんだよな。今日は、現場で遊ぼうかな。しかし、夏なら湖で泳ぐのも有りだろうが……何をするか。娯楽がエッチしかないのよなぁ、この世界。リバーシ?将棋?チェス?熱中すると、時間を忘れるよねぇ。作って販売するのは良いと思うが、仕事の邪魔になりそうだ。麻雀は、いつか発売したいと思う。好きなのだ、個人的に。


 みんなで遊べて、王様ゲームの要素を入れて、人生のイベントを辿る様な、賽子サイコロを振って遊ぶ、発展型双六も面白そうだ。こっちの方が現実的かなぁ、あんまり頭使わなくて良いしね。


 とかなんとか、考えていたが、遊んでいても問題は解決しないので、商品化のプランとした。現場について、周りを見ると、座る所もないのに、遊ぶ気になれなかったのだ。


 結局、水道の問題は後回しにして、水道管が通る程度の溝を残して、埋め戻す事にした。溝のお陰で、下水道がどこを通っているか、分かり易くて良いな。マサキと、ノーミードが溝を残しながら、埋め戻していった。他のみんなには、杭で印がしてある所に井戸を掘ってもらった。数が半端ではないのだが、誰も文句も言わずにやってくれる。自分達の街だと思ってくれているのだろうか。


 井戸には、人が落ちたり、埃やゴミが入ったりしない様に、手押しポンプ分を切り欠いた石の蓋を、井戸の縁に乗せておいた。手押しポンプの原理は非常に簡単なので、さっさと作って、売りに出そうと思う。この街の井戸には、標準装備だがな!火事の時に放水ポンプに使えるからね。増圧弁は必要だが、あれも大した構造じゃないので、すぐ出来るだろう。


 一通りの作業を教えて、出来る事を確認したら、城の基礎を掘る事にした。50m位掘り下げて、鉄芯を入れて礎石の柱を【土形成クレイフォーム】で地表まで立て【硬化ハードニング】を掛けた。ある程度埋め戻したら、地下3階から壁を【硬化ハードニング】で固めて、各種研究室用の部屋を作っていく。計画した段階では、地下3階、地上6階の9階層の予定なのだ。勿論、エレベータは付けるつもりだ。


 この間に、ノーミードには、珪砂を徹底的に集めてもらった。ガラスはアホみたいに使うからね。自動ドアも作る予定だ。出来るかどうかは、やってみないと分からないけどね。


 地下3階の仕切りが終わったので、天井を作って、階段を作った。地下2階は、工房の予定だ。とは言っても、マサキが試作品なんかを作るようなね。広い空間ではあるけど、部屋を10室位は、作っておいた。それでも、学校の理科室程度の大きさはあるだろう。


 地下1階は、社員食堂的な、働いている者達が気軽に使える食堂にするつもりだ。住民も入れる様にするつもりだけどね。それと、食料庫。フロアの2/3を食料庫、1/3を食堂にする予定だ。食料庫は冷蔵室にする予定だ。食堂の厨房にも、大型の冷蔵庫と冷凍庫は用意する予定だ。


 そこまでの、部屋の仕切りまで終えた所で、天井を作り、外へ出て、地面と段差がない事を確認して、休憩する事にした。


 飛空船に入って、食堂に行くと、霧と桜が食事の支度をしていた。

「上様。井戸は、半分まで終わりましたから、今日中に全部出来ますよ。」


「ん?600か所位あった筈だが??」


「ええ、もう、300か所は終わりました。」


「ほほう、お前達も腕が上がったと言う事か。」


「いえ、ウンディーネ様のお陰です。そんなに深く掘らなくて良い様に、してくれました。」


「それでも、大したもんだな。そしたら、全部の井戸に、拳より大きい程度の石を沢山入れて、ならしておく様にな。」


「どうして石を入れるんです?」


「あれ?お前達、集落では井戸を掘った事ないのか?」


「元々あった物を使っていたので……。」


「そうか、ゴミを沈殿させる為だよ。1番底から水を取ると、泥が舞いあがるし、ゴミが混じるから、底上げをする感じだ。」


「なるほど。」

と言って、霧が掌をポンと叩いた。


 その日の作業は、井戸を掘り切ったところで終了となった。マサキの方は、地上1階の部屋の仕切りを終えて壁を作って、天井を作ったところで、周りに盛土をして終了となった。石垣を作るので、1階は外から見えないのだ。外から見ると、地上5階の建物にしか見えない様にするのだ。




