第78話 全然進まねぇ…
屋敷に戻って一息吐いたマサキは、いよいよ明日からは、土木工事に入れるなぁと、どうやって進めていこうか、リビングで考えていた。マサキと、ノーミードだけだと疲れちゃうからなぁ、ミレーナは連れて行こう。魔法使いの本分だからな、生活に役立つ、人の役に立つ魔法。それを体現させてやりたい。決して、攻撃するだけが魔法ではないと。だからこそ、魔法使いは尊敬されるのだ。
クロードの所で売っている宝石も、良い物はみんなサイモンと言う男の作なのだが、このサイモンと言う男、稀代の魔法使いと言われているのだ。ダイヤモンドのブリリアントカットを魔法でやっているとしたら、凄い技量という事になる。光が上の一面から57面に綺麗に別れる58面体だからね。だから、稀代の魔法使いで芸術家と言う評価になっているのだ。
この世界に、ダイヤを綺麗にカット出来る、機械や技術があるとも思えない。そんな中で、加工技術として魔法を使う。マサキは、それが素晴らしいと思うのだ。
ミレーナは連れて行くとして、学校の生徒組も連れて行きたいんだけど、セレスティーナが煩そうなんだよなぁ。『マサキ様、ここは何ですか?国をお造りになるんですか?』とな。これが無ければ、優しくて良い女なんだがなぁ……。
あ、いた。エルラーナを連れて行こう。セリアも魔法はいけるな。エルラーナには、ギルド本部作ってやると言って措けば、仕事にあるだろう。セリアは俺の専属だし。生徒組は、シャルロット、リリアーナ、マリア、シリル、ヘカテリーナ、ユリアナ……、みんな優秀だから選べないな。みんな無しだな。
だけどなぁ、ミレーナだけじゃ、魔力がすぐ枯渇すると思うんだよなぁ、人数は必要だなぁ。明日は、大雑把な図面を描くとして、と言うか、大雑把にしか描けないが。明後日から、作業に入りたい。くノ一は魔法はどうなんだろう。集落にいたら教える人がいないよね。
厨房に行って、霧の尻を撫でながら聞いてみた。
「霧、お前達は魔法は使えないのか?」
霧は嬉しそうに言う。尻を撫でられているのが、嬉しいのだろうか。
「私達は、風の魔法が少しと、田圃を作ったりするのに、土の魔法は使えます。」
「マジ?土魔法使えるのか?じゃあ、明日は、くノ一は魔法の特訓だ!」
「じゃあ、上様は、夜は私と寝技の特訓ですね!」
「俺の寝技は、天下一品だ。必要ない。」
「私の特訓をして下さい。」
「弥助に頼め。」
「もう!!!ケチぃぃ!!」
と、霧はプンプン丸だが、弥助よ、いい加減、何とかしてくれないと、俺の理性が保たないぞ。
「霧。そいうやさ~、静に何か避けられてるんだけど、何で?俺なんか不味い事したかなぁ?覚えがないんだけど。」
「姉様は奥手なので、上様が何かをした訳ではありません。要するにですね、本気で好きになってしまったので、どうしよう。とオロオロしているのです。上様の顔をまともに見れないので、避けているのですよ。」
「あ、そう。霧と違って純情なのな。」
「う・え・さ・ま?ちょっと2時間程ベッドでO・HA・NA・SHIしましょ?」
「なんでベッドなんだ?」
「積もる話もありますし。」
「別に積もってないし。」
「抜き差しならない事情もありますし。」
「抜かないし。」
「もう!!上様は、どうして意地悪なんですか?」
「俺じゃなくて、霧が意地悪なんだろ?俺が、霧に手を出せると思うのか?」
「思いませんけど、出して欲しいです。」
「ある日、突然、猛獣になるかもしれんから、そういう時に期待して措け。」
「はーい。」
翌日、簡単な城の縄張りと、街の全体像を図面に描いた。しかし、一辺が10Km位の街になってしまった。面積にして平安京の5倍位だな。まあ、その中に、田圃も畑も森も入るのだけどね。川も通ってるしな。湖まで入れるともっとあるけど、そこは考慮しなくて良いだろう。
大雑把な、配置も決めたし、基礎工事をやって、基礎が終わったら、壁の構築かな。街の壁も恰好良いのにしないとな。その前に人材育成だな。
くノ一全員に招集を掛けた。人数をちゃんと把握していないのだ。桜、椿、霧、睦月、沙織、瀬奈、静、緑、藍、紫乃。それに、奈緒、皐月、弥生、サーシャ、ケネス、マルカム?