 後は、連結式の天守にして、小天守っぽい物を両サイドに2個建てる予定だ。最上階には、神様用の神殿を作るつもり。教会は別に作るけど、遊びに来る為の神殿だね。小天守の片方には、迎賓館と賓客の宿泊施設を作る予定。もう片方は、政府を置く予定だ。城の入口はそちらに繋ぐ予定なのだ。城壁から出っ張る様に、街役場と銀行を建設するつもり。


 天守の3階テラスを大きく作って、飛空船の発着場にする感じかな。まあ、天守と言っても、外観は洋風の城だけどね、石垣以外は。まあ、まだ石垣も石切り場を探してこないといけないんだけど、山に目星が付いているので、治吉、勘治と相談してから、仮設住宅を作って、日本人集団を連れて来ても良いだろう。そろそろマンパワーの勝負になってくるからな。


 そうそう、ケネスは中々頭がキレる。ケネス兄弟は、建設関係を任せても良いかもしれない。鉄道用に橋桁はしげたを作りたいのだけどね。魔導回路と制御で、列車を作るつもりなのだ。空を飛べたのだ、なんとかなるだろう。壁で囲った土地の中に、街候補を2、3作って実験線を作りたいのだ。まず、この街が出来てからだけどね。


 成功したら、この街とエルスを繋いで、東へエクルラートまで繋いでしまうつもりでいるのだ。大森林の問題はあるが、幾つかの方法を考えてあるので、実験あるのみなのだ。


 これだけ、やりたい事があるので、街の造成を急ぎたいし、商業ギルドに嗅ぎつけられたくないのである。多分、商業ギルドとは、対立する事になるだろうし、商業ギルドを牛耳っている、耄碌爺どもを相手にするつもりはないのだ。




 次の日は、【土形成クレイフォーム】で、集合住宅を作って、【硬化ハードニング】で固めて、団地を造った。1棟しかないけど団地なのだ。何故なら、団地妻は必要だろうと思うからだ!要らない?あ、そう……。

あくまで仮設なので、団地の横に、大浴場を作ってやった。当然、温泉だ!団地妻大欲情……。


 内装を職人娘と勘治達に任せ、三郎と三次と奥さんズを拉致してきた。ニルフェスに藺草を探してもらって、畳の準備に入った。この集合住宅に全員で掛かったので、結果、2日で住めるようになった。三次と秋世に至っては、ここに定住したいと言い出した。もっと良い家を用意してやるから、我慢汁いや、我慢しろ。と言っておいた。


 そうそう、これまで三次と秋世に触れて来なかったが、三次は好青年が滲み出た良い奴。一緒に酒を飲んだらすげー楽しかった。秋世は、多分145cm位しかないので、可愛いのだが、ケツがデカくて安産型だ。可愛いのにケツが大人と言う、ギャップ萌えするタイプだな。人柄の良い、良い女房だ。1度ナイスケツ!と言ってサムズアップしたら、触っていいですよ?と言われてしまった。軽口には気を付けようと思ったものだ。


 住めるようになったので、集落に弥助と勘治を【ゲート】で派遣して、石工とか職人を募集して来る様に、依頼した。


 そうしたら、最初に助成が女房を連れて来た。どうやら、集落に帰った時、5年も留守にしていた為、色々怒られたり、泣かれて宥めたり大変だったらしい。落ち着くまで待って、一緒になろうとプロポーズして、頭領の媒酌で祝言を挙げてから来た様だ。