「奈緒と皐月に弥生は、土魔法は使えるのか?」
「はい、少しですけど、みんな使えます。」
「あ!サーシャ達に言うの忘れてたけど、もう大丈夫だからな。屋敷から出ても平気だぞ。チュゴセンは制圧してきたからな。」
サーシャとケネス、マルカムは驚いた顔をしていた。
「え?もう、ですか?」
「ああ、宗主以下21名の性犯罪者と、甘い汁を吸っていた兵士も、全員捕縛したし、パルミナ王国に占領させたから、チュゴセンは、もう無くなるのも時間の問題だ。安心して良い。」
「「「有難うございます。」」」
「で、お前達は、何故ここに?」
ケネスが、笑いながら頭を掻いた。
「なんでも、魔法の特訓だとか。お役に立てるなら、俺達も、特訓しようと思いまして。」
「ほほう、土系の魔法は使えるか?」
「3人とも簡単なのは、使えますよ。」
「じゃ、行くか。お前達にも、本物の魔法を教えてやろう。あ、温泉あるからな、着替え持って行くといいぞ。ポーラも連れて行くか?」
「おお、持ってきます。」
結局、ポーラとカトリーヌとマーガレットも行くと言うので、連れていく事にした。弥助は当然だがな。
【
全員、一列に並ばせて、まず、手本を見せると言って、地面に手を付き、魔力を流しながら、【
女性陣から、抗議の声が上がる。桜が、言った。
「う、上様?どうやってやれば良いのでしょう?詠唱などは、どうすれば?」
「ああ、そうか。そこからだったな。よく聞け、魔法って言うのは、イメージが全てなんだ。頭でしっかりイメージが出来て、それを魔力に伝えられれば良い。要するに、詠唱なんて魔法には必要ない。覚えておけ、イメージがちゃんとしていれば、あんな事も出来る。見せてやるから着いて来い。」
そう言って、みんなを連れて、テーブル、椅子を見せて、工場の中へ入って行き、仮設住宅を一通り見せ、最後に温泉を見せてやった。
「これ全部、俺が土魔法で作ったんだぞ。まあ、後から【
「「「はい。」」」
それから、1時間位で大小違いはあるものの、全員、無詠唱で発動出来るようになった。この辺で休憩しないと、魔力が枯渇するので、昼飯にする事にした。迷宮産の肉が売るほどあるので、バーベキューだ。
その場で、全員分のコップを土で作って、硬化してツルツルにしたら出来上がり。
「ディーネ、水入れてあげて。」
「はーい。」
「リータ、火を頼む。」
「はーい。」
「みんな、ちゃんと食えよ。魔力の回復は、寝るか食うしかないからな。」
「「「はーい。」」」
そんな感じで、土魔法に限って教えていったが、流石に同じ様な壁は無理だな。まあ、出来ても困るが。だが、くノ一組は、田圃を作っていただけあって、良い線を行っている。作業していれば腕も上がるだろう。ケネス兄弟も悪くない。
まあ、まだ作業はさせられないか、やっぱ学校組を連れて行きたいなぁ。あいつらなら、簡単にやりそうだしな。セレスティーナだけ抜くと煩いだろうなぁ。メイリーナに相談してみよう。
みんなの魔力が底をつきそうになったので、特訓を終了して、温泉に入る事にした。ポーラもいたので、男風呂へ入れた。弥助とケネス兄弟と4人で入った。
「魔法を特訓して、何をしようと言うんです?」
ケネスは、目的が気になる様だった。
「気になるか?」
「言えない感じです?」
「いや、屋敷の人間には、知られても良いんだ。セレスティーナの耳に入らなければね。根掘り葉掘り聞きたがるから、面倒臭いのよ。また、それを色々な所で喋るのよ。だから、あいつには、知られてはいけないのさ。」
「はぁ、ご苦労されているんですねぇ……。」
「まあ、女なんてのは、そんなもんかもしれないけどな。うちの姫達は、よく出来た女が多いと思うよ。それ故、セレスティーナだけが目立つ。」
「なるほど。」
「まあ、ケネスは別棟にいるし良いかな。城を造ろうと思っているんだ。後は、研修開発施設と農地なんかもね。」
「街を造る感じです?」
「国かな。」
「マジですか?」
「ああ、だから働いてもらうぞ?」
「やります、やります。是非、働かせて下さい。普通の仕事が出来るんですね?」
「そりゃそうだろう。手はいくらあっても足りないからな。ま、勉強もせんといかんがな。俺も暫くは、先生稼業だろうなぁ。」
そんな話をして、風呂から上がり着替えを済ませると、外に出た。湖から吹いてくる秋風が、火照った体に心地良い。暗くなってきた空を見上げて、明日からは土木工事だぞと、心に決めたのである。
屋敷に帰って晩飯の支度をして、食事を済ませると、メイリーナの部屋で酒を飲んでいた。メイリーナの体を弄びながら、話をしたのだが、エロリーナになってしまったので、先に1回戦済ませた。
「セレスなんだけどさ。あれから大差ないよな?」
「何かあるの?」
「ああ、国を造ろうと思うんだ。で、土木工事に生徒組を連れ出したいんだ。だけど、セレスだけは外したいんだよ。」
「あら、どうして?」
「煩いから。『国を造るんですか?何処に造るんですか?何時出来るんですか?国王になるんですか?』などなど。もう、聞くのも答えるのも面倒臭いし、あいつは絶対他所で喋る。」
「そうねぇ、多分、駄目ね。王城に用事でも作ろうかしらねぇ。」
「まあ、学校が休みの日だけだから、慌てなくても良いんだけどな。余計な混乱を招く様なら、全員置いて行くか、1人か2人連れて行く程度の方が良いかな。ああ、シリルとリリアだけでも良いかな。」
「それなら、誤魔化しようは、いくらでもあるわね。」
「うん、そうする。」
翌日から、船で現地入りし、湖の南側の森の木を、ニルフェスに頼んで東西に移動してもらい、湖が、南側から見える様にしてもらった。木が自分で移動している様は、ちょっとシュールだったが、城を造った時、裏庭が湖に接するようにしたかったのだ。
そこを基準として、棒とロープと方位磁針を使って、城の縄張りと、街の区画を作っていった。道幅は、馬車を基準とし、馬車が対面通行できる幅を、最低基準とした。うーむ、杭が全然足りない。職人娘達に杭の作成を依頼した。と言うか、ないと進まないので、一旦、区割りを中止して、全員で大量の1m位の杭を作っていった。城回りと主要道路以外は、後回しで良いかと、杭の節約をする事にした。
最優先事項は、築城と神殿建設だからな。石垣と和風の城にしようか、ずっと迷ったままやっているんだけど……。屋根瓦とか面倒だし、石垣は作って石造りの洋風の城に和室と大広間を作れば良いだろう。靴を脱いで生活出来れば良いのだ。なので、内部は居住区は、和洋折衷。公務区は洋風と決めた。取り掛かれるのは当分先だがな。畳を頼んで措かねばいかんから。
1000本程の杭を作り、区割り、縄張りを進めていった。水平も出さなければならないので、即席で水準器を作った。正三角形を作って、頂点から
足りない道具の作成などに時間をとられて、土木工事に入れないぜ……。やってみないと、必要な物が分からない所が素人なのよな。まあ、時間はあるのだ、ゆっくりやろう。