初夜は、萌えたか?燃えたか?と聞いたら、両方ですよ!と元気よく言われた。


 幼い頃から、一緒にいて仲が良かったと言う様に、綺麗な奥さんだった。大和撫子と言う感じ。名前を咲と言うんだと。助成が忍びである事もあって、やはり、くノ一なんだそうだ。


 5年も帰って来なけりゃ、死んだと思うわな。そう言えばと思って、静にも親に顔を見せて来いと、緑と藍と紫乃にも同じ様に、顔を見せて来いと言って、送り出した。そうしたら、築城だと聞いた連中が、大挙して手伝うと言って来た。冬で農業が暇だからだそうだ。まあ、人手は欲しいので、了承したのだが、家が足りなくなったので、もう2棟作る事にした。


 3棟あれば、団地と言っても良いのではないだろうか?ないだろうか?マイブームが、団地妻になりそうで怖いのだが。聞いてみたら、俺が作る仮設住宅は、温泉があると評判らしく。それも、目的の1つであるらしい。集落では、水を汲むのが大変で、蒸し風呂にしてしまう事も多いのだと言っていた。


 俺は、王城や良い部屋ばかりに住んでいたので、気が付かなかったのだけど、風呂文化が希薄らしくて、風呂好きの日本人には、耐えられないのだそうだ。


 ただ、先祖の頃は、蒸し風呂が主流だったので、湯に入る事を覚えてしまうまでは、不満もなかったみたい。でも、ローレルに温泉宿があるらしくて、それに入ったら止められなくなったと言う事だ。


 大衆浴場を銭湯にして、街中に作るか。温泉旅館も作ろうかな。観光地にもなるか。産業ばかりが思い付く、施設が全然出来ていないのに。一応、書き留めておこう。役には立つだろう。




 仮設住宅を作るのに、結局6日を要した。それから石切り場になりそうだと、目星を付けていた所に、石工を連れて行き、石の種類的に、石垣に向くかどうかを判断してもらった。問題ないとの事だったので、早速、切り出してもらう事にした。


 たがねを打ち込んで、切れ目を入れて、割るのかと思いきや、魔法だったね!普通に【水刃ウォーターカッター】で切っていた。【水刃ウォーターカッター】と言うのが、理に適ってるよなぁと思う。埃も欠片も舞う事がないからね。


 一応、鏨も受け継いではいるんだと、自分は魔法が上手く使えたから、そうしているが、鏨で切り出す連中もいるのだそうだよ。ただ、石垣の文化がないから、最近は墓石の切り出し位しかしていないので、今回は、非常に嬉しいと言っていた。


 そりゃ、受け継いだ技術は使ってみたいわなぁ。


 切り出した巨石を、重力魔法で軽くして、異空間にポイっと入れたら、吃驚していた。まあ、今度教えてやるよと言ったら、嬉しそうに石を切っていった。かなりの巨石を切り出し、異空間に収納したところで、一旦、切り上げて現場に戻った。


 丸太を敷いて、巨石を1個ずつ出していった。ポイポイ出していたら、上様ぁ~、ちょっと待ってぇ~と言う声が掛かった。怪我しちゃいけねーから、全部重力魔法で軽くしてんだよね。それでも、積み上げが間に合わない様で、ちょっと待ったコールが掛かった様だ。ちょっと待ったコールで思い出した。集落の男達の為に、金髪、銀髪、赤髪、青髪のお姉ちゃんと知り合う機会を作ってやろうじゃないか!


 婚活パーティをするべきだろう。俺も参加したいが、したいが、霧に怒られそうなので、我慢するが、やるべきだと思うのだ。その辺の企画は、マルカム辺りが得意だろう。早く街を造らねば!


 娼館街も作ろうかな。娼婦は雇用制にして、商工ギルドで口座を作って管理してやれば、行方不明者や自殺者が出る事もなくなるだろう。人身売買は許さない。けど、娼館は、ないといけないのだ。性犯罪が増えるからね。


 石垣が上まで積みあがった所から、重力魔法を解除していった。重さが掛かって、隙間が埋まった石垣は、恰好良かった。大天守から小天守へ向かう連結部の石垣も、どんどん積み上げていく。その間、足りなくなった石を、切り出しに行ったりしていたが、1周石垣が積みあがるまで、2週間掛かった。とは言っても、滅茶苦茶早いと思う。てか、天守と言っても、洋風だから天守台は物凄く大きいのよ。3階に船が発着出来る様な、テラスも作る位だから。


 そして、城の上部だが、ここから上は、土じゃ格好悪いと思うのだが、何が良いだろうと勘治に相談してみた。


「上様。ここは、木造の城にして、外側を漆喰の代わりになる、堅い材料で固めませんか?」

と言うのだが、エレベータを付けるとなると、歪みや揺れが、不味いんだよあぁ。火事も怖いし。


 結局、通し柱と、階層を分けるフロアの下を土を固めた物で構成して、外側の材質は考える。内側は木造建築にすると言う形で落ち着いた。なので、マサキは、一気に鉄骨を入れた通し柱を、魔法で立ち上げた。通し柱に、フロアの間仕切りを入れていって、骨だけ出来た状態にした。外壁はどうしよう。勘治は、外側に足場を組み上げていった。外壁は最後で良い様だ。


 勘治には、自分で描いた、簡単な図面を見せてあったのだが、しっかり絵図面に起こしてあり、マサキが、どこからでも手を入れられるように、設計してあった。やはり腕は良いのだなぁ。


 屋根は、瓦だと重いし、1枚1枚面倒だと思っていたのだが、通し柱が強靭だし、瓦職人がいるので、瓦にしたいと言いう、勘治の言に乗る事にした。そうしたら、家紋を入れて焼いて来ますと、喜んで走っていった。


 まあ、彼らの気の済む様にすれば良い。俺は、嫁ズと住む所があれば良いのだ。政策・政務は、スコットに丸投げする気満々なのだから。そもそも、王を名乗る気がないのだが、議会制民主主義は無理なので、俺が立つしかないのだけど、何を名乗れば良いのだろう。


 まあ、それもスコットに任せよう。弥助達に任せると、みかどとか将軍様とか言いそうだから、駄目だな。国名も考えておかないとか……。センスねーんだよなぁ、名付けって。


 まあ、先ずは、外壁を何にするか考えるところからだなぁ。コンクリートが良いけど…、コンクリートを作ってみるか。確か、石灰と火山灰と軽石かなんかの砕石があれば出来たはずだ。その外側に漆喰を塗ってもらえば良いだろう。


 ノーミードと実験してみたら、水の中で固まったし、強度も申し分ないので、これで行く事にした。勘治は、気を良くしていたらしく、左官、表具職人、瓦職人まで集めて来て何をしようと言うのだろう。瓦は了承したけども。コンクリートは、左官に塗ってもらえば良いだろう。乾いたら漆喰も塗ってねと言って措けば。


 瓦職人は、レンガも焼く様だ。レンガをいっぱい積み上げているが、何をしているんだろう。もう、放っておこう。あ、鉄筋を作らねば。ドワーフ欲しいなぁ。


 最上階に、神殿とウンディーネに精霊の泉を作ってもらった。これで、城内の水道を賄おうと思っているのだ。ウンディーネ像が持っている壺から、水が流れ出て、円形のプールに水が溜まっていくのだ。


 まあ、ぶっちゃけ、魔道具の蛇口を作ったのだが、水は出せるのだ。水道がなくても。ただ、魔石の相場が一気におかしくなりそうで、売っていないし、使っていないのだけど。



 ノーミードに、ドワーフ5、6人拉致して来いと言ったら、主様しか抱っこしたくないと言いやがったので、船で行くかと、諦めるのだった。










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