こんな準備で1週間。さて、やっと土木工事だぜと、みんな築城に掛かる気満々なんだが、これからやるのは、下水道建設だ。まだまだ、上物なんて当分先なのだ。下水道ルートが決まらないと、井戸が掘れないしな。最終的に流し込む川から、逆走する形でルートを決めていく。川の手前に浄化する層を何カ所か作らないといけないし、結構、時間が掛かった。ルートが決まるだけで、1週間。勾配を計算しながら、掘る深さも計算していくだけで、1週間。中に入る穴、マンホールだね、これの位置を決め切るのに、1週間。下水道を掘り始めるだけで、1カ月を要した。流石素人。
考えても見よう。10Km四方の街に、張り巡らせる下水道。みんなで、一生懸命掘ったさ、魔法でだけど。それでも全然終わらねーのな。
下水の穴を掘り終えた頃には、ついに、年末を迎えたのだ。穴を掘り終えただけで、トンネル状にして、人が歩ける場所を作って、硬化して埋めて、地表を叩き固めないといけないのだけどね。全然、完成などしていないのだ。
年末を迎えたので、弥助の集落へ赴き、もち米と日本酒を買い込んで、屋敷に戻り、男共は盛大に、餅つき。女性陣は、お節料理作りとワイワイ、ガヤガヤと楽しく過ごした。腰元姿のくノ一達が、襷掛けして料理や、餅の処理をしている姿は、実に萌える。ムラムラする度に、1人ずつ掻っ攫って寝室へ連れ込み、大暴れしたりして、それはもう充実した数日だった。
この年末を迎えるまでの間に、くノ一全員に手を付けてしまったが、今更だろう。静が、寝室に来て三つ指ついた時には、ちょっとびっくりしたが、妻にして欲しいと言うので、霧の姉さんでもあるし、性格的にも控えめで、好ましい女性なので、了承した。霧が、姉様ばっかり狡いとゴネたのは、言うまでもない。
静は、性格的には控えめなのだが、体は主張するスタイル抜群美女なのだ。とは言え、典型的日本人体形なので、B86W56H85と言う、均整のとれたプロポーションだ。姫達とは、ヒップの数字が大きく異なるのだが、姫達はケツがデカいと言う訳ではなく、日本で言うところの、外人特有の尻肉が、ツンと上を向く様に厚みがあるのだ。決して骨盤が、馬鹿みたいにデカいという訳ではない。まあ、触り心地が良い事は否定しない。セリアはデカいけどな!だが、それがイイ!
くノ一達の平均は、B83W58H84位になるのかなぁ。みんな可愛いんだぞ!
女達が増えたし、また下着を取りに行かなくてはな。と思って思い出した。アリスとクレアを放置したままだった!これは、やばい。やばいが、年始過ぎてからで良いよね?と無理矢理自分を納得させるのだった。
年越し準備をしながら、年明けにやらないといけない事を考えていたが、3日寝込む事を想定すると、年明け早々に修練場へ行くべきかなと、思い直した。修行はもう良いから、2人とイチャイチャしてくれば良いだろうと、少し甘い考えをする事にしたのだ。
姫達も今日から冬休み。あと、2カ月で卒業だ。そろそろ結婚式の準備もせねばならんなぁと考えて、ふっと思った。ソルティアーナはもう1年あったなと。
「ルティ。学校どうする?」
「どうすると言うと?」
「学生結婚に抵抗ないか?」
「ああ、それは、全然ないですよ。偶にいますしね。」
「あと、もう1年よな。まあ、長いようで短いかもしれないな。」
「そうですね。私は、旦那様がいるので、1年程度は別に気になりません。」
「そんな、可愛い事言ったって、可愛がってやらないんだからね!!」
と言いながら、ソルティアーナをお姫様抱っこして、ソルティアーナの部屋に、お持ち帰りの術を使って、階段を駆け上がり、2時間ご休憩したのは、言うまでもないだろう。
そうして、日本で言うところの、大晦日の前日の夜は、更けていくのであった。
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